THE BOHEMIANS、現時点での集大成“ベストツアー”で見せた秘めたる才能と大きな可能性

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ロックン・ロールを愛して止まないゴキゲンな奴ら、THE BOHEMIANS。そんな彼らが2012年、3回目の全国ツアーを大成功させた。

◆THE BOHEMIANS 画像

思い返せば、前回彼らのツアーを見たのは、1stアルバム『憧れられたい』を引っさげてまわった、初ツアーのこと。2011年の10月30日を初日に、千葉LOOKからスタートさせた過酷なツアーだった。まだまだ彼らの名前や存在を知る人は少なかったこともあり、初めてのツアーは東京と大阪以外は対バン形式で行われた。そんな1stツアーで、ロックン・ロールの素晴しさと、オーディエンスと音楽で繋がることの素晴らしさを知った彼らは、そのときに感じたそのすべてを吐き出し、2ndアルバム『THIS IS POP』を完成させたのである。

ロックン・ロールに突き動かされた衝動をそのまま詰め込み、とことん音色にこだわった純粋なロックン・ロールアルバムだった1stアルバム『憧れられたい』に比べ、間口を広げた2ndアルバム『THIS IS POP』で多くの聴き手を自らの音楽世界に迎え入れた彼らは、今年2012年10月19日から、<THE BEST OF THE BOHEMIANS Volume 1>と題したベストツアーを決行した。

このツアーは、福岡、大阪、札幌、東京の4ヵ所で行われたのだが、ファイナルの地として選んだ恵比寿 LIQUID ROOMは、彼らにとって、特別な思いがあるライブハウスでもあった。そんな思い入れの深い場所での、念願のワンマンライブが行われた。

2012年11月4日(日)18時。いつものSEにフロアから手拍子が起こった。

1回目に見たときよりも、2回目に見たときよりも、確実にそこには“ここにしかない景色”が存在していた。

オーディエンスのクラップに導かれ、ステージに現れたチバ・オライリー(と無法の世界)a.k.aジャン(Dr)、星川ドントレットミーダウン(B)、本間ドミノ先生(Key)、そして、上手にビートりょう(G)。激しいハウリングが「夢と理想のフェスティバルに行きたい」のイントロへと流れたとき、沸き上がったオーディエンスの歓声の中、平田ぱんだ(Vo)が勢い良くステージ中央へと飛び出してきた。

更に声を張り、大きな歓声を上げるオーディエンス。
THE BOHEMIANSは1曲目からアクセルを容赦なく踏込み、全力で曲と歌を届けた。

「東京では、ライブはだいたいこの曲で始めてました!」(ぱんだ)

そう言って始まったのは「お気にのチェルシー」。インディーズ時代から歌われ、人気の高い曲でもあるこのナンバーでは、いつものように息の合ったオーディエンスの手拍子が色を添えた。そしてライブの定番曲と言えば、「パーフェクトライフ」。ルーズなロック感が魅力のこの曲は、この日もライブならではのテンポ感で届けられ、ぱんだは、またまたお決まりの、その日のライヴ会場を歌詞の中に差し込み、この日にしか聴けない特別な歌詞にして、この曲を届けたのだった。

根っからの貴公子キャラなチバ・オライリー(と無法の世界)a.k.aジャンは、歌詞を口ずさみながら、相変わらず姿勢良く軽やかながらも、力強いビートを叩き出し、そんなビートに、クールにベースを絡ませる星川ドントレットミーダウン、白い鍵盤の上に華麗に指を這わせ、楽曲たちをキラキラと輝かせていく本間ドミノ先生。そして。一番成長を感じさせた奥行きのあるギターを鳴らしてくれていたビートりょう。

そんな唯一無二なTHE BOHEMIANSなロックン・ロールの上に、個性的な歌を乗せていった平田ぱんだ。そこには確実に厚くなった音が在り、そこには確実にロックン・ロールアイドルな彼らがいた。

とにかく。半端じゃねんだぜ、THE BOHEMIANS。

オーディエンスは、次から次へと放たれるナンバーに、1曲ごと歓声を上げながら、右手を高く上げ、躍りまくる。最高に気持ちいい空間がそこに生まれた。

珍しくギターを肩からかけたぱんだが、この日2度目のMCを挟んだ。

「東京じゃないかっ! このライブハウスは、東京で一番やりたかったライブハウスなんだよ。東京に来て何年経ったか忘れたが、東京に出て来て初めて遊びに来た場所がここなんです。何のライブを見に来たか忘れたけど、友達もいねぇし、寂しかったけど、こんなに東京が楽しくなるとは思わなかったぜっ! こんなクソつまらねぇ所、飛出すしかねぇと思った山形だけど、山しかねぇ、山なんか近くにあっても、なんもいいことねぇ山形だけど、今は、ちょっと懐かしいかな。そんな山形での思い出を書いた曲、聴いて下さい」

届けられたのは「THE BIKE」。もう戻らない“あの頃”を歌った曲。地元・山形の地で“正宗真理(正宗;スピッツの草野マサムネ/真理;杉 真理)”を聴いていた、19才の彼らが蘇った。

憧れのロックスターとして走り出した今の彼らの姿を、19才の頃の彼らに、そっと見せてあげたい。そう思った。

強い光が彼らを逆光で照らすと、曲は、そこから「THE LENS」へと繋げられた。テンポを下げて聴かせた曲「THE LENS」。なんとも言えない時間の流れと、ゆっくり動く感情が、じんわりと心に沁み込むこの曲を、オーディエンスは静かに受けとめた。

しかし、後半に驚く展開を隠しているのも、この曲の魅力。手拍子が起こる中、ぱんだは「やりたいことを、やりたいときに、好きなだけやらせてもらうぜっ!」と叫び、ラップを絡めた。

「ダーティーリバティーベイビープリーズ」では、これまたお馴染みの曲中の掛け合いでオーディエンスを楽しませ、少しアレンジを変えて届けられた「明るい村」で更に盛り上げ、デビュー曲「THE ROBELETS」、インディーズ時代の名曲「おぉ!スザンナ」と、音を止めることなく一気に届けたのだった。

この曲をきっかけに彼らを知った人も多かったであろうデビューアルバムのリード曲「THE ROBELETS」では、この日最高潮の盛り上りを見せ、そこから遡って、THE BOHEMIANSを聴き、「おぉ!スザンナ」ですっかり虜になったのであろうことが手に取るように解った「おぉ!スザンナ」での盛り上りも、最高の景色だった。デビューからわずか1年で、そんなテッパン曲を持っているとは。改めて彼らの隠された才能に期待した瞬間でもあった。

憧れの地であったここ恵比寿 LIQUID ROOMは、次のステップの幕開け場所。そう思った。

彼らが私たちに見せてくれるべき景色は、まだまだこの先にあるということを、多いに期待させてくれた時間となったこの日は、いつものように、彼らがライブを始めたときからラストナンバーにしていた「ロックンロール」で締めくくられたのだった。

彼らがステージを降りた後、アンコールを求める声は、「ロックンロール」であった。オーディエンス全員が、「ロックンロール」を大合唱する中、彼らは再びステージに現れ、デビューアルバムの1曲目を飾っていた「メイビリーン」から、“本気で遊ぶSHOWタイム”を届けてくれた。

と、ここで、10月19日に誕生日を迎えたビートりょうへ、平田ぱんだから誕生日プレゼントが贈られるというサプライズがあり、本間ドミノ先生の伴奏で「ハッピーバースデー」を全員で歌って届けた。このシーンでは、いままでは見られなかった5人の素顔が垣間みれるトークも挟まれ、ロックンロールアイドルとして更に人間的な魅力でオーディエンスを惹き付けていたように感じた。

そして2曲目には、ナント、ムッシュかまやつを迎え入れ、『THE SPIDER BEAT』から「フリフリ」をプレゼントしたのだ。思わぬゲストの登場にフロアは大興奮。世代を超えた共演は、最高にクールでファンキーなステージだった。

「こんな気持ちにさせてくれてありがとう。死ぬまでロックンロールを好きでいたいと思うよ。普段は言わない言葉を言うよ――。愛してるぜっ!」(ぱんだ)

5人は一度楽器を置き、すべてのステージを終えたのだが、ぱんだの「やっぱ、もう1曲やっちゃおう!」の一言から、ジェリー・リー・ルイスの「火の玉ロック」が急遽届けられ、最後の最後までライブを盛り上げ、ステージを後にしたのだった。

彼らがステージを降りた後、フロアには12月5日にリリースされる3rdアルバム『BOHEMIANS FOR LIFE』のリード曲「The Comeon」のミュージックビデオが流された。山形時代に生み出された名曲たちもたくさん詰め込まれた最高作3rdアルバム『BOHEMIANS FOR LIFE』。聴き手は、そこに、彼らを越えた彼らを、きっと感じることだろう。

取材・文●武市尚子


THE BOHEMIANS avec ムッシュかまやつ
『THE SPIDER BEAT』
2012年10月3日発売
FLCF-4436 ¥1,500(tax in)
1. フリフリ
2. メラ・メラ
3. モンキー・ダンス
4. あの時君は若かった
5. なればいい
6. なんとなく なんとなく
全6曲

Major 3rd album
『BOHEMIANS FOR LIFE』
2012年12月5日発売
FLCF-4444 ¥2500(tax in)
1 MONO
2 The Comeon
3 That Is Rock And Roll
4 もしも ~if~
5 つめたくしないで
6 It's OK
7 MY GIRL
8 Paint It White
9 KISS ME BABY, LIFE IS VERY SHORT
10 BROTHER
11 チャックベリーはアメリカ人

<タワーレコード渋谷店リニューアルオープン&B1F「CUTUP STUDIO」
オープン記念 “LIVE LIVEFUL!”
~THE BOHEMIANS avec ムッシュかまやつ SPECIAL LIVE!~>
日程 :11/24(土)
時間 :START 19:00
会場 :タワーレコード渋谷店 B1F 「CUTUP STUDIO」 (http://tower.jp/store/kanto/Shibuya)
出演 :THE BOHEMIANS avec ムッシュかまやつ
参加方法 :ご予約者優先で、タワーレコード渋谷店、タワーレコード新宿店にて、10/3リリース THE BOHEMIANS avec ムッシュかまやつ「THE SPIDER BEAT」(FLCF-4436)をご購入の方に、CD1枚につき1枚の入場予備券を配布致します。
お問い合わせ :タワーレコード渋谷店 03-3496-3661

◆THE BOHEMIANSオフィシャル・サイト
◆FOR LIFE MUSIC ENTERTAINMENT
◆THE BOHEMIANS avec ムッシュかまやつ対談

  
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