【異次元連載】トム・ハミルトンが語るエアロスミスの真実 Vol.7「名曲「静かなる男、ブラッドが温め続けてきたリフから生まれた「ストリート・ジーザス」の疾走感と官能」

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全世界で猛威を振るいつつある『ミュージック・フロム・アナザー・ディメンション!』。日本もその例外ではなく、この作品はオリコンの洋楽アルバム・チャートでも当然のごとく初登場で首位を獲得。快調なスタートを切っており、これからロング・セラーを続けていく気配が漂っている。

◆トム・ハミルトン画像

さて、トム・ハミルトンによるアルバム収録曲解説も、いよいよ後半に突入。今回は8曲目に収録されている「ストリート・ジーザス」について語ってもらうことにしよう。こちらは当然ながらスティーヴン・タイラーの作詞によるもので、作曲クレジットにはスティーヴンとジョー・ペリー、ブラッド・ウィットフォードの3人が名を連ねている。途中から激しく展開するこの曲には、エアロスミス・クラシックスのなかから比較対象を選ぶとすれば『闇夜のヘヴィ・ロック(Toys In The Attic)』や『地下室のドブねずみ(Rats In The Cellar)』にも通ずる感触がある。トムにそのように告げると、彼からは次のような返答が得られた。

「まさにその通りだね。実際、この曲のドラム・パートは『闇夜のヘヴィ・ロック』とほとんど置き換えることが可能だと思う。ファストでハードで、しかも威勢のいいこのリフは、ブラッドがずっと温め続けてきたものなんだ。このリフ自体は長いことサウンド・チェックのときなんかにもジャムってきたものだけど、それをなかなか曲としては完成させられずにいたというわけさ。ところが去年の夏のある日、アルバム作りの初期段階の頃に、ボストンのスタジオでジャムをしていたら、そこにジョーがやって来てね。彼は自分のソロ・パートのリハーサルのために現れて、それに合いそうなリフを考えていたんだけど、結果、それをこの曲に取り入れるという形になったんだ。要するに、どうあれこれはギターから生まれた曲ということだよ。エアロスミスの楽曲の大半がギターから生まれているのも確かだけどね。同時に、キーボードからすべてが始まる曲というのも多い。実は今、僕は自宅のスタジオにいるんだけども、そこに並んでいるギターやキーボードを眺めながら、ふとそんなことを思ったよ。キーボード・パートについては、スティーヴンが持ち込むんだ。もちろんギター・パートはジョーとブラッド。とにかく、こういう曲をプレイするのはバンドにとって素晴らしいことだよ。セックスで絶頂に至りそうなんだけども、あと4分間はこの快感を持続させないといけない、みたいな感覚なんだ(笑)」

こうした会話のなかから、この長時間の電話インタビューに応じてくれたトムが自宅スタジオにいた事実も判明。最後はあのクールなトムらしからぬ、むしろスティーヴン的な形容で着地に至った「ストリート・ジーザス」の解説だったが、実のところ、この曲は4分間どころか6分43秒にも及ぶ。このスリリングなリフの応酬をライヴで味わうことができる日の到来が、僕自身も楽しみでならない。次回は、あのカントリーの歌姫、キャリー・アンダーウッドとの共演が実現した「キャント・ストップ・ラヴィン・ユー」について語ってもらう。どうぞお楽しみに!

取材/文:増田勇一

◆エアロスミス特設チャンネル「 【異次元連載】トム・ハミルトンが語るエアロスミスの真実」
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