混ざりっけなしのピュアな声のトーン、やわらかいタッチでやさしく聴いた人の心をほぐしていくその声を“天使の歌声”と称されるようになってから10年。川嶋あい――。おそらく多くの人が彼女に対して抱いているだろう“楚々として少女らしい”というイメージとは、驚くほどにかけ離れた彼女が駆け抜けたこの10年とはどんなものだったのだろうか。

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――デビュー10周年を迎えられて、川嶋さん自身はいまどんな気持ちですか?

川嶋:すごく濃厚な時間だったんで、思い返すといろいろありますけど。本当にたくさんのことを経験させてもらいましたね。こうして私が10周年を迎えられたのも、周りのスタッフさん、ファンがいてくださったお陰なので、本当にありがたいですね。ここまで歌わせてもらえて。

――自分のやる気だけではここまではこれなかった、と。

川嶋:絶対たどり着けてないですよ。路上ライブもそうですけど、これまでいろんな目標を立てて活動してきたんですが、常に周りに自分をサポートしてくれた人たちがいたからこそやり遂げることができたと思ってますから。

――なるほど。そんな川嶋さんが10周年のアニバーサリー企画として行なった2回目の渋谷公会堂ワンマンライブの模様を収録したライブDVDが、12月26日に発売されます。やはり川嶋さんにとって“渋谷公会堂”は特別な場所?

川嶋:そうですね。ここの前でまず路上ライブをやりだして。「1年後に渋谷公会堂に立ちたい」という目標を立てて、それが叶った場所なので。“原点”ですよね。

――その原点に再び戻っ立ったとき、川嶋さんは当時と同じセットリストでライブ行なった。これは誰のアイデアだったんですか?

川嶋:突然、直感的に私が思いついたんです。でも、やるのは結構な勇気がいることで。10年前といまでは歌い方も歌声も変化しているので、10年前に来てくれて今回も足を運んで下さったみなさんにはどんな風に届くのかなとか、いろんな思いがあったんですけど。ライブをやってみたらものすごく感慨深くて。1曲1曲、本当に丁寧に歌を届けていった1日だったんですけど。10年前はどんな風に歌ってたのか、どんな想いで演奏してたのかっていうことは鮮明に憶えているものなんです。なので、そういうことをいまの自分にフラッシュバックさせながら歌えた時間になりましたね。

――つまり、あの日ステージにはいまの自分と10年前の自分がいた訳ですね?

川嶋:だからすごく感慨深かったです。なので、みなさんには10年前のライブもDVD化しているので、それと見比べてもらってもいいですし。メンバーも当時とほとんど変わらないので、みんなが成長してこの場に戻ってきた。そういう仲間との絆もぜひ感じて頂けたらなと。

――10年前の自分といまの自分、川嶋さんご自身から見て、あの頃の自分は子供に思えますか?

川嶋:子供かどうかはわかりませんが、“炎”のように燃えてたなとは思います。

――え、炎? 川嶋さんが?

川嶋:はい。いまもそうかもしれないんですけど。路上ライブを見てくれてたファンの人たちみんないうんです。「あの頃はホント炎みたいだったよ」って。“戦ってる”感じが情熱的に見えたんじゃないですかね。

――戦うって……川嶋さん、何と戦ってたんですか?

川嶋:自分だと思いますけど……分からないですね。本当の答えは。自分も戦ってる感覚はずっとあったんですが、それが何かは分からないですね。

――いまはどうなんですか? まだ得体の知れないものと戦ってる感覚は。

川嶋:ありますよ。なので、自分の気持ちは10年前の延長線上にいる感じで。だから、これが私のスタイルなんでしょうね。私が音楽活動を続けている生き甲斐というか。

――そもそも川嶋さんが戦いだした、その戦いの始まりはどこだったか憶えてます?

川嶋:初めて路上に出たときですね。これでダメだったら(歌手になる夢を)諦めようという気持ちだったので。最後の賭けでしたから。崖っぷちだったので、それが情熱的に見えたんじゃないですかね。

――それで、いまも何かと戦っていると。でも、いまの川嶋さんは決して崖っぷちではないでしょ?

川嶋:(さらっと)崖っぷちですね。10分前に曲ができたとしても「明日は書けないんじゃないか」、そういうことは毎日思ってますから。常にその不安は隣り合わせにあって。その恐怖感と戦いながらの制作の日々ですですから。

――えっ……(絶句)。

川嶋:でも、そういう緊張感を持ってないとこういう仕事はやれないと思います(キッパリ)。

――かっ……カッコいいーー!!!!!!!

川嶋:いやいやいや(照笑)。そうじゃないと“やる気”が出ないですから。自分を追い込んで、奮い立たせないと私は前に向かって走れないんです。そういう気持ちにならないとダラダラしてしまうので。

――ということはこの10年間、じつはストイックに自分を崖っぷちに追い込んで自らプレッシャーを与え、走り続けてきたと。

川嶋:そうですね(あっさり)。

――川嶋さん自身、そういう崖っぷちから生まれ出てる音楽が好きなんですか?

川嶋:好きとか嫌いじゃなくて、これが私のスタイル。こうしないと私は前に向けないし、前に向かないといろんな人、私を支えて下さってるファンのみなさんやスタッフをガッカリさせてしまいますから。何よりも恩返しできないですから。その“恩返し”というところはこの10年間で大きくなっていったところかもしれないですね。

――でも、川嶋さんの活動スタイルは10年前から変わらず、とことんライブが中心で。

川嶋:それはたぶん路上ライブからきてるんだと思います。まっさらなところで歌一本で勝負していかないといけない場所だったんで。生で自分の歌を届けることにやりがい、幸せを感じますね。そこは変わらないです。

――川嶋さんって、ストイックに自分を追い込んだり、こうやって生の歌一本で勝負することが好きだったり。男っぽいというか。

川嶋:そうですね(あっさり)。私のことをよく知る人からは「男だね」といつもいわれますから。全然女らしくないんで。

――実はロックな人ですよね。人生の挑み方が。まさに熱血ファイターウーマン!!(笑)

川嶋:あははははっ(微笑)。そうですね。

――しかも、こうしてお話ししてるときの川嶋さんはとても冷静に自分のことを語っていて。26歳ですよね? なのに全然キャピキャピ浮ついたところもなくて、さっきから驚いてるんですけど。

川嶋:冷静なところとそうじゃないところ、2面性あるんだと思います。友達と話したり遊んでるときははしゃいでますから。

――そういう2面性がある部分はAB型というところにもつながってるんですかね。26年間生きてきて、最近自分がAB型だと知ったって聞いたんですけど。ホントですか?

川嶋:ホントです。これまでずっとA型だと信じてきたのに健康診断の結果が届いたときにAB型って書いてたんで、びっくりしたんです。まだ腑に落ちない感じですね。でも親しい人は「やっぱりね」という感じで。私、相撲が大好きで、貴乃花親方と交流があるんですけど。恵子夫人ともたまにメールをしていて。恵子夫人もAB型なんですけど。AB型って何か大きな事件があっても「まいっか。なんとかなるさ」ってなるよねっていうところで盛り上がりました。

――で、そんな川嶋さんが、今度は人生初のフルマラソンに挑戦してファイターウーマンぶりをみなさんに披露するとか!?

川嶋:はい。1年前、知り合いに誘われて一緒に走り始めたのがきっかけでマラソンにハマって。今回、11月25日(土)の神戸マラソンで初めてフルマラソンを走るんですけど。目標タイム4時間半でゴールできるようにと思ってます。スポーツはそれはまったくやってなかったんで、フォームも自己流なんですけど。マラソンは走ってるときは苦しいんですけど、走り終えた後に達成感がある。すごくスッキリするし、爽快感があるんですよね。

――マラソンをやりだして何か変わりました?

川嶋:健康になりましたよね。風邪一つひかなくなったので。足腰に筋肉もついたので、坂道とか階段は全然楽チンになりました(微笑)。

――いくらファイティングウーマンとはいえ、疲労骨折するまで走るのはよくないですから(笑)。

川嶋:とことんやってしまうんですよ。ランニングとか始めると、食事もあんまり脂身がないもの中心になったり、愛読書も『Tarzan』に変わって。やりすぎてしまって、とまらないんです(苦笑)。誰かに止めてもらうまでやっちゃうんですよ。

――川嶋さんがそこまで自分を追い込んでファイトしてしまうエネルギー、そのエネルギーの源となってるものとは?

川嶋:元々頑固ですごく負けず嫌い、そういう性根があるので、一度決めたらやり遂げないとダメなんです。負けた事になるので。そういうところじゃないですかね。

――なるほど。現在川嶋さんは、全国の教会でライブを行なう<Church Live 2012>を開催中で。来年(2013年)は、10周年企画として<I WiSH>と題したプレミアムライブをデビュー記念日の2月14日(木)にZepp Tokyo、バースデー記念日の2月21日(木)に大阪 BIG CATで開催するそうですが。

川嶋:このライブはI WiSHの曲をメインに演奏していきたいと思ってます。楽しみにしていてください。

――そして、10周年以降の新しい目標として、川嶋さん自身
(1)紅白歌合戦出場 (2)日本武道館ワンマン (3)歌い続けること
というのを掲げてらっしゃいましたけど。

川嶋:路上ライブ1000回以降、大きな目標は掲げてなかったので、10年目を迎えるにあたって何か決めようと思って考えたんです。こういう目標が明確にあるとまた頑張れるので。

――まだまだ戦って、ファィティングして走り続けるぞ、ということですね。

川嶋:走り続けます。10周年の記念企画はさらにいろいろ打ち出していきたいと思ってますので、楽しみに待ってて下さい。

取材・文●東條祥恵

DVD
『My Room~8月20日 10回記念~』
2012年12月26日発売
¥4500

<川嶋あい クリスマスコンサート>
12月26日(水)目黒区民センター
OPEN17:30/START18:00
チケット¥4,800-
11月24日より発売開始

<デビュー10周年記念ライブ「I WiSH」>
2013年2月14日(木)Zepp Tokyo
OPEN18:30/START19:15
1階・2階指定席/¥4,900-
立ち見席/¥4,300-
(入場時に別途D代500円)
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