ザ・ローリング・ストーンズ結成50周年、最も深く知る2人がストーンズの現在を語る Vol.3

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日本におけるストーンズ有識者2大巨頭に訊くインタビュー、最終回となる今回は、デビュー50周年を超えて進み続けるザ・ローリング・ストーンズの未来について訊いてみたい。元レコードコレクターズ編集長であり、『クロスファイアー・ハリケーン』の5万字を超える日本盤解説書も執筆した寺田正典、そして日本唯一のストーンズ・オフィシャル・フォトグラファーの有賀幹夫に、語ってもらおう。

◆ザ・ローリング・ストーンズ画像

『クロスファイアー・ハリケーン』によって、これまで閉ざされていた映像・音源のアーカイヴの封印が解かれたが、今後、両氏が見てみたい未発表映像はどんなものだろうか。

「『クロスファイアー・ハリケーン』で見ることが出来る1972年のライヴはもちろん素晴らしいけれど、1973年の映像をもっと見たいですね。1月にロサンゼルスでやった、ニカラグア地震の難民救済コンサートは撮影されている筈だし、オーストラリアやヨーロッパでのライヴも一部、ニュース映像などで見ることが出来ますが、もっと長い形で見たいです。1970年代に入って以降、ストーンズはどの年のツアーでも、大抵メンバー紹介をしているのに、何故か1970年と1973年のヨーロッパ公演はその例がほとんどない。もしヨーロッパ・ツアーのライヴ映像をフルで見ることが出来れば、その謎も明らかになるかも知れません」──寺田正典

「今回『クロスファイアー・ハリケーン』を作るにあたって、ブレット・モーゲン監督が見ることが出来た映像は全部見たい。何十時間のアーカイヴ映像をすべて見て、自分ヴァージョンの『クロスファイアー・ハリケーン』を作ってみたいです。そう思っているファンは、世界中にいるはず。ただ、モーゲン監督は1年で作ったけど、僕だったら10年はかかるかも知れない(笑)」──有賀幹夫

50年間、常にトップ・バンドとして第一線で活躍してきたストーンズだが、まだ知られていない事実もある。世界のストーンズ研究家たちは、これからも彼らを追い続けることになるだろう。

「ニカラグア地震のベネフィット・コンサートでアンコールに「ミッドナイト・ランブラー」を演奏したことは、2012年になってようやく公式の資料に掲載されて明らかになりました。まだ掘り下げるべきことはあります」──寺田正典

なお、有賀氏からのストーンズへのリクエストは、『クロスファイアー・ハリケーン』のサウンドトラック・アルバムを出して欲しいというものだ。

「映画で使われた「ノー・エクスペクテイションズ」の別テイクや「悲しみのアンジー」のロング・ヴァージョンをフルで聴きたいし、使われていなくても、『クロスファイアー・ハリケーン』のコンセプトに合うアウトテイクやデモ、ライヴ・ヴァージョンなどのレア・トラックを集めたアルバムを作って欲しいですね。収録する音源には事欠かないだろうし、きっと良いものが出来ますよ」

デビュー50周年というアニヴァーサリー・イヤーを経て、ストーンズはどこに向かっていくのだろうか。両氏に、2013年のストーンズを占ってもらった。

11月から12月、イギリスとアメリカで行ったライヴでは、元メンバーのミック・テイラーとビル・ワイマンがゲスト参加してファンを喜ばせたが、彼らの正式復帰こそないものの、今後も友好的な関係は続くと思われる。

「レコーディングにも参加したりして、少し前からミック・テイラーはストーンズ・ファミリーの一員として密接な関係を築いてきているし、ビルも資料提供などで協力・サポートを続けるでしょう。彼らも含め、現在のストーンズは繋がりの強いユニットとなっています」──寺田正典

また、さまざまな音源のリリースにも期待できそうだ。

「2011年にはウェブサイト"ストーンズ・アーカイヴ"で過去のライヴ音源のダウンロード販売が始まりましたが、これからもさまざまな形で、発掘作業が進むことになるでしょう。ニュー・アルバムや新曲も発表してくれたら嬉しいけれど、メンバー達が元気なうちに自分たちの歴史を整理して、世に出して欲しいですね。焦らずに少しずつリリースして、あと20年ぐらい楽しませて欲しい」──寺田正典

今後のライヴ活動について、有賀氏はこう予測する。

「イギリスとアメリカでのライヴの出来によって、今後のことを決めていくと思うけど、そうとう手応えはあったはずだし、2013年もライヴを行うことになるでしょう。長期のワールド・ツアーよりも、数回ずつのライヴを世界各地でやるのではないかと予想しています。そんな中で、あくまで噂レベルですが、日本公演も行うという話もちらほら聞こえてくるし、必ず実現すると信じています」

50周年はひとつの区切りに過ぎない。2013年、ストーンズは走り続ける。2006年3月~4月以来、7年ぶりとなる来日公演にも期待したい。

12月13日 ニュージャージー・プルデンシャルセンター
ライヴフォト撮影:有賀幹夫
インタビュワー:山崎智之

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