<MASH FIGHT!>初代グランプリ決定! 2013年元旦から次回オーディション始動

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ロックシーンの新たな才能と可能性の開拓を目的として、「MUSICA」「A-Sketch」「SPACE SHOWER TV」「HIPLAND MUSIC」4社共同で立ち上げた継続的なプロジェクト、MASH A&R。その育成アーティストを決めるオーディション・ライブ<MASH A&R FINAL AUDITION - MASH FIGHT! vol.1>が、12月26日(水)に渋谷WWWで行なわれた。

◆<MASH A&R FINAL AUDITION - MASH FIGHT! vol.1>画像

半年間に渡り実施されたこのオーディションには、約1000組の応募があり、毎月選出されたマンスリーセレクト・アーティストたちの中から7組が決勝の舞台となる<MASH A&R FINAL AUDITION - MASH FIGHT! vol.1>に進んだ。

▲Ledy Joe

▲オモイメグラス

▲フレデリック

▲キタオユカ

▲The Oral Cigarettes

▲The Oral Cigarettes

▲アカシック

▲PURPLE HUMPTY

▲Hello Sleepwalkers

▲The Flickers

トップバッターとして登場したLedy Joeは、メンバー全員が高校2年生という3ピース。緊張感漂う中スタートしたステージは、まずリズム隊が繰り出すビートの強さに耳を奪われた。ザクザクと縦に鋭く斬り込むリズムを繰り出しながら、徐々に全体をグルーヴさせていく。その上に乗る、鋭角的なカッティングと叙情性の強いリフを使い分けながらバンドサウンドの色を決めていくギター、そしてハスキーな声音の中に強い自我と色香を潜ませたややクセのあるヴォーカル。ロックの中に自らのロマンと美学を描き出そうという意志が強く表れたドラマティックな楽曲群は、実年齢よりも大人びた世界観をステージ上に立ち上らせていた。ストレートなギターロック曲も披露されたが、ファンクからのフィードバックを感じさせるダンサブルなサウンドに歌謡性の高いメロディを載せたM3“LOSERS”に、このバンドの強みと可能性を感じた。洗練を重ねた先が楽しみになるステージだった。

続いて登場したのは、オモイメグラス。
「卑屈で、真っ直ぐで、ノンフィクション」をコンセプトとして掲げる女性ヴォーカルを擁した3ピースバンド。繊細にして豊かな情景描写力をもった蒼白のギターがイマジネーションを解放し、ファンキーなベースとタイトなドラムスによる快楽性の強いリズムが楽曲を前へ前へと転がしていく。2012年5月結成とは思えないほど、楽曲のアレンジ力もバンドサウンドとしての完成度も高い。だが、何よりも惹きつけられたのは、ヴォーカルの存在感の強さ。内に渦巻く想いや葛藤をその歌で表さんとする意志がそのまま声の強さに直結したかのようなハスキーでストロングな歌声が、真っ直ぐに突き刺さってくる。その声の切実さと聴き手に訴えかけるエネルギーの強さに心がグッと掴まれた。すでにある程度まで完成された世界観を持っているバンドだが、ギターフレーズの自由度がさらに磨かれ、ヴォーカルの高音部を活かしたメロディ展開を体得していけば、よりスケールの大きな世界を鳴らすバンドになっていくだろうという期待を抱かせるパフォーマンスだった。

3番手は、フレデリック。
兵庫在住の4ピースバンド。ファンクとサイケとガレージとロックンロールが自由に交錯するアクの強いバンドサウンド、そしてそれを説得力と共に鳴らし切る演奏力の高さに、心を奪われた。オーディションという緊張感あるシチュエーションにもかかわらず、そんなことは気にも留めていないかのような奔放さで堂々たるステージを展開したのも非常に印象的。ドープで中毒的な世界と性急で衝動的な世界を縦横無尽に行き来しながら、目指すのは世界の果ての桃源郷か、はたまた現実のど真ん中に空いたエアポケットか。<死んだサカナのような眼をしたサカナのような生き方はしない>、<峠の幽霊どこいった ほらもうじきあの子はばらばらしてくる>という歌詞も、言葉選びの面白さのみならず、鋭い風刺も効いていて高いセンスを感じさせる。己の中にどろりととぐろを巻く欲望と衝動がダダ漏れに溢れるフレデリックの音楽は、確固としたオリジナリティを放つと同時に、ロックというモノが持つ業の深い変態性と鋭いユーモア、その重要性と愛おしさを再確認させた。

次いでソロアーティスト、キタオユカが登場。
今回のオーディション・ファイナリスト唯一となるソロのシンガーソングライター。キュートなポップネスを奔放に振り回す歌から繊細なる心の震えそのものの歌まで、1曲の中でもコロコロと表情を変える感情表現豊かな楽曲に惹きつけられた。アニメのキャラクターのようなピンク色の髪×真っ白なワンピースでどこかフェイク感を演出しているにもかかわらず、表現自体はどうにも生々しい「裸」感を放っている。とはいえ、「不安定な弱さや脆さを感じさせる歌声を響かせた直後に、突然高飛車に突き放す」という巧さを見せる場面もあり、楽曲的にもパフォーマンス的にも、人の心を掴むための「押し引きの妙」を本能的に体得していることを感じさせた。一貫してポップでキャッチーなメロディでありながら、フックの効いたメロやアレンジを随所に差し込み、単なるポップスで終わらせない手腕と業にもポテンシャルの高さを感じる。ステージ上での存在感やオーディエンスとのコミュニケーション力も高く、彼女の応援に駆けつけたファンの多さも含め、オーディション会場とは思えない一体感を生み出していたのが印象的だった。

続く5番手は、奈良在住、平均年齢21歳という4ピースバンド、The Oral Cigarettesだ。
メンバー全員で第一音を掻き鳴らしたその瞬間、見事に会場の空気が変わった。すでにMINAMI WHEELへの出演を果たしているというのもダテじゃない、実に堂々としたアグレッシヴなパフォーマンスで会場を巻き込んでいく。轟音を掻き鳴らしながらアクロバティックに衝動を疾駆させ、加速度的に熱量を上げていく様子は圧倒的。ロックの獰猛さや野性がしなやかに猛り狂うバンドサウンドに、血が沸き立つような昂揚感がガンガンに煽られる。しかも、そんな衝動性だけで終わらないのがこのバンドの凄いところ。緻密に練られたアレンジの妙や楽曲の確かな構成力からは、音楽的な知性とセンスの高さも十二分に感じさせられた。体にクる直情的な快楽性と、脳にクる音楽的な刺激――その両方を持っているバンドは強い。ヴォーカルのカリスマ性も高く、ロックバンドとしての「華」を感じさせるステージだった。

エントリーNo.6のアカシックは、女性ヴォーカルの3ピースバンド(サポートにドラム、キーボードをむかえ5人での演奏)。1曲目、いきなり腰に両手を当て仁王立ちで歌い始めたヴォーカルの独特な存在感に目を奪われる。抑揚の少ない無機質な、でもキュートな魅力を持った歌声が特徴的……と思って観ていると、その印象は2曲目でいきなり崩された。先ほどとは打って変わってハスキー&情念的な歌声でシャウト気味に歌う姿はとてもエモーショナル。が、熱くなり過ぎるわけでもなく、常に独特のクールさをキープしていて、その不可思議な温度感がクセになる。アレンジはまだ未熟なところがあるものの、1曲の中でも次々とシーンを変えていく展開の面白さやフレーズの発想力はユニークで飽きさせないし、音楽としてのエンターテイメント性が高い。歌詞の世界も実にユニークで、この無二の世界観を今後どう発展させていくか、そこに大きな期待とポテンシャルを感じさせるステージだった。

次いで登場したPURPLE HUMPTYは、21歳&22歳という若いメンバーながら、今年で結成6年目を迎える4ピースバンド。今回の出演7組の中で最もストレートなギターポップを響かせたバンドである。何気ない風景や何気ないやり取りの中から、大切な想いや真実を掘り出し、特別な歌へと昇華していく。そんなこの国が育んできたロック/ポップミュージックの王道を、このバンドも自分達なりの感性で歩み始めていることを感じさせた。歌を最大限に活かす丁寧かつ繊細なアレンジ/演奏は、シンプルでありながらも深く強い想いを感じさせるもの。今この瞬間に共に音を鳴らすことの愛おしさを全身で感じながら演奏をするかのようなメンバーの様子からは、ギターロックというもの、ロックバンドというものの中に彼らが見出しているかけがえのない絆や夢の大きさを強く感じた。

そして。ゲストアクトとして出演したHello Sleepwalkersが登場。
そのライヴが始まった瞬間、会場の大気が一気に重力を増したように感じた。衝動と激情が100%の純度で音像化されていくかのような、圧倒的な迫力でもって鋭利で硬質な音塊が放射されていく。彼らの音楽は一筋縄ではいかない非常に複雑な構造とアレンジをもった楽曲がほとんどで、故にライヴという場でそれを再現していくハードルはとても高いのだが、この日のステージはどの楽曲も見事に「鳴らし切って」いた。ステージ上を所狭しと暴れ回りながら、己の中にあるものを極限まで振り絞り、今この瞬間にすべてを叩きつけていくフロント3人。そんなトリプルギターのバックでヘヴィかつソリッドなビートを繰り出していくリズム隊も、全体をきっかりと支えながらも実にアグレッシヴなプレイを見せる。そして、シュンタロウとナルミの、魂の絶叫をそのままメロディラインに変えていくかのような圧倒的な歌――。最後は完全にレッドゾーンを振り切り、圧倒的なカタルシスを生み出してバンドはステージを去っていった。

次いで、音楽ファンの熱気に満たされた会場に登場したのは、The Flickers。
Hello Sleepwalkersに負けず劣らず、The Flickersも終始レッドゾーンを振り切った素晴らしいステージを魅せた。ヘヴィ&グルーヴィーに腹を打つリズム隊と、問答無用で覚醒を迫るギターサウンド。3人から放たれる尖りまくった鮮烈な音塊が、大気をビリビリと震わせていく。Vo&G&Programming安島もいつにも増してキレッキレ。特にM2では気合いが入り過ぎてネジが2つか3つぶっ飛んだのではないかと心配になるほどの鬼気迫るパフォーマンスを見せ、会場を圧倒していた。途中、「これからの音楽シーンっていうのは、ここにいるお客さんと、音楽業界の人と、僕らアーティストと、みんなで切磋琢磨しながら作っていくシーンだと思うんです。だから頑張ろう」というMCを挟み、リリースされたばかりの新曲“永遠”へ。淡々としたビートと美しいメロディの中に確かなる熱を滲ませたこの曲は、彼らが何故その音楽の中で焦燥と激情をスパークさせる必要があるのか?という、その根源的な理由を感じさせる。逃避のためのロックではなく、どうしようもない日々の中から必死になって希望を掘り起こし、前へと進むためのロック――そんなThe Flickersの本質が露になったステージだった。

なお、栄えある第1回目のグランプリに選ばれたのは、奈良在住、平均年齢21歳の4ピースバンド、The Oral Cigarettesに決定した。衝動的なサウンドと、それだけに留まらないテクニックや知性で高いパフォーマンスを披露し、新たな時代のロックアーティストとして大きなポテンシャルを感じさせたことが評価の決定打となった。

The Oral Cigarettesは、早くもMASH A&Rが総力を挙げてサポートする第1弾アーティストとして、大晦日に神戸ワールド記念ホールで開催される<“Ready Set Go!!” Count Down Live 2012→2013>、1月14日に新木場スタジオコーストで開催される<“HighApps vol.10 Special” New Year Rock Party>の両イベントへのオープニングアクト出演が決定している。

単なるオーディションだけに留まらない、ロックシーンの未来を作る新たな育成プロジェクトがいよいよここからスタートする。

また、アクの強いキャラクターと変則的なロックで観客・審査員を虜にし、最後までThe Oral Cigarettesと評価を競り合ったフレデリックには、急遽創設された審査員特別賞が授与された。フレデリックは、グランプリアーティストのThe Oral Cigarettesと同様に、今後MASH A&Rによる育成・サポートが約束されている。

なお、本オーディションの次回開催も決定しており、2013年1月1日から次回オーディションへのエントリー受付がスタートする。

ロックの明日を夢見、実現したい人はぜひエントリーしてほしい。

◆MASH A&Rオフィシャル・サイト
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