【異次元連載】トム・ハミルトンが語るエアロスミスの真実 Vol.20「デビュー40周年のアニバーサリー・イヤーを迎える5人。その視線の先にはいつも“日本”がある」

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全20回にわたってお届けしてきたトム・ハミルトンの超ロング・インタビューも、いよいよ最終回。『ミュージック・フロム・アナザー・ディメンション!』という画期的作品がエアロスミスの歴史におけるひとつの大きな節目になったことは、すでに読者にもしっかりと伝わっていることだろう。そして気になるのは“次”だ。なにしろ2013年は、バンドにとってアルバム・デビューから数えて40周年という記念すべき年となる。たとえばその歴史を総括するような本をトム自身が書いたならば、とても興味深いものになるのではないだろうか。そうした言葉を投げかけてみると、彼からはとても前向きな回答が返ってきた。

「実を言うと、どんどん興味が湧いてきているところなんだ(笑)。僕自身、かねてから書きものを追求してみたいと思っていたからね。実際、長年にわたってバンドのためにあれこれと書いてきたんだ。数年間、ブログもやっていたし、日記もつけてきたし、変なアイデアが書き込まれたノートなんかもたくさんある。実際、今も自分のスタジオにいるんだけど、目の前のテーブルにはそういったノートが山積みになっているんだ。これをなんとかしないといけないな、と思う。それこそ一冊の本としてまとめたりしたら、すごいストーリーになるだろうからね。過去にもこのバンドの物語が綴られた本は出ているけど、なかには“違うな”と感じざるを得ないものもあったし、とにかくエアロスミスには興味深いストーリーがたくさんあるから、いろいろな観点から捉えながら書いてみたいところだね。だから、いつかそれはやろうと思っているよ。僕自身、そういったことにエネルギーを注ぎ込むことによって、歌詞の書き方についての理解を深められるかもしれないし、自分自身のアイデアを記録に残すための有効なやり方が理解できるようになるかもしれない。だから実際、僕の興味は今、そういうところに向かいつつあるんだよ」

そして実際、2013年はエアロスミスにとってどのような年になるのだろう? トムの口からは、とても現実的な言葉と、僕が期待していた言葉の双方が聞こえてきた。

「正直に言うと、以前ほどハードにツアーすることはないだろうと思う。ただ、日本にはかならず行きたいね。というのも、日本に行くたびに面白いことがいろいろと起こるし、いつも素晴らしい時間を過ごさせてもらっているからさ。変な話、たとえメンバー同士がお互いに対してウンザリしていたとしても、このバンドがプレイするのを聴きたくて仕方のない人たちが世界中にたくさんいるんだという現実に、僕らはしっかりと対峙し続けていかないといけない。実際、マネージャーからもそうやって連絡が来るんだ。“おい、日本行きの話が来てるけどどうだ?”とか“アルゼンチンのファンが、おまえたちが来るのを心待ちにしているぞ!“とかね。そういったメッセージが届いたら、どうしてそれを断れる? それ以上にエキサイティングなことなんて、他には考えられないからね」

現在、エアロスミスは2011年以来となるジャパン・ツアーについて検討中であるらしい。そのときまでに我々は最新アルバムをさらに熟聴し、ともに40周年のステージを賑やかに祝いたいものだ。そして最後に、トムからのメッセージを。

「実は今、1977年のことを思い返しているんだ。初めて日本を訪れた年のことだよ。僕はあのとき、日本酒は枡で呑むものなんだってことを初めて知った(笑)。そして、列車のプラットホームに立っていたときに、50台ものカメラを同時に向けられるという経験をしたのも、あのときが初めてだった。とんでもないことが起こった時期だったわけだよ。そしてすぐさま、また日本に戻りたいという気にさせられたよ。ファンが駅まで追っかけて来るのは怖くもあったし、正直、ときには鬱陶しさも感じた。でも最高だったよ。2011年のジャパン・ツアーのときも、素晴らしいひとときを過ごさせてもらったよ。僕たちには常に通訳や運転手が一緒についてくれていて、あちこち素敵なところへと連れて行ってくれる。まるでエアロスミスは水面に浮かんでいる小さな島のようになって、新幹線で都市から都市へと移動していくんだ。そしていざステージに上がれば、みんなの笑顔や、手を振ってくれる様子や、面白いサインを送ってくる様子が目に飛び込んでくる。こういったことを話せば話すほど、早く日本に行ってまた同じことを経験したいという気持ちにさせられるんだ。それがまさに、僕からのメッセージだよ。エアロスミスはいつだって“また日本に行きたい!”と思っているんだ」

さて、これをもってこの連載は終了。エアロスミスの熱心なファンの皆さんはもちろんのこと、これまで彼らのインタビューを読む機会があまりなかった人たちにもお楽しみいただけたのではないかと自負しています。そして、またこうした機会が遠くないうちに訪れることを願いつつ、僕自身の2012年中の原稿執筆も、本稿をもって終了したいと思います。それでは皆さん、良いお年を!

取材/文:増田勇一

※編集部からお知らせ
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