【インタビュー】UVERworld、「自由に楽しく音楽できる状況をやっとつかんだという感覚がある」

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昨年2012年11月~12月にかけて、大規模な全国アリーナ・ツアーを実施したUVERworld。11月28日にリリースした渾身のニューアルバム『THE ONE』からの楽曲を中心に、日本初となる驚きのステージ演出も行なわれ、音以外でも観客を楽しませた。そして12月26日には、アルバムからのリカット・シングル「REVERSI」が、さらに2013年1月24日からはライブハウス・ツアーも始まり、その怒涛の勢いは年をまたいでさらに加速してゆく。「今は自由に楽しく音楽ができている」と言うTAKUYA∞(Vo)と真太郎(Dr)に、現在のバンドの状況について話を訊いた。

◆「レコーディングはその場でできる可能性を無駄にせずに全部やろうとうことで、あとあと大変になることはわかった上で、とりあえずライブは無視してます(笑)」(真太郎/Dr)

――アリーナツアー初日の代々木を見させてもらったんですけども。ステージ・セットもパフォーマンスも含めて、ほんと素晴らしかったです。

TAKUYA∞(Vo):ありがとうございます。でも初日は…いろいろ反省点の残る日でした(苦笑)。やっぱり回数を重ねていくほうが、より自分を出せますよね。でも今年は年間通して、テレビに出るプロモーションとかよりもライブ中心にやらせてもらってるんで、自分たちの中では「今日は反省点が残ったね」という日でも、ある程度しっかりとメッセージができるようになってきたと思います。

真太郎(Dr):代々木は楽しかったですね。ずっと制作の時期だったので、あれだけの人前に立つとテンションが上がります。ほんと気持ちよかったです。

――あの日はアルバム発売前だったので、まだ誰も聴いたことのない新曲をたくさんやりましたよね。オーディエンスの反応は、どんなふうに見えてました?

TAKUYA∞:聴こうとする人もいれば、何としても乗ろうとしている人がいたり、中には何かメモったりしてる人もいたような気がします。でもインディーズの頃は、リリースする前にライブで新曲を聴いてもらうのは普通だったし、そういう時期をすごく長い時間すごしていたので、そんなに違和感はなかったですね。自分たちにとってもいい刺激と経験になったなと思うので。リリース前の新曲をライブで聴いてもらうのは、これからも意図してそういうタイミングを作りたいなと思いました。

――余談ですけど、ライブで「男クルー!」って呼んでくれるじゃないですか。あれ、同性としてはすごくうれしいんですけど。

TAKUYA∞:最近なんですよ、男の人が増えたのは。ここ2年ぐらいで急に増えました。初めの2~3年は女の子しかいなくて、もちろんそこには感謝してるし、これからも女の子のファンを大切にしようと思ってますけど、やっぱりカッコいい男になるには男同士の話し合いが必要なので。あいつらがいて、ギラギラした感情をこっちにぶつけてくれると、オレも相乗効果で「オマエらに負けてたまるか!」って気持ちになれるんですよ。

▲2012年12月1日(土)さいたまスーパーアリーナ


――なるほど。代々木の後のさいたまスーパーアリナーからは、ライブの演出として日本初となる新しい試み“ザイロバンド”(※注)が加わっていましたね。

TAKUYA∞:そうなんですよ。海外でそれをやっている大物アーティストがいて、「やりたい」ってムチャ振りしたら、うちのスタッフもそういうのが大好きで「やろう!」ということになって。実は“日本初”って、UVERworldにはけっこうあるんですよ。

――おおっ。たとえば?

TAKUYA∞:たとえば前々回(2011年)の大阪城ホールからK1(L-ACOUSTICS社)っていうスピーカーを導入してるんですけど、今年(2012年)はそれを2列……ダブルライン・アレイっていうんですけど、それを使って、外側から楽器の音、内側から歌を出すと分離が良くてすごく音がいいという、それをアリーナ・ツアーでやったのはUVERworldが日本初だと思います。地味なことですけど(笑)。そして今回の仕掛けも日本では初ですね。

――その海外の大物アーティストがやった時に、ニュースになってましたよね。COLDPLAYでしたっけ。

TAKUYA∞:そうです。そのニュースを見た次の日に言ったんですよ、「これやりたい!」って(笑)。

――あれは会場にいた人たちみんな、感動したと思います。ここで、11月にリリースされたアルバム『THE ONE』について、改めてコメントをもらえますか。

TAKUYA∞:シングルを入れると1年半ぐらいかけて作ったアルバムなんですけど、シングル以外のアルバム曲は後半の3ヵ月ぐらいで集中して作ったので、“今自分たちはこれがやりたいです”というものがしっかり提示できてるアルバムだと思います。

――今までのアルバムとは手応えが違う?

TAKUYA∞:そうですね。自分たちはテレビとかで大々的にプロモーションして…というバンドではなく、人から人へ伝えてくれるバンドなんですよ。ライブで「何でUVERworldを知りましたか?」というアンケートを取ると、一番多いのが「友達に聞いた」とか、口コミがダントツに多いんです。ここ何年かライブ中心にやってきて、それを見た人たちが「UVERworldいいよ」って友達に伝えてくれて広がっていったという結果が、CDを発売すれば数字という結果で出てくるので、すごくうれしいですね。

――今回のアルバムは1曲ごとに緻密なアレンジが施されていて、「どうやって作ったんだろう?」っていう驚きがあったんですよ。音を細かくエディットしつつ、スピーディーに場面が変わっていって、なおかつバンドとしてのグルーヴがしっかりあるという。

TAKUYA∞:今回のアルバムはいい意味で一貫性のない、オムニバスみたいな表情の作品になったと思います。一枚聴いたあとに、6曲目と7曲目の区別がつかないとか、そういうアルバムにはしたくなかったので。たとえばドラムだったら、1曲の中でAメロとサビで違うドラムセットを使っていたりするのが、きっとエディット感に感じるんだと思うんですけど。

真太郎:レコーディングはその場でできる可能性を無駄にせずに全部やろうとうことで、あとあと大変になることはわかった上で、とりあえずライブは無視してます(笑)。

◆「半年ぐらい先のことしか考えてないんですよ。そこをめいっぱい頑張ることによって、2年後3年後の選択肢が全然変わってくるから」(TAKUYA∞/Vo)

――で、実際にライブではどんなふうに?

▲2012年12月1日(土)さいたまスーパーアリーナ


真太郎:スネアを2個、キックを2個置いて、その場で叩き分けてます。どこまで忠実に再現できるかは難しいですけど、ライブはライブで、ライブの良さをそこで見出しながら今頑張ってるところなんですけど。

TAKUYA∞:真太郎のメインのドラムは、2012年モデルのハイブリッドなバスドラと、60年代のバスドラを2台置いて使い分けしてるんですけど。それは作品上そうせざるをえなかったということで。自分もエフェクト・ボイスをいくつか作品の中に入れているので、今回のツアーからマイクを2本使い分けてます。メインのマイク1本で切り替えてエフェクトをかけることもできるんですけど、それをやることでメインのマイクの音がちょっと悪くなるというデメリットがあるので。そうやって、作品をできるだけ忠実に再現するということですね。この間の代々木と、その前のウォーミング・アップ・ツアーをヴォーカリストの同業者が何人か見に来てくれていて、「いいよな、あれ」って言うんですよ。

――そして年末の話題としてもうひとつ、アルバムからのリカット・シングル「REVERSI」が12月26日にリリースされます。これについては?

TAKUYA∞:これは映画『青の祓魔師』主題歌に起用されるということで、映画を見て、この曲だけがほしいという方のために作ったシングルです。そういう流れとタイミングで出すものですね。そこにカップリングとしてライブ音源と、今年最後に思いきりふざけようかなと思って、「セオリーとの決別の研究+81」という曲も入れてます。

――この「+81シリーズ」、ファンにはすっかりおなじみですけども。ライトなファンは「REVERSEI」から入って、ディープなファンはカップリング目当てでという感じですかね。

TAKUYA:ライトなファンは相当ビックリすると思いますけどね、カップリングを聴くと(笑)。それも今の自分たちだからできるというか、常に崖っぷちでやってるつもりではいるんですけど、切羽詰ってはいないというか、音楽で遊ぶ心のゆとりはあるので。それを聴かれて誤解されようが、別にかまわないという。

真太郎:このシリーズがカップリングに入ってると聞いて、うずうずする人もいっぱいいると思うんですよ(笑)。その期待に応えられるクオリティはあると思うので、楽しんでほしいですね。これを聴いて、嫌なことを忘れてほしいです(笑)。

――そして年が明けると1月24日からまたツアーが。今度は大きめのライブハウス中心です。

TAKUYA∞:アリーナだけだとちょっと淋しいので、今度はライブハウスでやります。年明けはいつも制作からぬる~っと始まってたのが、来年はライブからビシッ!と始まるのがいいかなと。

――内容はどんなものを?

TAKUYA∞:まったく決めてないです。アリーナ・ツアーが全部終わってから考え出すと思います。…と言いつつ、ステージセットの打ち合わせはもうしていて、今までにない景色の中で、自分たちの楽曲に合った空間を作り上げたいなと思っていて、スタッフと打ち合わせしているところです。僕たちは楽曲に対してすごくこだわりがあって、いろんなチャレンジをするじゃないですか。それと一緒でスタッフたちにもそういう気持ちがあって。僕、個人的にはあんまり派手なセットは好きじゃないんですよ。だから「あんまり派手にしないで」って言うんですけど、スタッフは「いや、オレたちにもやりたいことがある。そこはこだわらせてくれ」と。そういう話し合いもすごく楽しいんですよね。

――いいスタッフですねぇ。

TAKUYA∞:だから自分たちはちゃんとセットリストを作って、ファンの子たちに語りかける言葉をしっかり考えることに専念したいと思います。UVERworldにしかできないライブというものが、今ようやくわかり始めてきているので、それを色濃く出せるツアーにしたいなと思ってます。

真太郎:すごく楽しみですね。ライブで1年を始めるということは、2013年1年がどうなっていくかという楽しみでもあるし、2013年に期待を持てるようなツアーになればいいと思います。

――ちょっと早いですけど、2012年1年、お疲れ様でした。最後にひとこと、2012年はUVERworldにとってどんな年でした?

TAKUYA∞:自分の中で今後心に残りそうだなという楽曲も作れたし、ドキュメント映画を作ってもらって公開したり、ここに来てどんどんメンバーへの信頼感も深まってきて、UVERworldが本当に楽しくなってきましたね。デビューからしばらくの間はいろんな悩みを抱えていたと思うんですけど、ずっと変わらずにメンバーと一致団結してやってこれたことが、今年ぐらいから結果として出てきている気がするんですよ。すごく自由な、底なしの自由を感じながら音楽をできた1年でしたね。

――そして次の目標は?

TAKUYA∞:最近は、半年ぐらい先のことしか考えてないんですよ。そこをめいっぱい頑張ることによって、2年後3年後の選択肢が全然変わってくるから、3年後にこうなりたいと決めてしまうよりも、そのほうがいいと思ってやってます。でも今は、自由に楽しく音楽できる状況をやっとつかんだという感覚があるんですよ。だからもうしばらくは何も考えず、好きに音楽をやらせてくれよという感じですね。

取材・文●宮本英夫

※「XYLOBAND(ザイロバンド)」専用のソフトウェアで、リストバンド内に入ったLEDの色の動きを操り、空間を演出する。Coldplay (コールドプレイ)がライブに導入し、注目を集めている。日本でライブ演出に取り入れたのは、UVERworldが初となる。

7th ALBUM
『THE ONE』
2012年11月28日発売
【初回生産限定盤】CD+DVD
¥3,700(tax in)
特製三方背BOX仕様&スペシャルブックレット付き
・初回生産限定盤DVD内容
ミュージックビデオ
(LIVE at Avaco Studio)
【CORE PRIDE,いつか必ず死ぬことを忘れるな,NO.1~ace of ace,一石を投じる Tokyo midnight sun】
KINJITO~BABY BORN & GO
7th Trigger~AWAYOKUBA-斬る
THE OVER、THE SONG UVERworld×digital hollywood 企画作品3作

【通常盤】CDのみ
¥3,059(tax in)
[CD]
1.THE ONE(SE)
2.7th Trigger
3.Don't Think.Feel
4.LIMITLESS
5.23ワード
6.此処から
7.KINJITO(LIVE intro ver.)
8.THE OVER
9.REVERSI【「青の祓魔師」劇場版主題歌】
10.バーベル~皇帝の新しい服 album ver~
11.BABY BORN & GO
12.AWAYOKUBA-斬る(LIVE intro ver.)
13.NOWHERE boy

New Single
「REVERSI」
2012年12月26日発売

<UVERworld LIVE TOUR 2012~13 秋冬>
2012年
12/25(火)日本武道館
2013年
01/24(木)ZEPP SAPPORO
01/25(金)ZEPP SAPPORO
01/30(水)ZEPP DiverCity
01/31(木)ZEPP DiverCity
02/06(水)ZEPP FUKUOKA
02/07(木)ZEPP FUKUOKA
02/12(火)ZEPP NAGOYA
02/13(水)ZEPP NAGOYA
02/17(日)LOTS
02/21(木)RENSA
02/25(月)ZEPP NAMBA
02/26(火)ZEPP NAMBA
02/28(木)ZEPP DiverCity(1F男性限定/2階女性限定)

◆UVERworldオフィシャルサイト
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