【インタビュー】小林太郎、2年前からやりたかったことが2年越しでようやくできたアルバムが完成

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2012年7月にメジャー1st EP「MILESTONE」をリリースした小林太郎が、ついに満を持してのメジャーフルアルバム『tremolo』を完成させた。感情の赴くまま自由にクリエイトした楽曲は、ロックな楽曲はよりハードに激しく、繊細な楽曲はどこまでも優しく染みる。小林太郎というアーティストの内面をこれでもかとさらけ出した渾身の一枚となっている。

■僕らしい感情の起伏を振り切り
■自分のことを把握して作れたアルバム

──「tremolo」っていうのは、ギターについてるトレモロアームのトレモロなの?

小林太郎(以下、小林):ギターのエフェクターのほうのトレモロですね。音を振幅させるやつなんですけど。

──どんな意味を込めてつけたタイトルなの?

小林:「MILESTONE」の時にも、自分に才能があるから曲を作れるのではなく、自分はあくまで器でしかないって話をしましたよね。だから、もらうものを受け取って、自分が媒介となって、もらったものを届ける……そういうスタンスは変わらないんです。その考えに至るまでは、自分自身のこともわかってなかったんですが、今は、器である自分自身のこともわかってきてるんです。もともと自分って、音楽とは関係ないところで気性が激しいんです。感情が振幅しやすい。トレモロって振幅をつけるものだってさっき言いましたが、そういう意味合いで。

──感情が振幅しやすいっていうのは、感情の波があるってこと?

小林:そう。一瞬でイライラが出て来ちゃったりするんです。

──テンション高かったと思ったのに、急に怒るとか?

小林:テンション上がっちゃってしょうがないとかではなく、怒りの感情。負のエネルギーが出やすいんです。そういう面って、日常生活ではそんなに表に出さないようにしているんですが、それって凄く疲れるなぁって(笑)。考えてみれば、そういう起伏の激しさは、音楽にそのまま出てるなぁと。ライヴだったり。

──うん。

小林:自分の持っている器の中でも、これはカッコいいとか、好きだなとか思うセンスっていうのは、自分のモノですよね。そのセンスとして、小林太郎たらしめているのは、この感情の起伏なんじゃないかと思ったんです。この感情の起伏から自分の音楽ができている。だから、今回の『tremolo』には色んな曲が入っているんですが、今までよりも色んな面を見せたいと思ったんです。イライラしてるなら、それを思い切り出す。落ち込んでるならとことん落ち込む。そんな風に全曲、振り切りたいなと。「MILESTONE」の時よりも、さらに自分のことを把握した上で作れたアルバムだなぁと思います。

──今までの作品でも充分、感情の起伏の激しさは伝わっていたけど、それは、なんでそうなるのかわからないままやっていたんだね。

小林:そうなんです。今回はそれが理解できたから、狙った上でやってみたかったんです。それこそが僕の良さだろうから。曲はもちろん自分で書くんだけれども、それよりも歌とギターだけでも、できるだけそういう自分らしさを出せたらなぁってところに集中しました。そういった意味での試行錯誤をすごくしましたね。

──振り切って色んな感情を曲にしたからだと思うけど、曲のバリエーションも増えた。

小林:うん。生活してるといろんな感情が出てくると思うけど、できるだけ無意識に書こうとすればするほど、色んな感情が出てきやすかった。歌詞で言えば、「俺、こんなこと考えてたなぁ」って思い出すこともあれば、なんとなく思っていたけど、意識してなかったなぁとか、色んな発見がありましたね。あと、曲のジャンルや雰囲気も別々な曲になりましたし。自然に出したからこそ、多岐に渡る方向性になりましたね。

──中でも「答えを消していけ」なんて、尖りまくりだね。

小林:これは歌詞が書ける気がしなかった(笑)。でも、書き始めたらサラッと行けたんですよ。全曲そうなんですが、まず感情の赴くまま書いてみて、ダメだったらもう一回頭から書き直すって感じでやっていきました。できなかったからどうすればいいんだろうじゃなくて。それを繰り返す回数は曲によって違うんですけど。曲によって一回でできる曲もあれば、全然できない曲もあるし。例えば、「愛のうた」は一発で書けたんですよ。

──振り切っただけあって、この曲は今までになく優しいね。

小林:そうですね。繊細な感じ。この繊細な感じを表現するのが難しかった。これまですごく、そういう曲は苦労してたんですけど、やっとこの『tremolo』でできるようになったなぁと。


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