【インタビュー】ジャンク フジヤマ、自分自身がブレずに聴く層を広げていくことこそがポップスだと思う

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メジャーデビューシングル「あの空の向こうがわへ」、2ndシングル「PROUD/EGAO」に続くジャンク フジヤマの2013年初シングル「シェダル」が完成した。自身が敬愛するルーツ・ミュージックである“ポップス”の醍醐味を、今の時代に蘇らせる彼の音楽。と同時に、彼が歌い上げるメロディは、単なる過去の焼き直しではなく、現代のリスナーの心を一発でつかむまばゆいばかりの魅力に満ち溢れている。彼の実力を認め、今作にもプレイヤーとして参加している村上“ポンタ”秀一や、カップリング「魅惑の唇」のアレンジを務めた井上鑑など日本を代表する音楽人をもうならせる、ジャンク フジヤマの魅惑のポップス・ワールドをご堪能あれ!

■歌う人間の技量があるのは当たり前で
■プロフェッショナルが作り上げるポップス

──“シェダル”は星の名前だそうですが、どんなインスピレーションからタイトルにつけられたんですか?

ジャンク フジヤマ(以下、ジャンク):“シェダル”は、いわゆる恒星なんです。恒星っていうのは、自らの力で輝くの星のことをいうんですよね。要するに、太陽の光を反射して光って見えるんじゃなくて、当の星が、自分がエネルギーとなってそれを燃やして光るっていう星のことをいうんですけど……。内面の美しさから輝く女性と星を擬人化して、星に置き換えて書いた歌詞なんです。

──例えば、<気まぐれな彗星に 想い委ね伝えたいよ 君が好きだよと>という一節があったり。女性を星になぞらえるっていう、ロマンチックな内容になりましたね(笑)。

ジャンク:(笑)そういう物語を一言で言えるような名前はないかなって星を色々探していた中で、“シェダル”を見つけたんです。響きも綺麗だし。で、まさにロマンチックな雰囲気もありつつ、ポジティブな思いが表れている歌詞でもあるっていうのはこれまでの作品ともずっと変わっていないですね。僕自身が、下向きな内容の曲よりも上向きな内容の曲が好きなので、必ずポジティブな感じのワードが入ってくるっていうか。あと、自分自身も未来に向かってさらに羽ばたきたいっていう、そういう意味合いもありますし。

──なるほど。歌詞の中の“未来”や“希望”は、まさに今のお話通りのイメージのワードですね。2012年はメジャーデビューされた年でもありましたし、その中でジャンクさん自身の感じていたこともこの曲には表れているのかも。

ジャンク:そうですね。2012年は、例えばキャンペーンで色々まわって、全国どこへ行っても本当に熱い反応をいただいたんです。“こういう音楽をやってくれる人を待ってました!”っていう反応が本当にいっぱいあったので、これだけ待ってくれる人がいるなら頑張る甲斐もあるなって感じましたし。だからこそ、僕が今一番やらなきゃいけないのは、それを“拡大させる”っていうか。聴いてもらえる層をさらに広げる、ターゲットっていうものをどう考えるかっていうことですよね。自分のやりたいことはブレずに、なおかつそれも考えてやるっていうのが“ポップス”だと僕は思っているので。

──“ポップス”は、今までの取材でもお話されていたこだわりですね。“大衆音楽”っていう和訳のとおり、より多くの人の心をとらえる力を持っている音楽っていう。

ジャンク:そう。例えば、街頭から流れる音を聴いて、テレビから流れる音を聴いて……。この“シェダル”でいうなら『CDTV』で使ってもらっているので(『CDTV』1月度エンディングテーマ)、そのテレビで流れた音を“良い曲だな!”って感じてもらえるものをまずは作らなければいけないっていう。“ポップス”っていうのは、なんていうんだろうな……。ある程度の“型”があるというか。Aメロがあり、Bメロがあり、サビがあってっていう、典型的なスタイルがポップスにはあるんですよ。そこから逸脱せずに作っていくっていうのがまずあり、その中に、歌う人間の技量があって、歌詞を書く人間、作曲する人間、編曲する人間、そして演奏陣の技量がありっていう。それぞれのプロフェッショナルが関わって作り上げるのがポップスだと思うんですよね、僕はやっぱり。

──シェダルは、まさに一発で“良い!”って来ますね。イントロからめちゃくちゃ爽やかで、サビはその雰囲気がさらに雄大に広がって。

ジャンク:ありがとうございます! 雄大さは、僕の中でもイメージにありました。なんか、こう……こぢんまりした内容にしたくなかったんですよ。要するに、“星”ですから。地球よりはるか向こうにあるわけですから、そのはるか向こうにあるものを身近に感じる表現っていうか。そこで、大空を雄大に旅するような、そんなイメージの中で歌うというかね。だから、例えば、“羽ばたけ オレンジの翼で”っていうところで来るファルセットとかも、すごく響いてますよね。雄大に響く言葉を実際に選んだし。

──その、雄大なメロディを歌い上げる、伸びやかなボーカルもすごく印象的です。歌入れにはどんなポイントを意識して臨まれましたか?

ジャンク:まずは、いかにブレスをせずに歌うかっていうのは常にありますね。僕らは人間ですから、息を吸わないと喋ったりも歌ったりもできないわけですけど、今もこの喋ってる瞬間もどっかで無意識に息を吸ってるわけですよね。と同時に、無意識からこそ無駄なところで吸ったりもするんですよ。それをそぎ落とさないとっていうことで、僕は、この曲を含めたほとんどの曲でなるべくブレスをしないで歌いきるっていう。

──ブレスの入れ方で言葉の響きが変わるんだろうな、とか……。そういう細かい部分まで考えると、息遣い一つまで深く聴きたくなります。

ジャンク:そう。それを含めて色々な意味がありますけど。メロディがなるべく途切れちゃいけないとか、この言葉がここで途切れちゃいけないとか。ブレスっていうのは完全にフィジカルなものですから、体調が悪いと、例えばライヴでは普段吸わないところで吸ったりするんですよね。そこも、聴いてる人は聴いてるんですよ。“あそこで吸って流れが悪くなったよね”って評価が来るわけです。だから、必ず音源どおりにやる必要はないですが、ライヴでもできるだけ再現性をしっかりしたものにする。なおかつ、ライヴだからこそできる面白さとかも垣間見せられたらいいなとは思いますけどね。

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