【ライブレポート】悲しみは消えない。でも、変わらず愛していくと、心に誓えた夜。<Raphael 再演『天使の檜舞台 第二夜 黒中夢』>

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2012年10月31日と11月1日にZEPP TOKYOで行なわれたRaphaelの“再演”2daysライブ。2日目となった<天使の檜舞台 第二夜 ~黒中夢~>の模様を完全収録した2枚組DVDが1月30日にリリースされる。

そこで、2012年12月にBARKSで掲載した<天使の檜舞台 第一夜 ~白中夢~>と対になる、もうひとつのライブレポート。<天使の檜舞台 第二夜 ~黒中夢~>の模様をお届けしよう。執筆したのは、前回に引き続いて、Raphaelの歩みを間近で見てきたライターの武市尚子 氏だ。

  ◆  ◆  ◆

2012年11月1日───。

Zepp Tokyoの周りには、開演前から多くのファンたちが集まっていた。当時のRaphaelの様々なコスプレをしたファンたちも大勢いた。

しかし。両日ともチケットは、ものの数分でソールドアウト。1日3000枚のチケットに対し、なんと1万5000件以上(両日で3万を超えた)の応募があったことから、ライヴが見れなかった人も大勢居たという。残念ながらチケットを購入出来なかったファンたちも、この場所には来ていたかったとみえ、これから始まるライヴ前に会場に足を運び、昔、Raphaelを通して知り合い、そして友達になった友人たちと再会を喜びあい、抱き合い、楽しそうに当時を振り返っていた。

当時、一緒にRaphaelを追いかけ、Raphaelを歌い、Raphaelに救われ、Raphaelとともに青春を謳歌してきたファンたち。結婚し、母となり、新たな人生を歩み始め、ライヴに参戦するのは5年ぶりという話も耳に入ってきた。変わって行く現状。過去になっていく今。過ぎ去っていく時間の中で、風化されることなく、ずっと生き続けているRaphaelとの時間を、今も大切に心に置いているファンたちの言葉が愛しくてたまらなかった。

ここに集まったオーディエンスだけではない。この日、仕事でこの場に来ていた関係者やアーティストの中にも、Raphaelがきっかけで音楽の道に進んだと言う人が大勢居た。そんな彼らの話を耳にし、Raphaelがバンドシーンを牽引していた存在であったかを確信したのだった。

2012年の2月にRaphaelのオフィシャルサイトが立ち上がり、カウントダウンが始まった。そして。2012年4月7日。華月の誕生日でもあるその日に、この再演が告知されたのだ。

彼らがZepp Tokyoを選んだ意味───。
それは、華月がRaphaelとして最後に立ったステージだったからだ。

YUKI、華月、YUKITO、HIRO。まぎれもないRaphael4人で立った最後のステージ。華月が憧れていたマーシャルの壁を実現させたのもここ。最後のステージとなってしまったZepp Tokyoのステージに、華月は憧れの横4列、縦3段のマーシャルの壁を作ったのだ。そんな自己満足を、ライヴのMCで自慢げに話していたのを思い出す。まったくもって華月らしい。

そんな華月を、Raphaelを、ファンたちは1日たりとも忘れたことがないのだろう。また、それと同じく、YUKI、YUKITO、HIROも、やはり、華月を忘れた日など1日もないのだ。

こんなにも愛されていたんだな───。
埋め尽くされたZepp Tokyoのフロアを眺め、胸が熱くなった。

華月の死から10年。YUKIは絶えず行っていた華月のお墓参りの際に、墓前で、この再演を誓ったという。そして、YUKITOとHIROにその想いを打ち明け、彼らの同意の元、この再演を現実のモノとしたのだ。

沈黙を貫き、悩み抜き、全てを受けとめてきた12年目の再演。オフィシャルのRaphaelのライヴの1日目は、最高の笑顔が溢れたライヴになった。賛否両論だったこの再演。正直、私自身も見るまでは怖かった。曲がった感情たちが、ここに集中してぶつけられることになってしまったら、今以上に彼らが苦しみを負うことになる───。

そして。なによりも、華月が居たステージの上手がポッカリ空く現実を再び見るのが、辛かった。

しかし。この再演への想いをYUKI、YUKITO、HIROから聞いたときの揺るがぬ決意に、向き合おうと思った。

「想いは、風化しない。忘れない事と、引きずる事は違う」

心の中で、そう言い続けてきたYUKIの想いを、彼らは、彼ららしく、ここに残そうと決めたのだ。

13年目の決意。
1日目のライヴを見て、本当にこの再演に踏み切ってくれた彼らに感謝した。12年間という沈黙と苦しみの上にあった、みんなの笑顔だったと。心からそう思った。

11月1日。一夜が明け、そこは<天使の檜舞台 第二夜 黒中夢>の世界に塗り替えられた。黒に身を包んだ彼らの登場に客席は沸いた。

昨日よりも激しい始まり。
YUKITOの尖ったベース音のスラップが響く「人間不信」から幕を開けたこの日は、頭から、SEX MACHINEGUNSのANCHANGと、AYABIEの夢人というゲストギタリストを迎えたスタイルで届けられた。「小夜曲~悲愴~」「Sweet Romance」と、スピーディなヘヴィ曲を間髪入れずに届け、「ピーターパン症候群」へと繋げた。

“大人になんかなりたくない!”と声を重ねるオーディエンス。すっかり大人と呼ばれる歳になった、彼ら彼女が叫ぶこの言葉は、とてもリアルだった。アルバム『mind soap』に収録されているこの曲。汚いものに触れる度に、ひとつずつ壊れて消えていく純粋。人は、そうやって大人になっていく───。

“ボディーソープは体を洗う石鹸でしょ。だとしたら、『mind soap』は心を洗う石鹸なんです”

そんな華月の言葉が頭に浮かんだ。
華月は、きっと綺麗なまま、純粋を抱いて大人になっていたことだろう。そして。大人と呼ばれる歳になった今でも、心の底から、この「ピーターパン症候群」を歌っていただろう。

Raphaelとともに生きて来たファンたちも、きっと同じ。この日、心の底からこの言葉を叫んでいたに違いない。

ゲストギタリストがステージを降り、「吟遊詩の涙」からは、YUKI、華月、YUKITO、HIRO、そして、もっちゃんの音で届けられた。

「今日も華月の音がアンプから流れるからね。俺たち、4人でRaphaelだからさっ。みんな幸せに生きて下さい。Raphaelというバンドを愛し続けて下さい。華月と届けます」(YUKI)

届けられたのは「不滅花」。畳み掛けられるHIROのドラムと、高音で鳴り響くギターと柔らかなアルペジオが印象的な華月のギター。枯れることのない花。まさに、それはRaphael。次に届けられた「症状2分裂症」でYUKIは涙した。うれし涙であったと言う。

「僕と「僕」」を届けた後、この日もHIROのドラムソロ「Time Lag」が届けられた。

“華月が好きだったこと。華月がやりたかったこと。華月が笑顔になること”

それを一番近くで見てきて知っている3人だからこそ、こうして再現することが出来ているのだろう。きっと。この日を、何よりも華月が喜んでいたのではないだろうか───私はそう思った。

「シナゴーグ前奏曲~第2楽章~ホ短調」をSEに、ライヴは第2部へと時を移した。

ここからは、ゲストギタリストのナイトメア/咲人と、Lida/ex サイコ ル シェイム・現DACCOとともに「症状1潔癖性」「imitation White」「49」を届けた。

「全てを曝け出せ!」(YUKI)

昨夜以上に声を荒げたYUKIの声に触発され、スピーディなYUKITO、HIROのリズムに負けじと頭を振るオーディエンス。「49」では、約15分ほどの長い煽りを見せたのだった。

「ヴィジュアル系ってバカにする奴も居るけど、これが俺たちの青春だよな! そうだろ? アイツのところまで届けようぜ!」(YUKI)

客席は轟音のような声を上げ、強く握りしめた拳を力一杯振って応えた。

「昨日も今日も、始まる前まですごく緊張してたけど、みんながハッピーになれること、一生懸命に考えていたんだけど、ありがとう、その笑顔見て安心したよ。本当にありがとう」(YUKI)

そんなYUKIの声に、客席は心からの“ありがとう”の声を返した。
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