【インタビュー】清木場俊介、熱く吠えるシンプルなロックンロールと愛を唄う甘くせつないスローナンバーが同居した『FIGHTING MEN』

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愛することと戦うこと。信じることと抗うこと。受け入れることと、決して曲げてはいけないこと。──その率直な生き様をストレートに表現した『FIGHTING MEN』は、清木場俊介にとって大きなターニングポイントになりうる作品だ。熱く吠えるシンプルなロックンロールと、愛を唄う甘くせつないスローナンバーとの振幅の中に、戦い続ける男の本音がくっきりと浮かび上がるのが聴こえるだろうか?

■今までは唄うことに重きを置いてましたけど
■今はアレンジなど作るほうが楽しくなってきた

──今回、セルフ・プロデュース曲がぐっと増えましたね。

清木場俊介(以下、清木場):そうですね。アレンジャーさんをつけた曲も「こうしてくれ」ということはどんどん言ったので、自分が作った感は大きいです。今回、プリプロの時間を3か月ぐらいもらったんです。たとえばバラードのアレンジを考える時に、ピアノを入れて合わなかったらオルガン、オルガンが合わなかったら弦にしようとか、そこでいろいろ試せたので。今まではアレンジよりも、唄うことに重きを置いてましたからね。今は作るほうが楽しいです。

──おお、だいぶ意識が変わったんじゃないですか。

清木場:ようやく、音楽人らしくなってきたのかな(笑)。そういうの、自分はやる必要がないと思ってましたから。でも最近は、曲を作っている時からアレンジができるようになってきたので、そこが変わりましたね。あと、同年代がどんどん(音楽の)職人になってきてるんですよ。今まではどうしても上の世代に頼んでいたんだけど、音を作る時も、ライヴの時も、ようやく同年代がチーフになって動くような状況が増えてきたので、すごくやりやすい。これが歳を取るということですね、いい意味で。リラックスして音楽ができるので、楽しいです。

──そういう楽しさも感じつつ、アルバムの聴き応えは「ずっしり」という感じでしたよ。とても親密な雰囲気があって、同時にぐっと胸に染みる熱さがあるというか。

清木場:今回はネガティヴよりもポジティヴな自分を前面に出しながら、聴き手に訴えるような曲が多いので。無理矢理というよりはリラックスした感じで、「そうだよね?」というアプローチが多いんですよ。


▲『FIGHTING MEN』初回限定盤
──ああ、その言い方、すごくわかる。

清木場:今までは「聴いてくれよ! こう思うだろ?」というものが多かったんだけど。そういう意味で、前作『ROCK&SOUL』とはまったく違うかもしれない。あの時はまだ背伸び感があったけど、今はまったくないです。「これをやってどう思われるだろう?」というのはなくなりました。何を思われてもいいし、そういうものだと思うし、最近はすごくシンプルに音楽で遊んでます。

──まず頭から4曲、ボクサーの長谷川穂積さんに捧げた「Fighting Man」を筆頭に、メッセージの強いハードなロック・ナンバーが続きます。

清木場:「ROLLING MY WAY」は「こうありたい」という自分の理想を全部入れた曲で、「ONE」は20代の自分を振り返って作った曲です。最近思うのは、40歳、50歳になっても唄える曲がほしいんですよ。「ONE」はたぶん唄えますね。40歳になった時には30代の自分を思い出して唄うだろうし、時代を経て自分の中で育てていくような曲だと思うので。昔は「今の自分」ばっかり唄ってたんだけど、最近は過去を振り返ったり、未来を見たり、そういう曲が多くなりました。

──「馬鹿が見てる」という、アルバムに毎回必ず1曲入っている強烈な毒舌ソングもありますが。

清木場:毒を吐かないと気がすまない(笑)。最近「丸くなったな」とか言われるんで、こういうのを1曲入れて「清木場、まだまだ噛み付きまっせ」というところを見せておかないとね。でも「丸くなった」とか言うけど、20代のツッパリ方と30代のツッパリ方は違うじゃないですか? その違いだけなんですよ。

──芯は変わってない?

清木場:そう。でも「毎日吠えてないと清木場じゃない」というイメージをみんな持ってるから。そんな元気はないですよ、もう33歳ですから(笑)。


▲『FIGHTING MEN』通常盤
──そのあと5曲目から、いいラブソングが続くんですよ。

清木場:極端ですよね(笑)。そこは狙いました。最近、バラードに関してはアプローチが変わってきて、ほとんどの曲に「愛」が入ってるんですよね。意識してないのに。

──それ、言おうと思ったんですよ。いろんな意味での「愛」が今回はすごく多い。

清木場:自分の中である変化が最近起きて、それが反映されてるとは思うんですけど。そういうことを書いても恥ずかしくなくなった、ちゃんとした相手がいれば。たとえば「Message」はファンの方に向けて書いた曲で、一見ポジティヴで前向きな曲なんですけど、ファンの方が亡くなったんです。それを僕に知らせてくれた人がいっぱいいたんです。僕がデビューした時からずっと応援してくれていて、若くして亡くなったんですが、たくさんのファンの人たちが「空に向かって何かひとこと言ってあげてほしい」っていうメールや手紙を僕にくれたので、何かしたいと思うのが人間じゃないですか? じゃあ曲を書こうと思って書いたのがこの曲です。そう思って聴くと、全然違うでしょ?

──全然違いますね。

清木場:ファンの方はみんな知ってるので、最初にライヴで唄った時も、みんなすごくいい顔をして聴いてくれましたよ。僕は人の死を知って何もできないような人間にはなりたくないし、知らない振りはできないんだと思いました。ここだけは曲げたくないという、自分の中のルールがあるじゃないですか。それが、この曲に対する僕のアプローチだったんです。全世界の苦しんでる人は救えないけど、自分を必要としてくれた人は救えるんじゃないか?と。そこで自分も救われてるし、きれいごとでは決してないんですよね。これを書くことによって僕も変われたし、そういう意味でこれはただのポップソングではないんです。自分の中では。

◆インタビュー続きへ
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