【インタビュー】SKY-HI a.k.a.日高光啓(from AAA)が語る“事業計画”

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初ソロライブツアーの初日が直前に迫った2月初め。その男は都内のリハーサルスタジオにいた。

◆インタビュー時の画像、ツアースケジュールなど

2つの顔を持つ男。ひとつは年末の『NHK 紅白歌合戦』など、数々のテレビやラジオに出演し、ライブを開催すれば、さいたまスーパーアリーナを埋め尽くすほどのファンが会場に殺到する、今をときめく人気グループ・AAAのメンバーとしての顔。もうひとつは、日本のヒップホップシーンを必死に盛り上げようと奮闘する若手ラッパーとしての顔。

SKY-HI a.k.a.日高光啓(from AAA)。

「もし今回のライブが上手く行かなかったら、****します。」と、いかにもラッパーらしい“ホットなワード”をアイロニックに投下して始まった彼へのインタビュー。話題は、ソロライブツアーのこと、2年前から企画がスタートし、2012年にコンピ盤としてリリースされた『FLOATIN' LAB』企画のこと、さらにSKY-HIというアーティストの計画と展望、そしてAAAの新作についてまで、実に多岐にわたった。

  ◆  ◆  ◆

── 昨日もすごい遅くまでライブのリハーサルされてましたね(※ 前日は深夜3時半過ぎにTwitterにてライブリハ終了のツイートをしていた)。

SKY-HI:そうですよ……(疲労困憊な仕草)。昨日は長くなっちゃったですね。最初はその、なんとなく、終電前くらいで終わらそうと思ってたんですけど、その、なんか、いろいろやるんですよね。今までの人生いろいろやってきたんですけど、ソロのライブだとそれが全部できるから。当然ラッパーだからラップをするんですけど、ダンスもずっとやってきてるし……あと言いたいけどやめとこう(笑)。

── あ、最初にお伝えしておくと、このインタビューの掲載は、きっとツアー初日(2月8日 福岡DRUM LOGOS)の後になると思います。(※ 編集部注 予定より早く公開しました!)

SKY-HI:ですよね。ま、ダンスとラップまでにしておこうかな。今までの人生で結構、いろんなことをやってきたんですけど……。なんだろ、AAAでライブ創る時とかに、なんかこう、「ひとつ打破したい」みたいなことを考えてやってた時の脳みそが、今回、フルに生きてくるというか。あと、自分がヒップホップのワン・ツー・スリーがわからない人と、真っ向から対峙しないといけないポジションであることは自覚としてあったので、だから、ヒップホップの「ヒ」の字もわからないって人がライブに遊びに来てくれた時に、その人が1時間半だったり2時間だったりを、こう、ずっと満足した状態でいられるにはどうしたらいいのかな、っていうのは、ずっと念頭に置きながら今回のライブ構成を創ってきたから、当然、やることがすごい増えるんですよね。だから、できることをできるうちにやっていって、リハーサルが詰まってくるというか。昨日も結局、ダンスのリハが「(目の高さに手をやって)ここまで」って予定が「(頭の高さまで手をやって)この辺までできるらしい」ってなったから、「じゃあじゃあ、せっかくだから」って。

── へぇ。

SKY-HI:身体は……動くと疲れるじゃないですか。声も使うと枯れるじゃないですか。そこだけ、ですね。ネックはほんとそこだけ(笑)。

── でもそれだけ詰め込むと、肉体的にもそうですけど、それ以上に精神的に参ったり追い詰められたりしませんか?

SKY-HI:いや、それはまったくないですね。もう、リハーサルとか練習とか大好きで。練習する行為自体が好きなんだと思います。ラップしたり踊ったりとか。たとえばやりたくないそれだったら嫌ですけど、自分でカッコいいと思っているのをやるぶんには全然、大丈夫。むしろ(曲などを)作る時のほうがゴールが見えないから「あーっ!」ってなる。どっちかっていうと、ライブのためのリハーサルってカッコいいと思っていることをやってるから、すごい楽しいし飽きない。ストレスもないし。あと、なんだろ……余計なあれもいらないですもんね。自分が一番疲れているから、自分が大丈夫だったら余計な気も使わなくてもいいっていうか。「もう一回やろう、もう一回やろう」っていうのが成立するっていうか。必然的に自分より運動量が多い人がいないから。ラップして踊ってっていう人が他にいないから。そのぶん、「いくらでも練習していいんだ」っていう、楽しさ。

── ライブとかラジオとか、あとニコ生とかにSKY-HIとして出演している時って、自分のやりたいことを120%やれているからなのか、変な話、“AAAの日高光啓”以上にキラキラして見えますよ。

SKY-HI:あら、そうなんですか!?(笑) 遠慮ないですよね。遠慮ないなぁーとは自分でも思う(笑)。でも多分あれですね。やりたいこと自体はどんな状況でもやれるはずで。それが人前に出せる出せないは別の話なんです。その、やりたいことはずっとやってきたんですよね。ほんとに。だけど、人前に出せたのはここ2年だから、その前の5年間くらいはやってたけど、人前に……出してないわけじゃなかったけど、なんかこう、人様の間で広がるようなものを持てなかったから。これは政治的なこととかではなく、どっちかっていうと俺のスキルの問題で。その5年間はセミのごとく、地中から出れない時期で。誰のせいとかってよりは自分のせい。最初からもっとスキルがあれば、もっとよくなってたはずだし。それが追いついてきたのが2年前くらいだったっていう。でも、いざ人前でやっていい、ってなると、それはとてもこう……「授業中アイス食べていいの?」っていう感覚っていうか(笑)。その喜びに近いですね。アイス自体は食べるじゃないですか。授業中は食べないけど、家帰ったら食べる。それが、授業中にも許されるようになった、給食に出るようになった、みたいな喜びに近い気がしますね。

── その2年前というタイミング、何かでお話されていた「AAAの日高光啓とSKY-HIは別モノと考えていたのが、自分の中で一緒になった」というのと同じタイミングですか?

SKY-HI:一緒だと思いますよ。ラッパーとしての面白さというか。昔の曲とか聴いたら俺も面白くないし。それで言ったらもう、去年の音源とか俺もう全然聴けないですもん(笑)

── ええっ?

SKY-HI:当時の曲を今、演るのは平気ですよ。でも、昔に録ったやつ聴くの、ほんと嫌ですもん。『FLOATIN' LAB』の曲も、途中くらいから……vol.4くらいから普通に聴ける。「WHIPLASH」の自分のバースとかすごい嫌だ、録り直ししたい、みたいな(笑)。結構あるんですけど、それの、細かいところの「嫌だなぁ」みたいなとこより……これ、(スタジオの)暖房消してもらっていいですか?

(スタッフ、暖房を消す)

SKY-HI:……よかった(笑)。まぁ結局、全部のタイミングがよかったんです。最初になんとなく広がったのは、Webに曲をアップする文化がヒップホップの中でものすごく流行って。USのほうが早かったけど、追随して日本も有名なヒット曲が出たら、それのリミックスみたいな形でインストに自分のバースを乗っけて腕比べ……みたいな文化ができて。いい意味でみんな土俵に上がれる状況で、それで無名から名を上げたAKLOとかKLOOZとかもいたりして。ご多分に漏れず「俺もその中で!」って。で、最初に聴いてもらう時にキャラ出しが必要っていうか。絶対、「なんかこれは面白い」っていうもの。スキルは当然、ラップが上手いのは当然として、プラスアルファの面白みっていうので、AAAでやっているようなことを自分の強みとして臆面もなく出す、というか。日本人の気質としては「AAAやっているのにこんなんですみません」みたいな謙虚な感じのほうが、美徳というか普通だったりすると思うんですけど、そういうのじゃなくて、<もういい飽きてるチャート上位>とかそういう話から入ったところから面白がってくれる人が増えて。ちゃんとラップできる子だし。そっから停滞することはなかったですね。

── なるほど。

SKY-HI:でも、Webに曲をアップしたりする前から、いろんな人は、なんとなく“SKY-HI”って名前を知ってくれている人が多くて。特にプレイヤーは。一緒にフリースタイルやってる関係だったり、ラジオ番組でDJしていたり、クラブで会ったり。だから当時は、プレイヤーは知っていて、だけどリスナーは知らない、みたいな状況で。Webに曲を上げる文化に乗っかったところで、それが平坦になったというか。みんな知ってくれるようになった。で、前から知ってくれてる人の中でも、特に昔から知ってくれている人が、正式に曲に呼んでくれるようになって。そうしたら今度は、自分で企画やるっていうようになっても通るかな、みたいな。で、企画が通って……。それなりのペースで階段を見据えて上ってきた感じはありますね。

── 96小節ラップし続けるというね(「96 Bars To Kill feat. SKY-HI」は、シーンにSKY-HIの名前を一気に広めた、2010年発表のリミックス作品)。

SKY-HI:そうそう(笑)。あれが一番最初でしたね。あれ、確かドロップが日曜の夜だったんですけど、可愛がっていた人たちに怒られたんですよ。「せっかく面白いの作ったのに、MP3TUBEだし、日曜の深夜だし、なにやってんの? もっとタイミングを見計らえ」って、すげえ怒られた。でも、ドロップして2日、3日後くらいにジブさん(Zeebra)とかRYO the SKYWALKERとかが「なんだこれ、超おもしれー!」みたいにピックして、そっからすごい広がって行きましたね。最初はジブさんとRYO the SKYWALKERでしたね。で、DABOさんとか、みんな拾ってくれて。気がついたら1週間くらいして恐ろしいビューワー数になってるみたいなのがあって。で、その火を消したくなくて、年末に「JACKIN' 4 BEATS 2010」で、いろんなビートで……みたいな流れでしたねー。
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