【インタビュー】絢香、「『あの頃はああだった……』って、たまに思い出してみることも大事」

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2012年、4年ぶりのツア-を大成功させた絢香。ファン待望の新曲が完成した。彼女ならではのスケ-ルを感じさせるバラ-ドで、ドラマ「シェアハウスの恋人」の主題歌としておなじみの「beautiful」、そして、幼き日のピュアな気持ちを思い返すかのような「ちいさな足跡」(資生堂「マキア-ジュ」CMソング)である。

このふたつは曲調こそ好対照だが、彼女の音楽に対する全身の愛情を感じさせる点では共通する。ではさっそく、本人に話を訊こう。

  ◆  ◆  ◆

── 2012年のツア-から今回の新曲に至るあたりのことから教えて欲しいのですが……。

絢香:ともかくツア-は楽しかったんです。再びファンの皆さんの前で歌えた瞬間の、目の前の景色には本当に感動したし、“またここから自分の音楽人生が進んでいくんだな”って思いました。そんな充実したツア-をやりつつ、でも後半の辺りで“曲を書きたい!”という想いも強くなっていったんですよ。そして横浜アリ-ナの最終公演が終わって1カ月後くらいしてからですけど、その時に生まれたのが今回の2曲なんです。

── ここ最近の絢香さんは、「日常生活を疎かにせず、そこから自然に生まれてくる作品こそを大切に」、といった発言をされてますが……。

絢香:今回も、まさにそうでしたね。たとえば「beautiful」は、そろそろ寝ようと思った時、“でも、なんか生まれそう……”って、それでピアノに向ってできた曲なんです。“作らなきゃ!”って、何かに追われて取り掛かったのではないんですよ。昨年リリ-スした『The beginning』というのが、まさにそうやってできあがったものだったし、今回も、そんなペ-スを保ちつつでしたね。そしてもちろん、ツア-をやって皆さんから頂いたパワ-が、そこに加わったんです。特に「ちいさな足跡」のほうは、楽しかったライヴの余韻があってこそ書けた作品だと思ってます。

── それぞれの楽曲についてなのですが、まずは「beautiful」。ここで伝えようとしている“美しさ”って、外観じゃなく、内面に宿るもののようですね。

絢香:人って年齢を重ねれば重ねるほど、新たな一歩を踏み出すにしても慎重になるじゃないですか? でもその時、自分が大事に想っている人からの一言があれば、そのことで前に進めることがある。私自身も経験あることですが、「ぜひそんなテ-マで歌を書きたい」と思って完成したのがこの曲なんです。もちろん、“大事に思っている人”というのは家族かもしれないし、友人かもしれないし、恋人かもしれないんですけど。

── 曲のタイトルと歌詞が関連するのは、“涙が溢れる美しい空だった”というフレ-ズのあたりですよね。

絢香:そこからの4行が最後に書けて、この歌は完成しました。“カ-テン越しに光る太陽”という表現も出てくるんですけど、これは実際に自分の部屋からの光景なんです。窓のカ-テンがオレンジ色に光っていたので外を見たんですよ。そしたらそこに、本当に綺麗な夕焼けの空が広がっていて……。でも言葉で説明をするより、ただただ、空を眺めていたいなって思って……。

── その空の色が、もともと絢香さんが書きたかったテ-マを後押ししたんでしょうね。歌入れなどは?

絢香:コ-ラスを録音する時、実際にスタジオにマイクを並べて、みんなと一緒に録ったんですよ。歌いながらのやりとりが、もう、とっても楽しかったんです。あと、この曲はストリングスも入った大きな編成ですけど、アレンジをしてくださった松浦晃久さんとは、何も言わなくても通じ合えるんです。今回も、まさにそうでした。

── 「ちいさな足跡」はどうでしょうか。

絢香:この歌は、小さな頃、「夢は叶うんだ」って素直に信じていた自分を振り返りながら書きました。もちろん、その想いを大人になってもそのまま持ち続けることは難しいですけど、「あの頃はああだった……」って、たまに思い出してみることも大事ですからね。夢に向って一歩づつ進んでいくということで、リズムはマ-チにしたかったんです。楽器の音は、楽しくて可愛らしいものをいっぱい入れてみたんですけど、これは私が森の中を進んでいって、いろいろな生き物に出逢う、みたいなイメ-ジからなんですよ(笑)。今まで自分が使ったことがなかった音も入っていて、とても新鮮でした。

── さて、次はアルバムですか?

絢香:具体的にはまだ考えてませんけど、書きたいときに曲を書く、ということを繰り返していける1年にできたらな、とは考えているんです。お休みしていた時がまさにそうだったので。あと、曲を書くのもそうですが、まだまだシンガ-としても成長したいので、今回、3曲目に入っている「はじまりのとき」の英語ヴァ-ジョンもそうなんですが、歌うことに関しても新たな挑戦も続けて行けたらなと思ってますね。


text by 小貫信昭

◆インタビュー チャンネル
◆絢香 オフィシャルサイト
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