【ライブレポート】ライブハウスで見せつけた、Maydayのスケールの大きさと懐の深さ

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台湾が誇るアジアの人気バンドMaydayが2月16日、Zepp Tokyoにて約4年ぶりとなる単独来日公演を行なった。2012年末に開催された母国台湾でのスタジアムライブには4日間で計20万人を動員。中国大陸はもちろん、今や広くアジア圏を代表するロックバンドとしてワールドツアーを開催する彼らの単独来日公演は、実に約4年ぶりとなる。

◆Mayday画像

「Zepp Tokyoでのライブは、お客さんとの近距離の掛け合いを楽しみにしています。スタジアムのような大会場だからこその演出ではなく、音楽的な集大成を表現したいと思います」

これは、台湾の高雄で開催されたライブ<諾亞方舟(ノアの方舟)>終演直後のインタビュー取材時、メンバーのモンスター(怪獣)が口にした言葉だ。そして行われたライブ<2013 Mayday Just Rock it!! 日本演唱會〜LIVE直送 from TOKYO FM 冬の特別版〜>は、二階席に立ち見が出るほどの盛況ぶり。客席には日本のファンのみならず、アジアからも多くのファンが集結していた。ステージと客席との距離が近い、彼らにとってはレアな公演に場内は開演前から異様な盛り上がりをみせている。

ステージ下手からドラムのミン(冠佑)が登場すると、おもむろに8ビートを叩き出すというオープニング。続いて登場したギターのモンスターが、そこに軽やかなR&R調リフをのせる。さらにギターのシートウ(石頭)、ベースのマサ(瑪莎)が加わり、ステージ上にボーカルのアシン(阿信)が姿を現すとフロアが一気に湧き上がった。バンドが奏でるロックンロールビートに乗せて“Now! Today!”“We Just Rock it!!”というコール&レスポンスが、のっけから会場を沸騰させる。そのままの勢いでオープニングナンバーへ。ルーズでヒップなビートアレンジがほどこされた「瘋狂世界」は、高雄世運主場館で聴いた同曲とはまた別の印象。ゆるやかなタイム感が心地よい。

軽快な「終結孤單」や直線的で硬質な「人生海海」など、ビートが強調されたナンバーではバンドサウンドのキレ味が一段とソリッドだ。ギターのモンスターとシートウはさまざまま彩りで楽曲に陰陽を加えていく。ピアノをフィーチャーしたミディアム調の「恆星的恆心」や「倔強」、しっとりとした「天使」など、重心の低いリズムを活かしたナンバーでは、ミンのドラムとマサのベースがしっかりとボトムを支える。起伏をつけたセットリストの流れが、Maydayというバンドの持つスケールの大きさと懐の深さを見せつけるように鮮やかだ。

前述したように“音楽的な集大成を表現したい”とのテーマを掲げて行なわれたこの日のライブは、至近距離から発せられるサウンドがこちらの想像を超えて遥かに素晴らしいものだった。話題性やパフォーマンス、楽曲本来のクオリティはもとより、それ以前の演奏力の問題として、やはり巧い。もともと確かな経験と実績を持つバンドだから当然のこととは言え、この日のステージ前半で印象的だったのは余裕すら感じられる彼らのサウンド&プレイにあった。また、1曲目から8曲目までに演奏されたナンバーは、1stアルバムから最新作となる8thアルバムまで、各アルバムから1曲ずつをセレクトして年代順に披露したもの。楽曲は現在の彼ら流にアレンジが施され、ライブ全体の流れにストーリー性を色濃く映し出した総括的内容だったと言えるだろう。

「元気ですか? わたしは元気です。生ビール(笑)」というシートウのMCに続いて、メンバーが一人ひと言ずつ日本語交じりのMCを披露して大いに客席を盛り上げた中盤。「孫悟空」ではボーカルのアシンがステージから立ち去り、楽器隊のみで演奏されたのだが、これが実にロックバンド然とした佇まい。マサからモンスター、シートウ、そしてミンへとメインボーカルが切り替わるアレンジが、楽曲をよりカラフルなものにした。一方、アシンとサポートキーボーディストによるピアノの弾き語りでスタートしたのが「擁抱」。もとより楽曲自体が強いメロディを持っているだけに、なにをやってもハマリがよく、飽きさせることがない。こうした自由度の高いアレンジワークによって音源にはないライブならではの一面を覗かせるあたり、Maydayの音楽性の多様さが見え隠れしているような気がしてならなかった。

「東京のみなさん、久しぶり。4年ぶりだよね、元気? 今日は楽しくて、でも緊張してる。楽しいのは、また東京でコンサートができたから。緊張してるのは、僕のアイドル(※先輩やヒーロー)や友達がみんな来てくれているから。でも、なにがあっても僕は頑張るので、みんなも一緒に最後まで盛り上がりましょう!」というモンスターの日本語MCでは、2階バルコニー席でステージを観ていたGLAYやflumpool、B'zの松本孝弘が紹介された。それに続いて演奏されたナンバーは「乾杯」。友情を描いた曲だった。

ステージ後半は爆発的なナンバーが続く。激しいビートが打ち鳴らされる「OK啦」では2人のギタリストが立ち位置を入れ替えて客席をあおり、シートウ、モンスター、マサ、ミンによるそれぞれのソロプレイをフィーチャーした「軋車」では、TAK MATSUMOTOシグネイチャーギターを背面弾きするモンスターの姿に大歓声が上がった。曲名通りのジャンプがフロアのそこかしこで巻き起こった「離開地球表面」は会場が揺れるほどの盛り上がり。そして本編ラストは、壮大なシンガロングが広がったバラードナンバー「溫柔」で感動的に締めくくった。

Maydayの本国表記“五月天”が叫ばれるアンコールと大波のような拍手、そのなかをメンバーが登場すると、最新アルバムから「諾亞方舟」、“L”“O”“V”“E”のコールをイントロにした「戀愛ing」を披露。ライブはここで終了かと思いきや、ファンの熱い声援に応えるように、ステージ上で演奏曲を相談する5人の姿があった。アシンの口から「携帯電話を……」との日本語が告げられると、すべての照明が落とされた会場が携帯電話やサイリウムの明かりだけで照らされる。さながら夜空に輝く満天の星のような景色のなかで演奏された「知足」は、場内の空気をクールダウンさせながら、じわじわと感動に火をつける美しいフィナーレだった。

この日のライブはステージ後方に設置された巨大スクリーンに、歌詞の中国語表記と日本語訳を表示して行われた。結果、Maydayが楽曲に込めたメッセージは、ステージと客席が一体となった大コーラスとして会場中に響き渡る。歌でつながったステージと客席、充実したサウンド&プレイとテンションの高いステージ、そしてメンバーの爽快な笑顔がこの日のステージを会心のものにしていた。

Maydayは、TOKYO FMとJFN主催による<EARTH×HEART LIVE 2013>出演のため、4月17日に再び来日することが決定している。このライブでは、かねてから親交の深いflumpoolとの日本初共演も実現。ファンはもちろん、両バンドにとっても楽しみなステージとなりそうだ。最後に、このライヴ終了直後のZepp Tokyo内ロビーで行われたインタビューの模様をお届けしよう。

   ◆   ◆   ◆

――台湾の気候と比較すると、2月の日本は寒いと思うのですが、そういった意味での問題はありませんでしたか?

アシン:日本に来て、ホントに寒いと感じましたね。寒いとたくさん食べ過ぎちゃうんですよ(笑)。お腹の調子は良いんですけどね。だから問題があるとすれば、少し太っちゃってるんじゃないかな?っていうところです(笑)。

――今日のライブに自分自身で点数をつけるとすれば?

ミン:95点くらいをつけたいですね。今日は僕たちの友達やアイドルがたくさん観に来てくれたので、緊張しながらだったんですけど、ベストを尽くすことができたと思います。

モンスター:友達が来なかったらベストを尽くさないの(笑)?

ミン:そんなことはないよ(笑)!ただ、そういう時はリラックスして演奏することができるよね(笑)。

――ちなみに今日来てくれたゲストの方々とは?

モンスター:たくさんの友達が来てくれたんですけど、まずGLAYとflumpoolのメンバー全員やB'zの松本孝弘さん。こういう機会にみなさんとお会いできるのはとても楽しいですね。この後の打ち上げで改めて感謝の気持ちを伝えたいと思っています。

――B'zの松本孝弘さんをはじめとするアイドルの前で演奏した気持ちは?

モンスター:やっぱり緊張しました。開演前はあまりそのことは考えないように、自分の気持ちを抑えていたせいか、公演が終了した今、胃が痛くなってます(笑)。

――今日のセットリストは昔の曲も多く含まれていましたが、選曲のポイントは?

モンスター:前回の来日公演は2009年のことでしたので、今回は4年ぶりになります。久しぶりのライブということもあって、できるだけ1999年のデビューから現在まで、すべてのアルバムから選曲しました。懐かしい曲が多くなったのはそのためで、Maydayのすべてを見せることができたと思います。
――4年前にもここZepp Tokyoでライブを行いましたが、そのときと比較するとお客さんの数が増えています。Maydayのライブをこんなに近くで観られるということはとても貴重なことだったと思うのですが?

シートウ:今日は満員の2,500人のお客さんに来てもらうことができて、とても感謝しています。確かにいつものスタジアムライブとは違う感じでしたが、こういうライブハウスの雰囲気はすごく好きなんですよ。デビュー当時はもっと小さな会場で、お客さんと近距離のライブをやっていましたからね。今日はパフォーマンスの細かい部分を伝えることができたと思いますし、お客さんの熱も直に伝わってきた。そういう感じがうれしかったですね。

――目標とする日本武道館公演にまた一歩近づいたのではないでしょうか?

シートウ:日本に来るたびにお客さんの数が増えているということはとてもうれしいことです。僕たちの目標は、今開催しているツアー<諾亞方舟(ノアの方舟)>の内容をそのまま日本へ持ってくること。ですから、日本武道館のような大きな会場でライブを行いたいと思っています。このライブにはステージセットや特殊効果など、ビジュアル面を含めた壮大な物語があるんです。今後日本で、それを出来る限り完璧な形で再現したいですね。

<2013 Mayday Just Rock it!! 日本演唱會〜LIVE直送 from TOKYO FM 冬の特別版〜>
1.瘋狂世界(邦題:クレイジーワールド)
2.終極孤單(邦題:孤独の終わり)
3.人生海海(邦題:人生は海のようだ)
4.恆星的恆心(邦題:恒星の心)
5.倔強(邦題:強情)
6.天使(邦題:天使)
7.突然好像你(邦題:突然君のことを思い出す)
8.OAOA(邦題:OAOA)
9.DNA(邦題:DNA)
10.孫悟空(邦題:孫悟空)
11.擁抱(邦題:抱きしめてくれ)
12.志明與春嬌(邦題:ピーター&マリー)
13.我不願讓你一個人(邦題:君を一人にさせたくない)
14.乾杯(邦題:乾杯)
15.星空(邦題:星空)
16.OK啦+軋車(邦題:OKさ+モーター・ロック)
17.離開地球表面(邦題:地球表面から離れる)
18.溫柔(邦題:やさしさ)
encore
19.諾亞方舟(邦題:ノアの方舟)
20.戀愛ing(邦題:恋愛ing)
21.知足(邦題:満足な気持ち)
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