【インタビュー】ギターウルフ、痛快至極な最新型ジェット・ロックンロール・ナンバーのオンパレード『野獣バイブレーター』誕生秘話

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スピーカーのウーファーを突き破らんばかりの爆音。その勢いはまさしく“野獣”のごとし! 前作『宇宙戦艦ラブ』以来2年4ヵ月ぶり、ギターウルフのニューアルバム『野獣バイブレーター』がついに完成した。近年は、結成以来、精力的に展開してきた海外ツアー等とともに、敬愛してやまない矢沢永吉の40周年記念ライブ@日産スタジアム、イベント<DECEMBER'S CHILDREN>で自身初の武道館降臨、さらには電気グルーヴとのジャンル超え対バンなど……。さらなる多方面進出で賞賛を浴びるその孤高の世界観は、「メソポタミアロンリー」や「マグマ信長」など、最新アルバム『野獣バイブレーター』での古代文明や戦国時代、果ては時空を超えるまでに! ギターウルフにしか生み出せない、痛快至極な最新型ジェット・ロックンロール・ナンバーの誕生秘話を聞いた。

◆ギターウルフ画像

――2年4ヵ月ぶりのオリジナル・アルバム『野獣バイブレーター』っていうタイトルからして最高です! これはどんなインスピレーションから浮かんだんですか?

セイジ:これはね、なぜか、イタリアの街を歩いてるときにふと浮かんで。前のツアーのときの、イタリアで。イタリアが関係あるかどうかは分かんないけど(笑)、なんかね、“癒しなんかクソくらえ!”みたいな感じで……。もっともっと獣のようなブワァーッと震えて爆発しろよ! みたいな気持ちが、なんか分かんないけど沸き起こったんだよな。で、タイトルは『野獣バイブレーター』だ! って。

――今回もそうですけど、ギターウルフといえばそのタイトルのネーミングから強烈なセンスですよね。そのイメージって、いつも、今の、イタリアでのお話みたいにいきなりバーンと降りてくるような感じなんですか?

セイジ:そうです。宇宙からの啓示を待つしかないですね。ジーッと座禅して、チーン!って。

トオル:(笑)一休さん?

セイジ:(笑)まぁ、でも、心境は本当にそんな感じでしたね、今回は。実際に、自分の中に何か来るのをキャッチして。でも、ただ待ってるだけじゃ、来ないんだよな。ずっと交信しないと。

――自分からも多大なエネルギーを発信しないと、今回みたいな強烈な世界観はなかなか降りてこないでしょうね(笑)。前作はタイトルどおり“宇宙”にまつわるワードが多かったですけど、今回は、例えば「マグマ信長」は舞台が戦国時代っていう、時空を超えちゃってる物語まで行き着いているのが凄いなと。

セイジ:そうだね。これは、ポーンとそのワードが浮かんだんだけど、“さすがにこれは……”みたいな。『宇宙戦艦ラブ』のときも同じこと思ったけど、“これを曲にしちゃうのはありなのかな……”って、最初はさすがに思った(笑)。

――ご自身でも、“この発想は何なんだ!?”みたいになるというか?

セイジ:うん。だって、“宇宙戦艦”と“ラブ”がくっついちゃうんだから(笑)。

U.G:(笑)「マグマ信長」は、最初は、タイトルだけみたいな感じでしたよね?

セイジ:うん。で、曲が出来上がって、イントロのほら貝とかが入って。“信長”だからほら貝はたぶん入るだろうなっていうのは、自分の中にはあったんですけど。

――ほら貝から始まるギターウルフの曲ってどんな感じなんだろう!? って、読者はすごい興味惹かれてると思います(笑)。そういう色々なアイデアにメンバー自身が驚いたりすることもあるんじゃないですか?

トオル:もちろん! インパクトもすごいありますし。やっぱ自分は、ギターウルフのすごいファンなのかな、と思ったりもしますね。曲を聴いても“ウワァーッ!”って、世界一、誰よりもなりますから。

セイジ:だって、特に「マグマ信長」は、曲を持ってったときに二人が“きたぁーっ!”ってなりましたから。で、“あっ、これ、きてんのかな?”って。

トオル:(笑)“待ってました!”って感じでしたよ。

――メンバー自身が“きたーっ”って盛り上がれる曲なら、そりゃあリスナーはさらに輪をかけて盛り上がりますよ。

U.G:まぁ……笑いますよね(笑)。“すげぇの来たぞ!”って。

――「メソポタミアロンリー」とかも、舞台が古代文明っていう凄いとこまで行っていて。

セイジ:自分でも分かんないんだよ(笑)。なんでそんなとこまで行っちゃうのか。これも「マグマ信長」みたいに、最初ポーンって浮かんだときに“どういうことだろう!?”って思ったんだけど……。そして、たぶん、彼女と一緒にタイムマシンで行って、たぶんはぐれたんだろうなって。時間の狭間ではぐれて、男が彼女を探してメソポタミアでロンリーなんだろうな、と思ったんだよね。で、その男がさ、彼女を探すんだよ。色んな文献読んだり、メソポタミアを勉強して。そしたら、“バベルの塔がある!”って知って、そこへ時間を超えて行っちゃったり、また現代に戻って、モヘンジョ・ダロの遺跡があった市場を歩いてたら、象形文字で書かれてた彼女のメッセージを見たりさ(笑)。

――(笑)時空を超えた、壮大なストーリー!

セイジ:もう本当に、自分も、映画に引き込まれていくような感覚でできた曲でしたね。

――そういう強烈なストーリーを曲にしていく作業では、セイジさんからメンバーのお二人に解説したりとかするんですか?

U.G:しますね。するんですけど、説明がヘタだから分かんないんですよ(笑)。俺が最初に入ったときに作った「UFO ロマンティックス」とかも、「この曲はUFOを描いてくれ」って。「UFOがここに1個ずつ出てくるから。でも、ちょっとでも音がズレるとこのUFOは飛んでっちゃうから、それで」って言われて、「どれだろう……」って思って(笑)。

――(笑)UFOを音で表現するのは、たしかに困難を極めそう……。

U.G:(笑)曲作りでは、そういうことをいつも言ってくるんですよ。でも、それが段々分かってきたんですけどね、今は。

――レコーディングやライブをたくさん重ねてきて、さらに感覚を共有できるようになっているのかもしれないですね。スタジオでは実際にどんなふうにしてこの音を鳴らしているのか、興味あるリスナーも多いと思います。この爆音をスタジオで響かせてるのはどんな様子なのかなって。

セイジ:だいたい、スタジオでも3人で一緒にやるのが基本で。そうじゃないのもたまにあるけど、3人一緒でやるのが基本ですね。でも、(レコーディングは)やっぱり音になるから……。俺達は演奏がそんな上手くないから、ちゃんと弾かなきゃいけないのはちゃんと弾いてますよ。でも、「野獣バイブレーター」とかは、ブワァーッ! と勢いですね。勢い一発! だから、最初の音の突っ込み方とかも、初めてCDを聴いた人は“うわぁっ!”って止めるくらいにしたかったですね。

――ノイジーな爆音から始まるあの幕開けは、まさにその言葉通りですね。

U.G:はい。気合入れて。

セイジ:だから、丁寧に弾く曲でも、そういう気合みたいなものを乗せることがやっぱり一番大事。気合を録音する。

トオル:そういうのが入ってる音楽が、聴いてても好きですから。スピーカーからただ音だけ出てても、つまんないじゃないすか。マディ・ウォーターズ聴いてたらスピーカーから熱が伝わってくるみたいな、そういう異常なものしか自分は聴けないんで(笑)。ギターウルフはそういうものを聴いて育ったんで、異常なハードコアな形だとは思うんですけど(笑)、そのギターウルフなりの熱を自分も出したいですね。

――ライブでは、その熱をさらに強烈に感じられるはずで。去年は矢沢永吉さんの40周年イベントなど素晴らしい場にも出演されて。それと、年末の<DECEMBER'S CHILDREN>とか。ギターウルフが日本武道館に立つのは、初めてだったんですよね。

セイジ:はい、初めてです。日本武道館でやることは、結構憧れだったから。本当は、ワンマンで立ちたいっす。

――ギターウルフワンマンで武道館、いいですね! 武道館は天井が高いから、どの会場よりも思いっきりジャンプも出来ますよ(笑)。

セイジ:ワイヤーかなんかで上から吊ってもらって、ブワーッとやりたいですね!

トオル:(笑)たっかいもんなぁ~。大丈夫?

セイジ:飛びたいね! ワイヤーアクションやりたいんだよなぁ~。

――世界中の会場でジャンプしてきたギターウルフですけど、長いキャリアの中でさすがにワイヤーアクションはまだ未経験ですよね。

トオル:「ジェットジェネレーション」のプロモーションビデオは、ワイヤーアクションだっけ?

セイジ:あっ、そう。空、もう飛んでるか。

――(笑)そのシーンを、今度はぜひライブで再現して下さい。ライブでは、去年は他にも電気グルーヴとか、思いもよらないジャンルを超えた対バンも実現して。

トオル:あぁ、そうですね。でも自分は、俺達とかなり近いものというか、同じようなものを持ってると人達だと思うんですよ、電気グルーヴは。

U.G.:ライブ観たのは初めてだったんですけど、最高でした!

――それは、どんなところに共通項みたいなものを感じるんですか?

U.G.:なんとなく、ですよね。

トオル:うん。なんか、たぶん俺達と似たようなものが好きな人達なんじゃないかな、とか……。例えば、ビートルズとか聴いても、俺達と同じところを聴いてるんじゃないかなって思ったり。「サージェント・ペパーズ」(『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハート・クラブ・バンド』)みたいな、人それぞれとらえ方が色々あるアルバムとかを聴くんでも。

セイジ:“ニオイ”だよね。同じような“ニオイ”を感じる。

――彼らもぶっ飛んだセンスの持ち主ですし、ギターウルフと同じような“ニオイ”っていうのはなんとなく分かるような気がします。痛快さ、というか。そういうものを感じる人達との共演は、ジャンルが違うとかそういうことは意識しないっていう?

トオル:そうですね。ずっと昔の映像だけど、アタリ・ティーンエイジ・ライオットのライブ映像観たときも、すげぇなって思いましたもん。デジタル・ハードコア!

セイジ:ヨーロッパで、ヒップホップの人達とも一緒にやったこともあったしね。

U.G.:やりましたね。フランスのフェスで。しかも、俺達がライブやってから次ヒップホップの人達がステージ出て、しかも客が同じで。

トオル:楽しかった! あのキャスティングは。

U.G.:うん。ベルギーのフェスで、ウータン・クランとやったこともありますよね。

セイジ:そうだね。ヤバかった、ヒップホップ! 盛り上がってたなー。ワルいヤツは、今はハードコアとかじゃなくてヒップホップに流れてんだなって感じがして、楽しかったですね。だから、音楽が違っても、なんかそういう似たもんを感じるとカッコいいと思えるし。今の話のフェスのときも、一緒の客がウルフでも盛り上がってるし、ヒップホップでも盛り上がってるし。だから、聴いてる人達も、俺達と同じようなものをたぶん感じてるってことなんですよ。

――と、世界中の舞台で展開してきたライブを、次はご自身のツアーでぶちかます<ツアーマグマ2013>も始まります。

セイジ:これはもう本当に、“マグマ”のような、ね。渦巻く“マグマ”のようなエネルギーで全国各地を感電させて、エクスタシーを……。日本中をビリビリ感電させて、“ロックンロール・エクスタシー”を味わわせに、ギターウルフは今から全国各地に向かいます!

取材・文●道明利友

New Album
『野獣バイブレーター』
2013年3月6日発売
【初回生産限定盤】CD+DVD
KSCL 2203-4 ¥3,000(tax in)
[DVD]LIVE & MUSIC CLIP
【通常盤】
KSCL 2205 ¥2,700(tax in)
[CD]
1. 野獣バイブレーター
2. メソポタミアロンリー
3. ガソリン子守歌
4. 幽霊ユー
5. ロボットマリア
6. バッティングセンター
7. サファイヤCITY
8. マグマ信長
9. ゲロナイト
10. 地球 VS エイリアン
11. 女マシンガン

<ギターウルフ ツアーマグマ2013>
3/08(金)島根 松江AZTiC canova
3/09(土) 岡山 岡山DESPERADO
3/10(日)愛媛 松山星空JETT
3/12(火)広島 広島CLUB QUATTRO
3/14(木)鹿児島 鹿児島SR HALL
3/15(金)熊本 熊本Django
3/16(土)福岡 福岡BEAT STATION
3/19(火)福島 郡山PEAK ACTION
3/20(水)新潟 新潟WOODY
3/23(土)大阪 難波ROCKETS
3/29(金) 長野 長野LIVE HOUSE J
3/30(土)山梨 甲府KAZOO HALL
4/06(土)宮城 仙台PARK SQUARE
4/11(木)愛知 名古屋TOKUZO
4/14(日)北海道 札幌BESSIE HALL
4/18(木)東京 代官山unit

◆ギターウルフ オフィシャルサイト
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