【ライヴレポート】“泣きの神様”サンタナが武道館に吹かせた官能的で熱いラテンの風

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1973年の初来日の幻の映像「1973サンタナの軌跡」の上映会が大盛況に終わってから1カ月とちょっと。その初来日から40周年を記念するサンタナのジャパン・ツアーが大阪から始まり、3月12日には武道館を熱いラテン・グルーヴで大いに沸かせた。

◆サンタナ@武道館~拡大画像~

サンタナのライヴではおなじみの「Cloud Nine」からスタート。ヴォーカリスト2人、ギター2人、パーカッション2人、ホーン2人にキーボードとベースとドラム。11人の大所帯バンドなので、見た目も音も相当な迫力だが、全員が強靭なリズムプレイヤーだから、分厚い音なのにスッキリしていて聴きやすい。熱く軽快なのに落ち着きがあって、官能的にも響いてくるサンタナ特有のラテン・グルーヴは、押し引きをきっちりわきまえたメリハリのある演奏が心地よく、思わず身体が動いてしまう。

昨年、インスト中心の『シェイプ・シフター』をリリースしたばかりのサンタナだが、今回は新作のツアーという意識はなかったようで、セットリストにはサンタナの代表曲、名曲ばかりがズラリと並べられた。3曲目で早くも「Black Magic Woman」が演奏されると、会場はヒートアップ。しかしそれでは終わらず、すぐに「Gypsy Queen」、「Oye Como Va」と名曲でたたみかける。これには大半のオーディエンスがノックアウトされてしまったはず。中盤以降も、サンタナの泣きギターの代名詞「Europe」や「Batuka」、「Taboo」、「Corazon Espinado」と名曲ばかりが演奏されたし、スクリーンにはウッドストックをはじめサンタナの過去の映像も流され、長年第一線で活躍し続けてきたサンタナの歴史をなぞるような、まさに初来日から40周年を記念する感慨深いライヴとなっていた。

どの曲でも、中盤以降はジャムセッションのようにソロやインタープレイの応酬になるのだが、グルーヴが心地よいので本当に見ていて飽きない。中でもやはりこのバンドのパーカッションは強力だ。バンドの基本的なラテン・リズムを演出しているのはもちろん、ときには怒涛のような高速連打、迫力のビートで押しまくる。そしてここに絡むのがドラムのデニス・チェンバース。重戦車のような迫力のビートと鋭い切れ味の超高速フレーズで有名な彼も、このバンドでは自分がグルーヴをぐいぐい引っ張るのではなく控え目で、パーカッションのようなプレイが中心。それが2人のパーカッショニストとうまく溶け込んで、サンタナらしいラテン・グルーヴを生み出していたのが印象的だった。

ドラマーといえば、カルロス・サンタナの現夫人のシンディ・ブラックマンも中盤で登場。ジャズ界でも名ドラマーとして知られる彼女は、デニス・チェンバースと入れ替わってそのままドラムセットに座り、「Corazon Espinado」をプレイ、そのままベースとのバトルからドラムソロに突入。大きな腕の振りから繰り出されるスピーディでパワフルなフレーズ、強力なグルーヴで客席を大いに沸かせていた。

「Jingo」のイントロで行なわれたメンバー紹介では、紹介されたメンバーがそれぞれ短いソロを披露。ギターのトニー・リンゼイはラテン・グルーヴに乗せてポリスの「Message In A Bottle」を丸々1コーラス熱唱。13キャッツでの活動で日本でも有名なカール・ペラッゾのコミカルな仕草や高速コンガも会場を盛り上げた。終盤には日本でも大ヒットした「Smooth」、アンコールでは「Soul Sacrifice」と、とにかく代表曲、名曲をプレイしまくった楽しいライヴだった。

それにしても大御所カルロス・サンタナ、実に存在感がある。ステージに登場しただけでオーラを放っているし、鋭いのに甘く、永遠に途切れないかと思うほど伸びるトーン、そして誰もまねできないような泣き、セクシーなフレーズなど、そのプレイは70年代と同じく冴えわたっていた。MCでは日本のファンすべてに愛をささげ、ウドー音楽事務所の有働氏に謝辞を述べた上、ステージに招き入れてギターをプレゼントするなど、ホロっとさせるところもあったかと思うと一転して下ネタで落とすという落差も彼ならでは。プレイは神々しいほどなのに、お茶目でエロかっこいい、憎めないオヤジなのである。このエネルギッシュさがある限り、当分衰えることなどないだろう。次作にも、そして次回の来日にも期待したくなる、パワフルなライヴだった。

取材・文●田澤仁
撮影●Hiro Ito

サンタナ 来日メンバー
CARLOS SANTANA / カルロス・サンタナ (g)
ANDY VARGAS / アンディ・ヴァルガス (vo)
TONY LINDSAY / トニー・リンゼイ (vo)
THOMAS MAESTU / トーマス・マエストゥ (g)
BENNY RIETVELD / ベニー・リートヴェルド (b)
DENNIS CHAMBERS / デニス・チェンバース (ds)
DAVID K. MATHEWS / デヴィッド・K・マシューズ (key)
KARL PERAZZO / カール・ペラッゾ (per)
RAUL REKOW / ラウル・リコウ (per)
BILL ORTIZ / ビル / オーティス (tp)
JEFF CRESSMAN / ジェフ・クレスマン (tb)

MILKY WAY INTRO
1. CLOUD NINE
2. LOVE IS YOU LOVE IS ME
3. BMW/ GYPSY QUEEN
4. OYE COMO VA
5. MARIA MARIA
6. FOO FOO
7. EUROPA
8. BATUKA/ NO ONE TO DEPEND ON
9. TABOO/ EXODUS
10.*CORAZON ESPINADO/ B & C SOLO
11.JINGO
12.EVIL WAYS/ A LOVE SUPREME
13.SMOOTH/ DAME TU AMOR
WOODSTOCK CHANT
14.SOUL SACRIFICE/ BRIDEGROOM
*W/ CINDY BLACKMAN-SANTANA
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