【インタビュー】CHIHIRO「過去は見てもいいけど、振り返ってほしくない。ラブソングを歌うなら、私はそこを歌っていきたい」

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多くの女性の共感を呼ぶ、恋する女子の心模様を綴るシンガーソングライター、CHIHIROの初ベストアルバム『BEST 2007-2013』が3月20日にリリースされた。2007年から2013年までに発表してきた楽曲の中から厳選した14曲と、新たに書き下ろした新作2曲を収録した今作は、名刺代わりの一枚とも呼べる、CHIHIROの魅力をギュッと詰め込んだ作品となった。そこで、BARKS初登場となる今回のインタビューでは、なぜCHIHIROのラブソングは多くの女性の共感を得るのか? そんな素朴な疑問から、彼女の恋愛観と作品づくりのこだわりを聞いてみたところ、意外にも男っぽい素顔が見えてきた。

◆CHIHIRO 画像

◆誰とでも熱い恋愛ができるわけじゃないし。
◆楽しいときも、悲しいときも、その想いをすぐ歌詞にしてるんです。

――今回のベストアルバム『BEST 2007-2013』は、デビュー前からの音源も含め人気の曲を集めたそうですが、ご自身で出来上がりを聴いてみていかがですか?

CHIHIRO:デビューして6年になるんですけど、ベストを作るときに自分の作った曲の中でどれが好きかをファンの方々に投票で聞かせてもらったんです。そうしたら全部で70曲あって、よく作ったな~と自分でも思ったんですけど(笑)。その中から数曲を寄り集めたアルバムなので、やっぱりいつもより重みがあるというか。ザ・ベストな感じで選べたなと思いますね。

――票の多かったものを選んだらこの選曲になったということ?

CHIHIRO:はい。そこにシングル曲とかライブで人気の曲、新曲を2曲入れた形で。自分でも“これがこんなに!?”とか上位にきて驚く曲もあって、面白かったです。

――でも、ラブソングを基準にCHIHIROさんのベーシックな音楽スタイルが並んでいて。恋をしなければ生きていけない人なのでは? と思うくらい、ラブモード全開のアルバムになりましたよね。

CHIHIRO:私、最初はクラブで歌ってて。そこからアナログを出したりするくらい、クラブミュージックとかR&Bが好きだったんですね。だから曲のことばかり意識がいってたんですけど、女の子のファンがだんだん増えてくるにつれ、自分が書く歌詞でもラブソングが一番共感してもらえるんだなというのもあって。だんだん“こんな自分を書きたい”と思うものが、ほぼラブソングになっていったんですよね。

――最初は違う曲も歌ってたんだ?

CHIHIRO:そうですね。今でもラブソングじゃないものも書いてはいるんですよ。でも、誰か好きな人がいて、その人と一緒にいてこそ見えてくる人生とかについて書いちゃうんですよね。で、いつの間にかラブソングになってたり(笑)。

――ラブソングといってもCHIHIROさんのラブソングは、すべてにおいて全力なんですよね。どの曲も、もうこの人と添い遂げるくらいの熱意と覚悟で愛を注ごうとしている。

CHIHIRO:(笑)そうですね。もちろん毎回毎回、“私には生涯この人しかいない!”っていう恋愛なわけじゃないんです。だからこそ、いくつか恋愛をする中でもそういう人に巡り合えたら、恋愛パワーが倍増するというか。逆に付き合ってみてから“なんか違うなぁ”とか感じることもあったりして、“あなたじゃなかった~♪”みたいな歌を書いたこともありますからね。

――あ、反省の歌も(笑)。

CHIHIRO:そうそう。相性なんてすべてがカチッとはまるわけではないんで、逆にハマることのほうが珍しいくらいなんじゃないかなと思うんです。誰とでも熱い恋愛ができるわけじゃないし。でも、だからそのカチッときたときこそ全力で向かって、その想いを即座に歌にするというか。楽しいときも、悲しいときもその想いをすぐ歌詞にしてるんです。

――なるほど。だから全力かつ真っ直ぐなんですね。相手に求めることがほとんど書かれていない。なんか…男らしいなって(笑)。

CHIHIRO:そう、私かなり男っぽいです。「Bye-Bad-Bye」とかダメな恋にハマってしまう女の子の歌なんですけど、抜け出したいのに抜け出せないというより、ダメな恋にハマってる自分が好きっていう女の子っているじゃないですか? 私、そういうのが一番許せないんです。もう白黒つければいいじゃん! って思うんです。

――確かにここで白黒つけてますね。“もう二度とこんな恋したくない!”って。

CHIHIRO:そうそう。そういう恋をしてる女の子が自分の周りにも多いから、ハッキリしなよ! って言ってるんですよね。たぶん私、マインドは男性的で。女の子の女々しさとか繊細なところもわかるから、そういう子たちに向けて書いてるところもあるんですよね。そんな恋…時間の無駄だろ! と(笑)。だって、その子とすごく相性もよくて、ピッタリな人って絶対にいると思うんです。

――この人だ! という直観と、愛すると決めたら愛し抜く真っ直ぐさが、その潔さにつながってるんでしょうね。そのぶん、必要以上に相手に求めないし、攻めもしないっていう。

CHIHIRO:けっこう頭を使って恋愛してるのかも。私は白か黒かのどっちかわかればいいから、寄り添ってみたりガツンと言ってみたり、その反応で判断するんです。そこから総合的に判断して、ダメだったら引く。そこに行きつくまですごく一生懸命だし、もちろんうまくいってほしいから真っ直ぐなんですよね。

――そうすると、自分を客観視できるドライな部分も必要になってくる?

CHIHIRO:そうですね、やっぱり。たぶん女の子は誰でもそうですけど、一番大好きな人と結婚したいなと思ってるし、すごくステキな恋をしたいと思ってると思うんですよ。なんか泣いてばっかりだな、とか思うと、それってあんまりよくない恋なわけで、執着しないほうがいいのかなと思うんですよね。一緒にいた時間とかはキレイな思い出として次の恋に活かしてもいい。過去は見てもいいけど、振り返ってほしくないんです。ラブソングを歌うなら、私はそこを歌っていきたい。

――そういう恋愛観はいつ頃から自分の中にあったんですか?

CHIHIRO:今まで悪い人にいっぱいだまされて(笑)。それは冗談ですけど、でも本当にいろんな人に会ってきたから、いつの間にかこういう自分になってた感じなんですよね。

◆自分が楽しいなと思える場所に常にいて、違うなと思ったらすぐ脱出! みたいな。
◆私の歌が、その力になれる歌であればいいなと思いますね。

――じゃあ、歌というものが日常的になってきたのはいくつくらい?

CHIHIRO:作曲家になりたくって、最初はずっと作曲家としてお仕事してたんです。曲を作ることのほうが大好きだったんですけど、デビューする前くらいから徐々に歌詞を書き始めて。だから歌詞を書くようになってからも、歌うようになってからも、気持ち的にはまだ、ここ6年くらいなんです。

――このベストにはその歌い始めの初期から、今に至るまでの自分が収められているわけで。自分ではどんな成長を遂げてきたなと感じますか?

CHIHIRO:女の子が主人公なんですけど、その女の子がどう幸せになっていくかをバラバラのテーマで書いてきたんですね。最初は泣いてばかりで、せつない曲が多かったんですけど、だんだんハッピーな曲が多くなってきて。曲の中の主人公と自分自身が、同じようにちょっとずつ成長してきたのかなと思うんです。

――うん、10代の子が聴いて励まされるキラキラした恋の歌から、大人の女性が共感する愛の歌まであって。様々な人達のいろんな恋愛シーンと重なりそう。

CHIHIRO:そうだと嬉しいです。すごく苦しくなる歌もあるし。でも、すごく泣いたりした恋でも、出会うことには意味があるし、その出会いから教えてもらうこともいっぱいあるから。一個一個ちゃんと意味があるからこそ、次に出会う人ともっとうまくいったりするから。それは恋でも仕事でもそうなんですけど、全力でぶつかってダメならダメでいい。でも、それが絶対に自分の人生で、最後にはキラキラしたもののひとつの要素になると思うから、思いっきり恋愛したほうがいいと思うんです。で、ダメな恋はさっさと終わりにしたほうがいいんじゃないかな、と(笑)。いろんな経験をして、全部自分で意味を持てたらいいのかなって思いますね。

――ある意味、自立すること?

CHIHIRO:そうですね。自分を知って自分を好きになって、そうしたらきっと相手への対応とかも変わるし。女の子には自立してほしいなと思ってる気がします。だからラブソングだけじゃなくて女の子の生き方を書いた曲もあるんですけど、“自分次第だよ”“自分の気持ちでなんでも変わっていくよ”っていう。言ってることのベースは一緒なんですよね。

――もしかしてCHIHIROさんって、普段からものすごく楽観的だったりしません?

CHIHIRO:そうかも…(笑)。恋愛も仕事も、何かあったら歌にして、そこで消化してるんです。なんでこういう性格になったのかは…両親が超前向きなんですよね。なんとかなるんじゃん? みたいな(笑)。その血が流れてるんでしょうね。何か辛いことがあっても、これには絶対に意味があるんだって、前向きに捉えて。無理やりにでも次に進んで、同じことで悩まないんです。

――引きずらない?

CHIHIRO:そう、引きずらない。自分の中でルールを決めて、悩まないし、振り返らないし、引きずらないんです。もちろん一度はちゃんと受け止めて、深く反省したりするんですよ? でも、何が悪かったかとか答えを見つけたら次へいく。なかなか前に進めない人って、答えはわかってるのに“でも…”とか言いながら期待したり、諦めたりしてるんですよね。そうじゃなく、強引にでも進んだ方がいいと思うんです。自分が楽しいなと思える場所に常にいて、違うなと思ったらすぐ脱出! みたいな。私の歌が、その力になれる歌であればいいなと思いますね。

――では、このベスト盤リリースをきっかけに、CHIHIROさんの曲を初めて聴く人もさらに増えると思うんです。また一段ランクアップするという意味で、どんなアーティストでありたいですか?

CHIHIRO:彼とうまくいっている日もあったら、ケンカしてダメな日もあると思うんです。仕事でうまくいかない日も、もちろんある。そういう女の子のいろんなシチュエーションに合わせて“今日はこの曲を聴こう”って聴いてもらえたらいいなと思うんですよね。その日の気分に合わせて香を選ぶみたいに、選んで聴いてもらえるようになりたいです。

取材・文●川上きくえ


BEST ALBUM
『BEST 2007-2013 』
2013年3月20日発売
1. Love, Again
2. 永遠 feat. Tarantula from スポンテニア
3. Last Kiss
4. 幸せとは
5. 片想い feat. GIORGIO13
6. Miss U feat. ZANE(threeNATION)
7. 恋花火
8. Bye-Bad-Bye
9. Lonely
10. どんなに離れても feat. SEAMO
11. Liar
12. Last Note
13. Miss U Part II~恋してた~
14. 泣いていいよ
15. Roller Coaster Love feat. HI-D
16. YES
[DVD収録曲](初回盤のみ)
1. 幸せとは
2. Liar
3. どんなに離れても feat. SEAMO
4. YES
5. 永遠 feat. Tarantula from スポンテニア
6. WOMAN
7. Bye-Bad-Bye
8. Beautiful feat. Sweep
9. Last Kiss
10. Roller Coaster Love feat. HI-D

◆CHIHIRO オフィシャルサイト
◆CHIHIRO オフィシャルYoutube
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