【ライブレポート】藤本美貴、一日限りの“アイドル”復活。3000人が「美貴様美貴様お仕置きキボンヌ!」

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藤本美貴が約10年ぶりのソロライブ<藤本美貴10周年記念!大感謝祭ライブ!「一日限定!完全復活!ミキティー」>をZepp Tokyoにて開催し、昼夜合わせて3000人のファンが一日限りの“アイドル”ミキティの復活に歓喜した。なお、昼公演では、サプライズゲストとしてモーニング娘。OGの中澤裕子と新垣里沙、保田圭が登場。モーニング娘。時代のトークに花を咲かせた。

◆<藤本美貴10周年記念!大感謝祭ライブ!「一日限定!完全復活!ミキティー」> 画像

2002年3月の「会えない長い日曜日」でソロデビューし、丸11年を迎えた藤本美貴。そもそも10周年記念ライブは2012年に実施予定だったが、藤本の出産、育児タイミングと重なってしまい1年延期。晴れてこの日の開催となった。

ところで、いまや一般にも基本的なアクションは浸透している“ヲタ芸(オタ芸)”。80年代にはすでにその原型となるものは存在していたが、これがお茶の間まで一気に普及したきっかけのひとつともいえるのが、藤本美貴作品の中でも、いや、数あるアイドル楽曲の中でも鉄板の打ち曲(ヲタ芸を行なう楽曲のこと)である「ロマンティック 浮かれモード」だった。

「ロマンティック 浮かれモード」のリリースから10年以上。この日のZepp Tokyoには、当時からの筋金入りのファンはもちろん、藤本美貴と同年代、もしくはそれ以下、10代の女の子たちまで幅広い層が集まる。誰もがきっと“それ”を期待していたことだろう。場内では開演前から、まるで準備運動のように、懐かしいミュージックビデオが流れるたびにコールとジャンプ、クラップが発生していた。

胸の高まりは熱気となり空間に立ち込めていく。そして定刻が過ぎて、会場は暗転。オープニングSEの中、ついに“アイドル”ミキティの復活祭が幕を開ける。

1曲目は、藤本美貴の代表曲のひとつであり、名盤『MIKI(1)』の1曲目を飾った「ブギートレイン'03」。ブルーのドレスに身を包んだミキティが、ハロプロ研修生を引き連れてステージに登場すると、ひときわ大きな歓声が上がる。見た目も歌声も、あの頃とほとんど変わらないミキティ。しかし、そもそも同曲のミュージックビデオには、この研修生のポジションでBerryz工房の“ももち”こと嗣永桃子や須藤茉麻、徳永千奈美、そして元℃-uteの梅田えりかが出演していたのだから、やはり時間は確実に流れているのである(ちなみに徳永はビデオの中で、ももち結びをしている)。

「10年ぶりのソロライブということで、ちょっとドキドキしたんですけど。」と言うミキティ。しかし2曲目の「そっと口づけて ギュッと抱きしめて」を歌う頃にはそのドキドキも消えた様子。代わりにファンからの「ミキティー!」コールは激しさを増していく。

ライブ中盤。「藤本はあんまり印象変わらへんかな。最初から、“はつらつ”というか“殺伐”というか……。あっけらかんとしてまして、非常に頼りがいのあるタイプでしたかね。」と、つんく♂プロデューサー、「いっつも注意するんですけど最後までやめなかった、ライブ中、パンツの食い込みを直す。今日はやらないでください。禁止です。」と、吉澤ひとみ、さらに「さゆみの毒舌キャラを引き出してくれたのは藤本さん。」という驚きの真相も飛び出したモーニング娘。からのお祝いコメント映像が上映される。そしてサプライズゲストの登場だ。

2003年に発表されたモーニング娘。の「恋ING」。ピンクのドレスにチェンジしたミキティが下手(しもて)から登場し、歌い始める。そしてBメロで上手(かみて)に登場したのは、新垣里沙。突然のガキさんに驚きの声が上がる。そしてふたりは笑顔を見せながら、モーニング娘。ファンの間でも高い人気を誇るこの曲を歌い上げたのだった。

さらに軽快なカッティングギターの音色とともに、2004年5月に発表されたモーニング娘。22枚目のシングル「浪漫 ~MY DEAR BOY~」が続く。この曲もガキさんとミキティで披露される……かと思いきや、イントロでガキさんに入れ替わるように姿を見せたのは、なんと中澤裕子。2012年11月に1児の母となった中澤が、出産後に公の場に姿を見せるのは、今回のステージが初めて。まさかの“ママ友”共演までも実現してしまったのだった。

「ミキティー!」と、Tシャツにタオルなどライブグッズを身につけて叫ぶ中澤。これに呼応するかのようなオーディエンスからの歓声。さらに中澤と藤本は、「10年ぶりだって? 嘘でしょ?」「そうなんです。10年ぶりにソロライブっていう。」「まぁ、いろいろあったからね……。」「そうなんです(笑)。ほんとに、いたりいなかったり、ご迷惑をおかけしております。」と、言葉を交わして、客席から笑いをとっていく。そして「お互い丸くなったよね。」と、意気投合すると、その笑いに歓声と拍手が入り混じる。

さらに新垣里沙も呼び込んでのモーニング娘。OG3人でのトーク。「ガキさんも久しぶりですけど。」「ねー。久しぶりだからドキドキしちゃった。」と、藤本と新垣は顔を見合わせる。そこに中澤が(無意識に)地雷を仕掛けていく。「どれくらいぶりなの?」と。

中澤の問いかけに、「え、でも一緒に歌うのは……」「だから、あのー……」「卒業ぶり……」「卒業っていうか……脱退というか……」「あっ……」という、ふたりのしどろもどろなやり取りに爆笑する会場。とはいえ「いいのよ! 今、幸せなんだから!」という中澤の言葉がすべて。確かに当時は大変だったかもしれないが、それも今となっては(ファンも含めて)みんなで語ることができる笑い話なのである。

MCコーナーではおなじみ、さわやか五郎が司会進行として登場し、お決まりの大ブーイングを浴びる。「こんなに(声が)揃うのは、さわやか五郎さんへのブーイングか、ケメ子の『おえっ!』くらい。」という藤本の発言から、ちょうどこの日オフで、2階席から公演を観ていた保田圭に話が振られる。そして「(ステージ上に)くればいいのにね。」という中澤のつぶやきを受けて藤本が「ケメちゃん、きてくれますか?」と、保田にステージ上から出演オファー。予想外な展開に、フロアからは「ケメ子!」のコールまで発生して大盛り上がり。「ちょっと、自由すぎませんか? 俺、2階席にいる人を呼んだの、初めて見ました。」と、さわやか五郎も驚きを隠せない。

ステージに上げられた保田は、「ゲストに呼んでくれるんだったら、最初から呼んでくれる? 私、ほんとにただ観に来たんだよ。」と、一言。芸歴10年以上のモーニング娘。OGメンバーが集まったこのステージ、もはやなんでもありである。

MCコーナーでは、中澤が藤本に初めて会った時のエピソードも披露される。中澤によると、事務所で初めて会った藤本は、「全然挨拶ができなかったの。ブスッとして『藤本美貴です。』って言うから、だったらこっちも『中澤裕子です。』ってなっちゃいますよ!」だったそうで、話を聞いたさわやか五郎は、両者の初対面時に散った火花を想像しながら「うわー怖いよ! 天下一武道会だよ! 天下一武道会だよもう!」と、完全に怯えきっていた。

また、「手のかかった後輩は?」という質問では、「姐さん、久住(小春)さんじゃないですか?」という藤本はじめ周囲の声に「私は貝になる。」とノーコメントを貫いた中澤裕子。代わりに新垣が「小春は空気を読まないことも悪いこととは思ってない。そこがハッピー野郎なの。」と、コメント。“ハッピー野郎”にステージ上も客席も大ウケとなる。さらに藤本と中澤を対象に、モーニング娘。10期・11期メンバーの写真を見ながら名前を当てるという、モーニング娘。OGなら常識の再確認も行なわれた(10年間ミキティ一筋で応援してきたファンのためにお伝えしておくと、今のモーニング娘。には、ふたりの口から出てきた「佐々木楓」や「吉川さゆみ」「工藤明日香」なんてメンバーはいない)。

ゲストとともに展開されたMCコーナーの後に披露されたのは、モーニング娘。に在籍した期間を経て、再度ソロとなりリリースした「置き手紙」。最初はこのライブで歌う予定はなかったものの、藤本自身の中でも、またこの頃の歌手・藤本美貴を応援して、地方を一緒に回ってくれたファンにとっても外せない1曲という思い入れから、セットリストに組み込まれることになった作品だ。ミキティは、安定した歌唱力を存分に発揮して、じっくりと聴かせる。結婚、出産、育児と、歌う機会はそれほどなかったはずにも関わらず、声量も決して衰えることがない。多分、その辺の現役アイドルたちよりもはるかに上手い彼女の歌声は、天賦の才能ゆえのものか、はたまたこのライブに照準を合わせたトレーニングの賜物か。

「“ミキティー!”っていうタオルです。私の想いを込めました。ありがとうございます。……そうだね、私の想いっていうか、違うね(笑)。でもほら、グッズになることないじゃない、あっちは。だからこっちでもらっちゃえ、みたいな。」「生写真は、このために撮影したんです。そうです。“ミキ様 ミキ様オシオキキボンヌ”10周年。手書きで、みなさんの気持ちを書かせていただきました。」などなど、研修生とのグッズ紹介コーナーを挟んでのラストスパート。デビュー曲「会えない長い日曜日」に「満月」「涙GIRL」とアップテンポなナンバーで盛り上げて、そして本編最後は「ボーイフレンド」を熱唱。“アイドル”ミキティとして、10年間の想いを込めた歌声が会場に広がっていく。

「えー、今日はみなさんどうもありがとうございました。まだ1曲、歌ってない曲がありますが、みなさま、準備のほうはよろしいでしょうか? んふふふ(笑)。ちょっとね、今回、ヲタ芸をすごく楽しみにしてきましたので。みなさんも楽しみにしてきたと思いますけども。“ヲタ芸”よろしくお願いします。あの、土下座から始まるんだよね? それはちょっとあの、みんなに観て欲しくて、いっぱい、スタンディングで入っちゃったんで土下座はちょっと無理かと思いますけども。……え、やるの、土下座? じゃ、やらない人の邪魔にならないようにお願いしますね。でも、すごく楽しみにしてるので。じゃあちょっと、みなさん、少々お待ちを。」

アンコールを前にして、本人の口から出た「“ヲタ芸”よろしくお願いします。」に大歓喜の客席。そしてステージはアンコールへ向けて一旦、暗転する。

衣装チェンジを待つ間、ファンからはまず「ミキティ! ミキティ!」コールが発生する。そしてひとりひとりの胸の鼓動に合わせるかのように、コールはテンポを早めながら、やがて「美貴様! 美貴様!」へと変化。ついにあの曲が紐解かれるのだ。しかも藤本美貴10周年記念ライブという特別なステージで。

そして再びライトアップされて、いよいよラストの曲のイントロがスタート。フロアの後方では、脊髄反射的に土下座の姿勢をとるファンの姿も。まばゆい光の中、ミュージックビデオでの衣装を再現したであろうシルバーのワンピースにヘッドアクセ姿で、ミキティはもう一度ステージへと降臨する。本人との約束ということもあり、いわゆる「OAD」と呼ばれるモーションとともに「ウリャホイ!(ウリャヲイ!)」のかけ声でフロアは熱を帯びていく。

最後に残された1曲は、多分、集まった誰もが最も期待していたであろう「ロマンティック 浮かれモード」。頭上でクラップしながら曲に合わせて飛び跳ねる「マワリ」や、ヲタ芸の代表的なアクション「ロマンス」が次々に打たれていく会場。かつてないほどの一体感をもって膨れ上がっていく熱量を目の当たりにしたミキティも、そのエナジーをもっと高めんとするかのように、思いっきり楽しみながら歌い踊る。そう、みんな一緒になって楽しむ。「最高に楽しい!」という気持ちをみんなで共有する。目の前ではそんな光景が繰り広げられていた。

「みんな最高でしたよ! どうもありがとう! 藤本美貴でした!」

藤本美貴10周年記念ライブ。そうしてこの日、のべ3000人の「美貴様美貴様お仕置きキボンヌ!」の大合唱が、Zepp Tokyoに、お台場に響き渡ったのであった。

なお余談だが、「ミキティー!」のシャウトでもおなじみ(?)、夫の庄司智春(品川庄司)は、というと、<沖縄国際映画祭>出席のため朝から沖縄入り。しかし、仕事を終えて帰京し、夜公演を観覧した。

この日の彼のブログには、ミキティ(と妻・藤本美貴)、そしてミキティファンへの素直な気持ちが綴られており、Twitterのリツイートは1000件を超えるなど、大きな話題となっている。


text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

◆かわいこちゃんねる
◆藤本美貴 オフィシャルサイト
◆品川庄司 庄司のブログ
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