【インタビュー】パスピエ、“正体不明バンド”が成り立ちから未来のサウンド像まで語る

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iTunesの“ニューアーティスト 2013”に選出されたことをはじめ、3月には山下智久のシングル「怪・セラ・セラ」の楽曲プロデュースを手掛けるなど、2012年6月のメジャーデビュー以降、俄然世間から脚光を浴びるパスピエが3月20日、シングル「フィーバー」をリリースした。同曲はiTunesデイリー配信チャート6位を獲得、話題性や人気の高さを裏付けるものとなったが、注目すべきはその音楽性にある。

◆パスピエ 画像

東京藝大でクラシックを学んだ成田ハネダを中心に、ニューウェーブやテクノポップをネクストレベルへ進化させたバンドが放つサウンドは他に類を見ない仕上がり。またジャケットをはじめとしたアートワークを手がける紅一点のボーカル大胡田なつきによる世界観は、ライブ以外で顔を露出しない謎多きバンドスタイルもあってミステリアスだ。

BARKSはパスピエの本質に迫るべく、これまでより肉体的な質感を高めたシングル「フィーバー」を基に、バンドの成り立ちからこの先のサウンド像まで、成田と大胡田に語ってもらった。

――まずは特徴的なバンド名の由来からうかがいたいのですが、パスピエとはどういう意味ですか?

成田:僕はずっとクラシックピアノをやってまして、そのなかでもドビュッシーやラヴェルが活躍した“印象派”と呼ばれる時代が好きなんですね。そのドビュッシーの楽曲のひとつに「パスピエ(passepied)」というのがありまして。今、僕らパスピエがやっている音楽とは全然似つかわしくないんですけど(笑)。

――成田さんは東京藝術大学出身でクラシックを学んだそうですね。ピアノは何歳から?

成田:5歳から始めました。姉がピアノをやってたっていうのもあるんですけど、まぁ、気づいたらずっとやってたという感じで。いつの間にか自分の取り柄がピアノになっていたので、いつかはクラシックピアニストだったり、音楽を仕事にできたらなとは思っていたんです。

――大学1年の19歳の冬、<COUNTDOWN JAPAN>へ行ったことをきっかけにバンドに目覚めたそうですが、成田さんはずっとクラシックピアノをやってたわけで。バンドをやるにしても、インストという選択肢があったと思うんです。

成田: キーボードのいるバンドをたくさん見て、帰ったら自分でも曲を書こうと思ったんですけど、そのときイメージしたのが女性ボーカルだったんです。 当時はメロコアやスカのバンドがワーッと出ていたんですけど、逆に女性ボーカルをやったらおもしろいんじゃないかなって。

――“あのバンドみたいになりたい”ではなくて、“ああいうバンドがいないからやりたい”という方向性は、なかなか戦略的ですね。

成田:そうですね。昔はああいうバンドがいたけど、今はいないんじゃないかとか。それまで、キーボードが弾けるという理由で学園祭のコピーバンドに駆り出されたことはあったんですけど、同級生とオリジナルバンドを組んだこともなかったし、初期衝動でやるっていうことがないんですよね。“これやったらおもしろいんじゃないかな”とか、頭で考えることから始まることが多くて。でも、曲を書くのは好きだったので、日頃からフレーズを貯めたりはしてましたけどね。

――大胡田さんは親御さんが音楽教室をやってるということですが?

大胡田:母親が教師で音楽を教えていたんです。実家では、ピアノやエレクトーンの先生に来ていただいて、音楽教室をしています。私が幼いころは母もそこで教えていたことがあるので、4歳からピアノをやってたんですよ。だから成田さんよりもピアノを始めたのは早いんです(笑)。まぁ、でも、成田さんみたいにコンクールに出たりはしていなかったので、普通に習い事程度な感じでしたけど。

――大胡田さんがバンドに目覚めたきっかけは?

大胡田:東京に来てからですね。特にボーカルをやりたいとか、そういうのもなく。歌とキーボードと打ち込みの勉強をしようかなって感じで。そんなことをしていたら、成田さんに見つかりまして。

成田:幸か不幸か、出会ってしまったというか。僕がパスピエの前に組んでいたバンドが解散して。次は、印象派だったり、芸術系のこととバンドを組み合わせたいなと思ったんです。そのときに、大胡田もそれに近いようなことを言ってたのを思い出して。それを思い立ったときに大胡田を呼び出して、スタジオに入ったんですよ。で、こういうことやりたいんだけどって言ったら、「やる」って言ってくれたので。

――大胡田さんは、どこに手応えを感じたんですか?

大胡田:なんか私、自分が“これは大丈夫”と思ったものは大丈夫だと思っているので、直感でした。

――前アルバム『ONOMIMONO』リリースから、iTunes Store限定シングル2作をあいだに挟んで、シングルCD「フィーバー」をリリースするという流れになりましたが、この展開の意図は?

成田:シングルとかアルバムって、リード曲に尽きるじゃないですか。でも僕の考えは、もっと多面的に見せていきたかった。CDはそんなに頻繁にリリースできるものではないので、iTunes限定という形で、いろんなタイプの曲を出していく、それができるならいいんじゃないかと思ったんです。ただ、シングルCDを出すということはもともと決まっていたので、iTunes限定でいろいろ出すことで「フィーバー」の新しさがなくなっちゃったりするかもとか懸念部分もあったんです。けど、個人的には違うタイプの曲が書けたつもりなので、新鮮な形で届けられるんじゃないかな。

――「フィーバー」は世間一般のパスピエに対するイメージを維持しつつ、さらにグレードアップさせた感じがします。

成田:僕的にはけっこう振り切って書きました。今までジャケットがずっと絵だったり、アーティスト写真に顔を露出してなかったんですけど、2012年にたくさんライブをやったことで、もうちょっとパスピエのフィジカルな部分を出していきたいなと思ったんです。今まではレコーディングのために曲作りをして、レコーディングが終わったら、それをライブ用にアレンジし直していたんですけど、今回はまったく逆。ライブありきで考えたんです。どういうふうに曲を構成したらお客さんがノリやすいかとか、お客さんにインパクトを与えられるかとか。それを随所にしつこいくらいに散りばめた感じです。「フィーバー」は直接的にライブに向けて曲作りをしたので、ステージでやりやすいと言えばやりやすいですよね。

――確かにライブで「フィーバー」を聴いたとき、他の曲とは一段違う印象を受けました。どっちがいい悪いということではないと思うんですが、今はライブ重視の方向に?

成田:今のバンドって、ライブ至上主義的なイメージが少なからずあると思うんです。けど、僕には、音楽は盤を聴いてほしいという思いがある。だから、これまでベクトルがすごく盤に向いていたんですよ。音楽は盤で、ライブはそれと別モノというか。ただ、盤のパスピエは前2作である程度提示できたかなと個人的には思っているので、今度は盤を作るときに新しい取り組みをしていきたいなと。

――となると、曲作りの方法は変わりましたか? 直しも多かったりするんじゃないですか?

成田:それでも今回は、直しを極限に減らしましたけど。“直す美”と“直さない美”があるとしたら、直さない美のほうにちょっとベクトルを向けてみたっていう感じですね。多少グチャっとなったとしても、圧力があればそれはそれでかっこいいんじゃないっていう。そのベクトルをどこに決めるかで、曲の作り方や録り方も変わってくるんですけど、今回は最初にそれが決まっていたので、あとは一発勝負でガンといこうと。だから、レコーディングでは今までとは趣向が違うエンジニアさんにお願いして。前はどんどん音を重ねて構築していたので、バンドだけの音を録るときに、ある程度余白を残していたんです。“ここにウワモノでキーボードが重なっていくから、これくらい余裕を残して、そこの空いた穴にスペースを埋めていこう”という感じで。でも、今回はバンドで固めようとしたので、もうバンドのなかでバン!と作って、飛び出した部分を削ったりもせず。

――大胡田さん独特の声を活かすためのサウンドバランスは、考え抜かれたものがあると思うのですが?

成田:それはありますね。やっぱり大胡田が映える音域がある。目立たせたいところはそこに持っていって。良くも悪くも声の線が細いので、どういうふうに歌メロを聴かせるか。それはコーラスを重ねていったり、対旋律っていうサブメロディーをギターやピアノで弾いたり。そこはめちゃめちゃ考えてます。

――「フィーバー」のミュージックビデオは、初めてメンバーが出演するものになりましたが、それはやはり“フィジカルを出す”というところが大きいですか?

成田:やっぱり2013年はライブを見据えているから。今までライブ以外では顔も出してなかったし、ずっと絵だけだった。媒体では“正体不明のバンド現る”みたいなことを書いていただいたから、興味本位でライブに来てくれるお客さんも多かったんですね。でも、それだと“どんなバンドなんだ?”みたいに、様子をうかがう人も多いのかなと肌で感じていて。伝播速度が遅いんじゃないかと思ったんですよ。で、そのワンクッションを取り除きたいなと。ただ、これまでのアートワークも、顔を出したくないっていうよりは、大胡田のセンスを引き立たせたくてやっていたことだから、実写+アニメーションみたいな形で融合できないかなと思ったんです。

――結果、メンバーがシルエット的に登場するミュージックビデオに仕上がったんですね。ジャケットは今回も大胡田さんが描いた女性の絵ですが、初めて目が描かれてますね。片目だけですが。

大胡田:“よし、目を出すぞ”と思ったわけじゃないんですけど、やっぱり曲調とかに影響されたのかなぁ、と今ちょっと思いました。いちおう「フィーバー」がリード曲ということになってるので、曲を意識して何枚か描いたんですけど、これが一番よかったんですよね。

――2013年はライブもリリースも積極的に仕掛けていく感じになりそうですけど、モチベーションも高まりつつありますか?

成田:モチベーションというか、視野は変わったかもしれないです。これまではどうやって音源を再現するかという演奏だったのが、対ヒトっていうことで見れるようになったのかなと。

――以前より注目を浴びている実感もあるんじゃないかと思うんですけど、今後はどういう立ち位置を目指したいですか?

成田:メジャーデビューしたこととか、いろいろ取り上げてもらってるということは自負しつつやってますけど、プレッシャーもあるんですよ(笑)。今後は、良くも悪くも“知的な~”とか言っていただいたりするんですけど、それは続けていきたいなと思ってますね。

――大胡田さんはどうですか?

大胡田:どうかなー。えーと、うん…。

成田:パスピエの1曲1曲の生まれ方って、“せーの”で“じゃーん”とやってOKということじゃなくて、あーだこーだ緻密に練って出していくタイプなんです。「フィーバー」も熱量はありつつ、裏ではいろいろやってますし。今後はそれをもっと研ぎ澄まして、新しいアプローチの楽曲をどんどん作っていきたいですね。


シングル「フィーバー」
2013年3月20日発売
WPCL-11349 1000円(税込)
1. フィーバー
2. マグネティック
3. Eccentric Person Come Back To Me *1
4. アンドロメダ*2
*1(原曲:LOVE COME BACK TO ME) 作詞:オスカーハーマ シュタイン2nd 日本語詞:大野方栄 作曲:ウィリアムシャープ
*2自主制作盤「ブンシンノジュツ」収録曲のリメイク

1stフルアルバム『演出家出演』
2013年6月12日(水)発売
【初回限定盤(スペシャルパッケージ仕様)】WPCL-11446 ¥2,600(税込)
【通常盤】WPCL-11424 ¥2,400(税込)
1. S.S
2.名前のない鳥
3.フィーバー
4.シネマ
5.ON THE AIR
6.くだらないことばかり
7.デ・ジャヴ
8.はいからさん
9.△
10.ワールドエンド
11.カーニバル
作詞:大胡田なつき 作曲:成田ハネダ 編曲:パスピエ

<パスピエ presents 印象B>
■2013年7月3日(水)恵比寿LIQUID ROOM
開場/18:00 開演/19:00
オールスタンディング \3,500(消費税込 整理番号付 D代別)
※入場時にドリンク代 \500 必要
※未就学児童入場不可
※パスピエ謹製お土産付
チケット受付期間:04月04日(木)am10:00~05月10日(金)23:59
枚数制限:1人4枚まで
ぴあ/先着受付URL:http://pia.jp/a/passepied/ ※PC・モバイル共通
プレイガイド:チケットぴあ0570-02-9999 Pコード:196-472
ローソンチケット 0570-084-003 Lコード:76037
イープラス http://eplus.jp
SOGO TOKYO オンラインチケット http://www.sogotokyo.com (PC・mobile)
[問]ソーゴー東京 03-3405-9999 http://www.sogotokyo.com

■2013年07月05日(金)東心斎橋JANUS
開場/18:00 開演/19:00
プレイガイド:チケットぴあ 0570-02-9999  Pコード:197-281
ローソンチケット 0570-084-005  Lコード:55466
イープラス http://eplus.jp
モバイルサイトGREENS!チケット http://mobile.greens-corp.co.jp
[問]GREENS 06-6882-1224 http://www.greens-corp.co.jp

◆チケット詳細&購入ページ
◆パスピエ オフィシャルサイト
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