【インタビュー】子供ばんど、25年ぶりのニューアルバム『CAN DRIVE 55』について、うじきつよし大いに語る

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ここで「奇跡の」という言葉を使わずしていつ使うのか。80年代を駆け抜けたロック・ヒーロー「子供ばんど」が、2年前の再始動を経てなんと25年ぶりのニューアルバム『CAN DRIVE 55』を完成させた。55歳になったうじきつよしを中心に、シンプルで骨太なロックンロールには1ミリのブレも迷いもなく、なおかつ年輪を重ねた余裕と包容力を兼ね備えた最上級のロック・アルバム。奥田民生プロデュースによる話題曲を含む全12曲の中に込めた、大人になった永遠のロック少年たちの胸の内について、うじきつよし大いに語る!

■自分たちができることを冷静に見られるようになった
■だからほめてもらうと素直にうれしいです

──私事ですが、子供ばんどがデビューした1980年には中2でした。なので80年代の子供ばんどの雄姿は、今もありありと覚えております。

うじきつよし(以下、うじき):まさか、またやるとは思わなかったでしょ?

──はい(笑)。だってうじきさん、もう音楽をやめちゃったのかな?とか、正直思っていたので。

うじき:やめてましたよ。あれは、やめてる以外の何ものでもない(笑)。それで一部でどんだけ叩かれたか(笑)。まあ怒る人の気持ちもわからないではないけど。

──積もる話はありますが、今の音の話をしたいです。いや、もう最高のアルバムです。ほんとカッコいい!

うじき:ありがとうございます。ちょっと今回のは、コレ(天狗)になってますからね。普通はそう言われると「そんなことないですよ」とか言うもんだけど、「そうです」って言っちゃうぐらい、いいものができました。昔はそういうふうに思えなくて、満足すること自体が生意気だ、みたいな感じがあったから。「次は絶対もっといいものができる」と思ってたけど、そこは見事にトシをとったので、自分たちができることとできないことについて、冷静に見られるようになったのかな。だからほめていただくと、素直にうれしいです。ありがとう。

──どんなアルバムにしようと思って、作り始めたんですか。

うじき:一番最初に「今のオレたち4人がやって、最高にカッコいいロック・アルバムが作りたいんだよ!」って言ったんですね。ついては「みんな曲を書いてきてくれ」と。リフ一個でもいいから聴かせてくれと言って、出てきたものを4人でリハーサルして、行けそうなやつはまた家に持って帰ってアレンジする。それから「この曲におまえがメロディをつけろ」とか、キャッチボールをしながら作っていくという、そういうやり方は初めてでしたね。過去の子供ばんどを振り返ると。基本的に自分が曲を書いて、そこからみんなでアレンジするパターンだったんで。そうやっていくことで、この4人でまた新しい音ができるんじゃないかな?と思ったし、それが「カッコいいロック・アルバムを作りたい」ということに、うまくつながったかなという気がします。

──レコーディングの雰囲気はどんな感じで?

うじき:レコーディングは結局1年間かかったんですけど、ライヴとは違うメンバーのぶつかり合いや、気持ちのすり合わせがあって、それが今となってはとても楽しかった。うちはみんな口が悪いし態度も悪いし、「おまえのプレイ、いいよ」とか絶対言わなかったんだけど、それが最近ちょっと言ったりするようになったりして。そのへんはオヤジになって初めて、カッコつけるのも疲れるから、お互いを思いやる部分が出てきたんじゃないかな。レコーディングをやったことで、メンバーの関係はより深まったと思いますね。四半世紀ぶりにレコーディングするということで、「オレもやるよ」と言ってくれた昔のキーボーディストがいたんですけど、そこはあえてメンバーのこだわりで、ヘタでもいいから4人だけでやろうと。だからキーボードは全部(湯川)トーベンが弾いてます。唯一、子供のコーラスがほしかったので、それは頼みましたけど。最初は自分たちで子供の声をやってみたんだけど、気持悪いだけだったんで(笑)。コーラスも、ここは本当は女性コーラスを入れたいところだけど、汚い声だけどオレたちでやろうぜと言って、3人が頑張ってましたね。オレは見てるほうだから、すっごい楽しかった。夢のような…とか言うと恥ずかしいけど、本当にそういう時間でしたね。で、最後は二日間徹夜で出来上がったんだけど、その時に最初に出た言葉が「もう1枚作りたいね」だった。

──おおー。すばらしい!

うじき:「カンベンしてくれ」って言われたけどね(笑)。もう何も出ない!ってメンバーは言ってたけど、僕はつらかったけど楽しかったから。

──若いリスナーには、こういうシンプルで骨太なロックンロールが、新しく聴こえる可能性があると思うんですよ。

うじき:そうだとうれしいね。

──そこであらためて確認したいんですけど。子供ばんどって、基本は70年代のアメリカン・ハードロックがルーツですよね?

うじき:60年代の最後から70年代、80年代の初頭の、いわゆるヒットしていたものはみんな好きですね。カッコいい曲が多かったし、カッコいいバンドが多かった。聴いていたもので言うと、もちろんレッド・ツェッペリンだったり、あとはハンブル・パイが自分はすごく好きだったんだけど。

──アマチュアの頃はハンブル・パイやグランド・ファンクのコピーをやっていたと聞きました。

うじき:そうそう。スタートはグランド・ファンクで、その時一番カッコよかったんですよ。でも最終的にはポリスとかもすごい好きだったね。パンクバンドみたいなものすごい勢いで、トリオだから音はスカスカだけど、すごい好きだった。そういう意味では、ロック・ミーハーですよ。ジャーニーも大好きだったしね。

◆インタビュー続きへ
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