【インタビュー】ナオト・インティライミ「“なんかわかんないけどこの瞬間を逃すな!”っていう感覚をキャッチする、“Catch the moment”精神が大事」

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ナオト・インティライミが4枚目となるアルバム『Nice catch the moment!』を本日5月15日にリリースした。アルバム制作の合間に旅へ出て、そこで吸収した音楽と感性を存分に込めた今作は全13曲、1曲ごとにジャンルが違うといっていいほど、バラエティー豊かだ。細部にまでこだわり抜かれた楽曲は、一瞬たりとも聴き逃したくないほど、楽しませてくれる。そんな『Nice catch the moment!』についてのインタビューをじっくりと読んでほしい。また、インタビュー終了後に、彼がユーモアたっぷりに話してれた“こぼれ話”も特別にお届けするので、こちらもぜひご覧いただきたい。

■アルバムまで踏み込んで聴いてもらわないと、音のアプローチは届かない。
■だから1回だまされたと思ってこのアルバムを聴いてほしいんですよ。


――まずは4thアルバム『Nice catch the moment!』のコンセプトから教えてください。

ナオト・インティライミ(以下:ナオト):とにかく出し惜しみなくいい曲をつぎ込もうと思いまして。“明日もしかしたら死ぬかもしれない”、それなら(曲の)ストックなんて意味ないから、今ベストなものをすべて入れようという構想がありました。だから「365」とか「君生まれし日」はスタッフの間ではシングル候補曲だったけど、そういったシングルとしてのポテンシャルを持った曲たちも、もう行っちまいな! と。

――全部出しちゃえと!

ナオト:そういうエース級の曲も含め、オールスターを集めたアルバムになってます。

――楽曲もオールスターなら、サウンドアプローチもバラエティー豊かにオールジャンル勢揃いなアルバムに仕上がっていますよね。

ナオト:へぇー、うれしい!! そう言ってもらえると。ナイト・インティライミって、シングルだと、「タカラモノ~この声がなくなるまで~」にしろ「今のキミを忘れない」にしろ「君に逢いたかった」にしろ“せつなソング”を歌う人で、でもテレビに出ちゃうとオマットゥリ感満載で“能天気な兄ちゃん”のイメージじゃないですか。だらアルバムまで踏み込んで聴いてもらわないと、なかなかこういう音のアプローチは届かない。だからこそ1回だまされたと思ってこのアルバムを聴いてほしいんですよ。“ナオト・インティライミはそこだけじゃないんだよね”ってところを。「I FEEL IT GOOD」のような“いい人”だけでは終わらないセクシーな男ソングとか、アルバムに入ってきてもらわないと感じてもらえないものだし。音のアプローチにしても、バッキバキのEDM(エレクトロニック・ダンスミュージック)もあればカリブ海のソカ(トリニダード・トバゴ発祥のポピュラー音楽)もあるし。かと思えば「声をきかせて」のようなアンビエントな曲もあるし。「Ballooooon!!」のようなレトロエレクトロなもの、「I’m chi-zu-ers」のようなロッケンロールなカントリーや「introduction~Do whatcha wanna~」のようなジャジーなスキャットから始まるような曲もある。このアルバムは1曲ごとにジャンルが違うといっても過言ではないんですよ。そういう音楽、ジャンルを“こんな音楽あるんだよ”“こういうリズムよくない?”ってみんなと共有したいんですよね。

――よくテレビやコンビニなどでも流れてくる最新シングル「恋する季節」のような楽曲だけじゃなくてね。

ナオト:ナオト・インティライミのシングルを聴いてくれたらさらにその奥へ。ナオト・インティライミの他の曲も聴きたくなるようなきっかけ。そこをBARKSさんの力をお借りしたい(笑)。そのエントランスにさえ入ってもらえば、このようにアミューズメント感覚で目一杯楽しんでもらえるカラフルなアルバムを用意していますから! ってね。

――では、本作のエントランスとしてナオトさん史上最大のヒット曲となったシングル「恋する季節」に関して。この曲って、実はリピートして聴けば聴くほどに細部に渡るまでサウンドアプローチが絶妙だと思うんです。シングルなのにアイデア詰め込み過ぎ(笑)。 例えば、1番のAメロと2番のAメロでは言葉の詰め込み方が違っているところとかね。

ナオト:Aメロはそれぞれ1回しか出てこないからね。2番のラップもここしか出てこないし、大サビもそう。もうね、何もかもいきっぱなし(笑)。でもね、面白いのは歌詞なんですよ。「タカラモノ~」のようなわかりやすい歌詞というよりも行間を読んでもらう。シングルにしては珍しくポエットな歌詞が曲に導かれて出てきたんだけど、そうしたら、若い子たちは「この曲は歌詞が分かりやすい」って言ってくれて。かと思えば、さだまさしさんは「お前これ40年前のタイトルだぞ」って言ってくださって(笑)。若者はこの歌詞を新しいと感じ、年配の方はこれを懐かしいと感じる。そういう不思議な現象が起きているんですよ。でも、オシャレなサウンドでコーティングして、どんなにイケてる音楽やろうが僕のベースはJポッパー。だから、これもギターの弾き語りにすればフォーキーな曲になるんですよね。

■J-POP特有の構成は無視(笑)。
■そういう“自由度”が今回アルバムのポイントなんですよね。


――イケてる音楽の最先端といえば「Brand new day」のブラックアーバンなEDMとソカの合体。これは面白かったですね。

ナオト:こういうパーティーチューンにおいてソカというのは自分にとって大事な要素で。今から3ヵ月前に行ったソカの発祥地であるトリニダード・トバゴで1週間、嫌というほどソカを食らい上げて。そのソカの要素と自分が好きなブラックアーバンとEDM要素のお互いのいいところを取って、ガチコーンとミックスすると、リズムで体が動いちゃうような“ワッショイミュージック”ができたんです。

――「I FEEL IT GOOD」はよりブラックアーバンな音をスタイリッシュに取りこんだ曲ですね。

ナオト:まさに今風サウンド! 無条件に上がりますよね。

――そんなノリノリの曲もあれば「声をきかせて」のような浸ることができる曲もあって。これはナオトさんが作る楽曲の中でも異色なもの?

ナオト:自分の中には全然あるものですよ。でも、実はこれ、映画『旅歌ダイアリー』のサントラ用に書き下ろしたインスト曲なんです。それにたまたま鼻歌乗せてみたら“この子(曲)ありだな”ってなって。で、アルバム曲に昇格したんです。だから歌出てくるまでに1分半かかるし、歌出てくる前にいきなりピアノソロ始まっちゃう(笑)。そんなJ−POP今まであったかと(笑)。イントロがあって、Aメロがあって、というJ-POP特有の構成は無視(笑)。そういう“自由度”が今回アルバムのポイントなんですよね。アルバムの構想を練って旅をして、また歌詞書いて、旅をして。この半年の間、ずっと旅と楽曲制作が一緒になってたんです。だからこそ産地直送感覚で「Brand new day」みたいな破壊力あるソカもできたし。旅に出るとどんどん感覚が研ぎすまされるから「声をきかせて」のような自由度の高いこともできた。「I’m chi-zu-ers」が2分半で終わっちゃうのも、「恋する季節」がポップスの概念から飛び出したのも自由度の高さですね。そこは旅したのが大きいかな。

◆インタビュー続きへ
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