【インタビュー】ケツメイシ、「月と太陽」を聴いて「単純な世界に自分がいることを実感してほしい」

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── ところで、ジャケットには猫が登場していますが、どういう意味が隠れているのでしょう?

RYOJI:人間生活に密接に関わっていながらミステリアス。そのイメージが月と太陽にあう、みたいな?(笑)。

DJ KOHNO:実際ある国では、神秘的扱いされているみたいですしね。

RYO:また目の色が異なるのもポイントですね。

── 続いて「Make & Break」について。これまでのケツメイシのイメージにはない宇宙を感じるエレクトロ・トラックですね。また歌詞は、夢に向う人へのエールのような内容。こだわりは?

RYOJI:クリエイターってのは、作っては壊すを繰り返す作業だと思う。なかでも日本人はそういう作業が得意で、なかでも壊してから創成していくことに関しては強いんじゃないかって。僕らより若い世代の人も、そういう姿勢を持ってくれたら日本は安泰じゃないかって思うんです。もちろん僕らも頑張りますけど、次の世代へエールを送るような。今は枠のなかに閉じこもっている時間ではないことを伝えるような曲を作りたいと思いましたね。

DJ KOHNO:いろんな世代の人と話す機会があるんですけど、若い世代ほど守りの姿勢が強い気がする。ハタから見ると、何も恐れることなんてないのに、何でおびえているんだろう?って。また、スポーツ選手もそうなんですけど、新しいことに挑戦しようとしない人ほど、早く引退に追い込まれるパターンが多いんですよ。だから、みんなでこれまでのことをすべて崩してでも、新しいことに挑戦すればいいんじゃない?ってことを表現したつもりです。

RYO:イチローって小学生時代の作文で<自分は1年のうち363日練習に明け暮れたんだから、絶対にプロ野球選手になる>って書いていたんですよね。<なりたい>じゃなくって<なる>ってすごいじゃないですか。そういう気持ちで(みんなも)夢や目標に向うみたいな姿勢を持ってほしいなって。

大蔵:若い世代の何か作り出そうとするパワーを応援するような内容。つまり未来にワクワクできるような曲にしたいと思ったと同時に、ケツメイシも15年近く破壊と創造を繰り返して活動してきたけど、これからもそういうことを続けていかなければと、襟をただすような気分になった1曲になりましたね。

── またこの曲のラップもユニークですよね。

大蔵:ラップに関しても、日々新しいことに挑戦したいと思っていて。この曲では、最近の洋楽を参考にして、歌っぽいものを取り入れていますね。

── 3曲目「Good morning」はすでに朝の情報番組『やじうまTV』でおなじみのナンバー。前日までの憂鬱な気分を吹き飛ばし、元気に1日を始められるような軽快な楽曲に。

RYOJI:人間にはリセットできる時間帯ってあると思うんですよ。それが仕事に出かける朝と、終業後の夕方だと思う。僕は、それで表情を変える人って素敵だなって思うんですけど。特に朝、僕は家に帰ることが多いんですけど、その時にすれちがう出勤する人の姿を見ると、彼らが日本を動かしているんだな。そういう人たちが元気に1日をスタートできるような曲を作りたいと純粋に思って完成させました。

大蔵:RYOJIくんから、朝カーテンを開けて朝が始まるというイメージを聞いていた。なので僕は、気持ちよく玄関を飛び出して仕事や学校に行けるようなラップにしようと思いましたね。

RYO:僕は何かシュッとシャンとした感じをね。

大蔵:擬音ばっかじゃない(笑)

RYO:この曲はサビが最初にあったので、それにあわせてというか。サビで伝えきれない部分を補うラップにしようと思いました。最後のほうで、地球はまわっていて、世界のどこかで必ずカーテンを開けている人がいるっていう。それから技巧的には、8小節でラップをまわすことにこだわりましたね。

DJ KOHNO:ただ朝の情景だけを表現するのは面白くないなって。そこに気分がシャキっとする言葉を入れたことによって、いい仕上がりになったと思います。朝以外の時間帯やライヴでも披露できる曲じゃないかなって。

── シングル全体の聴きどころを教えてください。

RYOJI:(今回のシングルを通じて)単純な世界に自分がいることを実感してほしいですね。そうすると、毎日がそんなに苦じゃなくなると思うんです。今、自分に元気がなかったとしても、そういう時期なんだとか、困った時は人に頼ればいいとか、単純なことを学んで生活してほしいなって思います。

DJ KOHNO:僕は「Make & Break」のメッセージが大きいですかね。新しいことに挑戦するのは、決して怖いことではないと、感じてもらえたら。

大蔵:今回のシングルは3つとも世界観が違うと同時に、違うことに挑戦しています。昨年のアルバム発表以降も変化し続ける僕らを感じてほしいですね。そして、間もなく始まるツアーにも遊びに来てほしいですね。今回のシングル曲を披露するかどうかわかりませんが、普段なかなか表に出ない僕らの人となりを感じてもらえたら。

── 2年ぶりのツアーがスタート。どんなものになりそう? これを知っておくと楽しめるとかありますか?

RYO:ケツメイシの今年最大の活動になります。無事に乗り切れたらと思いますね。

DJ KOHNO:(ライヴは)とにかく時間が長いので、その心づもりで足を運んでいただけたら。

RYOJI:お金を払って観ていただくのですから、自由に楽しんでもらえたら、それで充分じゃないですか。


Text by Takahisa Matsunaga


◆BARKSインタビュー
◆ケツメイシ オフィシャルサイト
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