【ライブレポート】ソノダバンド、「ぼくらが旅したアフリカ」

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2013年5月30日。マウントレーニアホール渋谷PLEASURE PLEASUREで行われた<ソノダバンド×AAR Japan スペシャルライブ&トーク 「ぼくらが旅したアフリカ」>。2013年6月1日~3日に、パシフィコ横浜で開催された「第5回アフリカ開発会議」に先駆け「アフリカをより身近に感じてもらう」ために、AARが企画・主催したイベントだ。

◆ソノダバンド画像

AAR Japanは「特定非営利活動法人 難民を助ける会」。1979年に日本で生まれた、国連公認の国際NGO。AAR Japanの企画によって、4月17日~24日までソノダバンドのリーダー・園田涼とギター・赤股賢二郎は南アフリカのザンビアを訪れた。ソノダバンドは、2007年9月にAAR主催の六本木ヒルズチャリティトーク&ライブ<地雷ではなく花をください>に出演した経緯がある。

南アフリカ、ザンビア。言葉にするのは簡単だが、行くことがあるのかと問われたら、「Yes」と答えるのは難しい。彼らも出発前に「いずれ行ってみたいと思っていた。--中略--もしこの企画がなければ、10年後でも「いずれ」のままだったかもしれない」と語っている。

ライブ1曲目「Soul River」。いつもより少しだけ静かな印象を受ける。すでに、このイベントに対するバイアスが入っているのかもしれない。「上海午前零時」では、純粋に音楽を楽しんでいいのか?と考えている自分がいる。何かをキャッチしなければと必死になっていたんだと思う。そんなとき「前半では4曲を楽しんでください」というMCで我に返る。

ライブイベントは2部構成で、前半は演奏とともにザンビアでの映像が流された。ザンビア滞在の様子と、HIV陽性と診断された女性とHIVで両親を失った少女へのインタビュー。ザンビアのHIVの陽性者率は、2011年のUNAIDSの数字で12.5%。日本は0.1%以下。今は薬を飲み続けることで、エイズの発症を抑えることができる。しかし、生涯飲み続ける必要があり、飲んだり飲まなかったりすると薬が効かなくなるという。

映像のあとは、AARのスタッフと園田、赤股の3人によるトークセッション。HIV陽性と診断された女性の「悲観してるヒマなんてないわ。人生は続くもの」という言葉が、大きな意味を持つと園田は語った。また、インタビューの際に、こういう答えがかえってくるだろうと予想してしまった、とも。外から見るイメージ。国内での現実。陽性者が多い国でありながら、彼らへの視線は厳しいという。ただ、陽性であるから、すぐに命を失うわけではないというのも事実である。そんな厳しいなかでの子供たちの笑顔。DNAとしか思えない彼らのダンス。日本は恵まれた国だろう、しかし、幸せな国なのか?と思う。こんな素晴らしい笑顔を日本で今、見られるのだろうか?

このイベントはきっかけだ。人は多くのことを知らないまま生きていく。しかし、こういう機会を得ることで、関心を持つこともある。そこから、どこまで進んでいくのかは、その人次第。5月30日、渋谷のあの場所で何かを感じて、すでに動き出している人がいるかもしれない。しかし、安易なことは書けない。正直、ほんの少しの映像を見て、話を聞いただけ。感じたことも瞬間的なものだったかもしれない。なぜなら、翌日から日本で日常を営んでいるのだから。しかし、これまで知らなかったこと知った。そんな場を与えてくれたAARとソノダバンドに感謝する。

第2部は、ライブを楽しむ時間。今感じたことを、身体に落とし込みながら聴く。「Mas Que Nada」では、楽器のソロが際だつ。あるがままでしかいられないことを伝えるように、彼らは敢えて普通にライブを行った。

アンコールでは、数日前にアフリカのことを思って生まれた曲「HOPE」を園田が披露。しかし、アフリカを思って生まれたメロディは、いわゆるアフリカらしい曲ではなかった。曲から感じたものは「奥にあるもの」。アフリカという場所の表面的なイメージではなく、もっと奥にあるもの。それを感じて伝えようとしているようだ。

その後、赤股を呼び入れて「Yesterday」。有名な曲だが、ザンビアでは誰も知っている人がいなかった、と。ただ、名曲の力はすごい。メロディは一瞬で伝わった。

ライブラストは「生きる」。まさに生きてこそ、という思いになるライブイベントだった。

メンバー:園田 涼(keyboards)、熱田 哲(violin)、橋本 怜(cello)、赤股 賢二郎(guitar)、牧瀬 崇之(bass)、小山田 和正(drums)

<5月30日セットリスト>
1st
1.Soul River
2.上海午前零時
3.Manic Street
4.光、透明、または情熱
2nd
5.Mas Que Nada
6.Lisetta
7.沈む瀬
8.Take Me To The Carnival
Enc.1.HOPE(園田solo)※新曲
Enc.2.Yesterday(園田&赤股)
Enc.3.生きる

<巡音彩祭 presents『JABBERLOOOP×ソノダバンド SUMMERに向けてまっしぐら ツアー』>
●6月25日(火) 大阪 心斎橋JANUS
OPEN/START 18:00 / 19:00
Adv.\3,500 / DOOR \4,000 (D別途)
●6月26日(水) 名古屋 HeartLand STUDIO
OPEN/START 18:00 / 19:00
Adv.\3,500 / DOOR \4,000 (D別途)
●6月28日(金) 福岡 ROOMS
OPEN/START 18:00 / 19:00
Adv.\3,500 / DOOR \4,000 (D別途)
●6月30日(日) 東京 下北沢GARDEN
OPEN/START 18:30 / 19:30
Adv.\3,500 / DOOR \4,000 (D別途)
主催:巡音彩祭 http://junonsaisai.com/
企画・制作:巡音彩祭実行委員会
協力:shibuya PLUG / 心斎橋 JANUS / LEONA
[問]巡音彩祭実行委員会 info@junonsaisai.com

[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/

◆ソノダバンド・オフィシャルサイト
◆AAR Japan[難民を助ける会]
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