【インタビュー】The Sketchbook、「この曲で改めて、『向き合っていこうよ』って言いたかった。」

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アニメ『SKET DANCE』から飛び出した三人組のバンドThe Sketchbook。アニメ作中のイベントである<カイメイ・ロック・フェスティバル>に出場するミュージシャンを選出するオーディション企画<The Sketchbook Project>で勝ち残ったあとも、「目標を達成出来なければ解散」という、過酷な試練を乗り越え、2013年で結成2年目を迎える。そこで、6月19日には7枚目のシングル「クラック/21」を、そして7月31日には3rdアルバムのリリースが控えた彼らのこれまでと、これからに迫った。

◆The Sketchbook シングル「クラック/21」画像、「クラック」ミュージックビデオ

── オーディションをきっかけに出会った三人ということですが、そこでいきなり「はじめまして」でスタートして、バンドのグルーヴを作るのは大変だったんじゃないですか?

多田宏(以下、多田):大変でしたね。いざスタジオに入るってなったときも、それぞれの音楽のルーツが違うってこともあって、最初はうまく噛み合ない部分もあったと思います。でも、それぞれの良さっていうのもスタジオに入ることによってわかってきて。実際、何か会話をするよりも、スタジオで音をあわせたことで合致する部分もあったんですよ。そういう瞬間に、バンドとしてのグルーヴはまだまだでしたけど、可能性は感じていましたね。自分たちも「このメンバーでThe Sketchbookとしてやっていくんだな!」っていう気持ちも持てましたし。で、そこからめまぐるしく活動して今日にもつながるわけですが、ほぼ毎日、メンバーとは一緒にいるんです。音楽をやっていないところでもずっと一緒。昔からの友達同士で組んだバンドではないぶん、その穴埋めのような濃厚な時間を過ごしているんです。

── ほぼ毎日って、すごいですね。

多田:ええ。でも、そういう濃厚な時間もあって、特に最近はバンドのグルーヴもしっかり生み出せるようになってきているんじゃないかと思ってます。

── しかも、「1万ダウンロード&1万メッセージ達成できなければ解散!」なんていう過酷な課題も一緒に乗り越えてるんですもんね。

小原莉子(以下、小原):はい。デビューの頃にそういう課題をいきなり与えられて、最初は戸惑ったんですけど、今、思えば、あれがあってこその自分たちなのかなって。最初はオーディションに受かって「やったー! デビューできる!」っていう気持ちが大きかったと思うんですけど、実際、そういう試練を与えられることによって、「もっとしっかりしなきゃ」とか、自立心が芽生えたきっかけになったんですよね。

── 自信にもなりますよね。

多田:路上ライヴとかしていると、The Sketchbookって、ファンのみんなとの距離感が近いバンドだなっていうのを感じる瞬間があるんですよ。試練を一緒に頑張って乗り越えたこともあって、僕らもファンのみんなの気持ちがわかるし、僕らの気持ちもみんなが理解してくれてて。今って、そんな活動をしながら、ファンの人たちとコミュニケーションをしていく中で生まれたものや感じたものを作品にも落とし込んでいけているし、そうやって生まれた作品は、自分たちにしかできない表現であり、自信にもつながってきますよね。最初は、楽曲提供してもらったものをなんとかやりこなすだけで精一杯だったんですけどね。

── 本作もクレジットは「Music:The Sketchbook」ですよね。どうやって作っているんですか?

渡邊悠(以下、渡邊):まず、ザックリな楽曲のイメージを話し合うんですよ。ロックにしたい、クールにしたい、ちょっとビートを変えてみたいよねって。そこからアウトライン的なものをそれぞれが持ち寄って固めて行くという感じです。「クラック」で言うと、作詞、作曲、アレンジを自分たちでやるようになった僕らのターニングポイントの2ndアルバム『Re:Action』から、さらに一歩進めて何か新しいものを取り入れたいよね、っていうイメージがありましたね。前作は、引き算のアレンジというか、生感とシンプルさが全面に出ているんですけど、今回はシンセサウンドで、ビートにもトリッキーなものを取り入れて新境地を取り入れたものになっているかと思います。

── 本作は、バンドとして一歩先へ行きたい、という思いが強いんですね。

多田:はい。今、制作中のアルバムも、サウンド面の変化もそうですし、曲調としても、今までにないビート感だったりとか。ロックの中でもいろんなジャンルがあるし、そういう中でも、今までやってなかったものにもトライしてみようかと。今までThe Sketchbookを聴いてくれていた人にも、「こんな顔を持っていたんだな」って思ってもらえるような楽しみを感じてもらえるだろうし、初めて聴いた人たちからしても、「ロックやってるな」って感じてもらえるんじゃないかなと思います。

渡邊:とはいえ、新しく取り入れたいことをただ取り入れているだけならバンドとしての軸がブレてしまうので、このメンバーだからやる意味っていうのを考えて、宏くんの声に合うようなとか、サビのメロディはキャッチーにしたいよねとか、ギターのリフの見せどころは絶対に作ろうねとか、話し合いをしたり、スタジオで詰めたりしていきましたね。僕らの変わらない芯っていうのは、1st、2nd、3rdで継承しているので、そこはファンの方にも良い意味で裏切りつつ、だけど“裏切ってない”。そういう作品に出来ているんじゃないかなぁと。

── サビのメロディのキャッチーさっていうのは、「クラック」にもすごく強く出ていますよね。一回聴いたら頭の中でループしてしまうような。

多田:メロディはすごく気を使っている部分ですね。言葉を実際にハメてみたときに違うと思えばレコーディングの最中に変えることもありますし、言葉とメロディとハマり具合にはすごく気を使ってるんですよ。だから、余計に際立つようなものにはなってるんじゃないかと。

── 今回、メロディを伴うとスッと入ってくるんですけど、歌詞だけ見ていると決してストレートな言葉ばかりが並んでいるわけではないんですよね。

多田:今までは、歌詞を読んだだけ、パッと聴いただけでもわかるようなものにしてたんですよ。1stアルバムの『Sketchbook』では本当にストレートだったんです。だけど前作辺りから、歌詞に含みを持たせたり、「こういう風にも捉えられるんじゃない?」っていうような、聴いて考えるようなものっていうのを取り入れていて。「クラック」でもそれにチャレンジしているんです。リスナーの皆さんがちょっと考えて、その歌詞を飲み込むことで、僕らと一緒に成長していけたならいいなっていう願いも込めて。音楽の聞き方としても、そういう深読みしたり裏側を推測したりといった楽しみを知ってほしいなと思って。

── 「クラック」では心の中のもどかしさ、葛藤を描いていますよね。「クラック」というタイトルとはどういう風に絡んでくるの?

多田:この歌詞は、自分の弱さとか、自分でも目を背けてしまうようなことと向き合う大切さっていうのを伝えたいなと思ったんです。僕らのファンの方は学生が多いので、テスト勉強もしなきゃいけない世代なんですよね。テスト勉強をしなきゃいけないのはわかってるけど、その前に部屋を片付けてしまったり、ついつい別のことをしちゃうっていうこともあるじゃないですか。自分が本当にやらなきゃいけないことに対して目を背けてしまう部分。それは勉強じゃなくても日々生きてる中で何かしらあると思うんですね。でも、そういうことに向き合ってこそ、成長もあるし、前に進めるんじゃないかと思ったので、この曲で改めて、「向き合っていこうよ」って言いたかった。「クラック」っていう言葉は「割れ目」とか「裂け目」「隙間」っていう意味なんですけど、自分の弱い部分を強がっていくらごまかしても、割れ目とか裂け目から光って見えて押さえきれなくなるから、だったらそこと向き合えっていう思いをこめて、このタイトルにしたんです。

── 葛藤と向き合っている感じはサウンドからも伝わりますね。

小原:そうですね。「クラック」は全体的にシンプルな感じのサウンドに仕上がってるんですけど、自分の中に抱える葛藤、モヤモヤっていうのは、フラフラしている感じの弱さからくるものではなく、「本当はこうしたい。どうにかしたい!」っていう強い部分があると思うんです。そこは間奏のロックな部分に現れていますね。
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