【インタビュー】EXILE TAKAHIRO「男子力をアップさせていただいたと思います(笑)。」

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── 「二日月」は、数あるデモ曲のなかから、なぜこのメロディを選ばれたのでしょうか?

TAKAHIRO:もともとサーフロックがすごく好きで、自分に合っているなと感じていました。この曲もサーフロックテイストで、聴いていてすごく心地よかったんです。

── 『with…』とは真逆で、「二日月」は未来というよりも、過去や今に捉われた歌詞になっています。恋愛が終わったときの、男性の心が表現されていますよね。

TAKAHIRO:恋愛における陰と陽の、陰の部分を表現した楽曲になっています。それに、サーフロックにあえてネガティヴで切ない歌詞を乗せることで、新しさも感じていただけるのではないかと思いました。

── 「二日月」というタイトルもまた、すごく印象的ですね。

TAKAHIRO:二日月って、見えるか見えないかくらい極細の月のこと。こないだ、たまたま空を見上げたら二日月が出ていて、思わず写真を撮ってしまいました(笑)。

── どのように恋愛を二日月にたとえたのでしょう?

TAKAHIRO:今にも消えそうな二日月の光を、恋愛の陰の部分に投影してみたんです。恋愛って、始まりもあれば終わりもある。もちろん、終わらないことがいちばんだと願ってはいても、僕含め皆さんにも終わってしまった恋愛があると思うんです。

── 歌詞からは、突如として別れが訪れたような雰囲気を感じました。

TAKAHIRO:たとえば浮気されたり、恋人が自分の知らないところでまったく違う顔を見せているのを目の当たりにしたときって、一瞬にして昨日まで自分が愛していた恋人の姿かたちが自分のなかから消えてしまう。昨日まで知っていた恋人の姿は、どこを探してもいないというか……。生き別れではない、もっとつらい経験をされた方もいらっしゃると思いますが。そういう想いって、少なからず誰しもが経験したことがあると思うんです。絶望を感じて、生きる気力すらなくしてしまうくらい落ち込んで、傷ついたと思う。それに、傷つかずに恋愛してきた人って、なかなかいないとも思うんですよね。

── “残されたリングには僕と別の傷跡”という歌詞も、すごく深いですよね。

TAKAHIRO:個人的にも好きな歌詞ですね。“心”をペアリングにたとえて表現しています。2人で同じ方向を向いて歩んでいると思っていたけれど、気づいたころには別々の方向を向いていて。そこに気づいたときにはもう遅くて……。気づくのが遅かった自分への不甲斐なさ、恋人を寂しくさせてしまった自分への不甲斐なさに苛まれているイメージです。恋人との別れに、どちらかだけが悪いっていうことはないと思うんですよね。男としてのカッコよさではなく、カッコ悪くて女々しい部分をあえて唄ってみました。

── ラストでは、たとえ届かなくても元恋人の幸せを願っています。そこでさらに、切なさが募りますよね。

TAKAHIRO:いくら傷ついたとしても、時間が解決してくれることもありますし、一度好きになった人を恨んでしまったら意味がない。それに、その経験がまた人として成長させてくれると思うんです。恋愛ってやっぱり難しくて、ハッピーエンドで終わる恋愛ばかりではない。失恋して心に傷を負ったときって、友人などに相談して共感してもらえるだけで、少し心が救われたりしませんか? だから、たとえば忘れられない過去の恋愛や最近失恋してしまった方などの心にこの曲が寄り添って共感することで、皆さんの心が救われることにつながったらうれしいです。『with…』と「二日月」。どちらも恋愛のことを描いた歌詞ですが、陰と陽……完全に真逆の世界観になっています。

── 「約束の空」は、TAKAHIROさんのお祖父さまを想って書かれた歌詞だと伺いました。

TAKAHIRO:実は4~5年ほど前に書いて、プリプロもしていた曲なんです。僕がEXILEに加入した1年前の2005年に、大好きだった祖父が亡くなった。今のこの姿を、大好きな祖父にも見せてあげたかったですね。

── TAKAHIROさんにとって、お祖父さまはどのような存在なのでしょう?

TAKAHIRO:本当に威厳のある人でした。祖父には小さいころから、たくさんのことを教えてもらいました。たくさん褒めてくれましたし、もちろん怒られたこともたくさんあった。本当にすごくかわいがってもらって、僕のなかで祖父の存在はとても大きいですね。戦争時代を乗り越え、一家を背負って何もない時代を生き抜いてきた祖父。現代を生きている僕らには微塵も想像できない時代を乗り越えてきたからこそ、ちょっとした一言が名言として、僕の胸に残っているんだと思います。

── 歌詞のなかにもありますが、子どもながらにもその名言の数々は胸に響いていたんですね。

TAKAHIRO:祖父の発する言葉ひとつひとつに重みがありました。もちろん、子どものころにその言葉の意味を100%理解できていたかと言えば、当時は理解できていないものもあったと思います。でも、胸に深く刻まれていました。大人になるにつれ多くの方と接するときに、その言葉の意味を少しずつ体感するようになった。“あのとき言ってくれた言葉の意味は、こういうことだったんだ”って、胸に響く瞬間がたくさんあった。そんなときにこの曲と出会ったんです。

── 歌詞はどれくらいで書き上げたのでしょう?

TAKAHIRO:あっという間に書けました。歌詞を書く際、景色や場所がこんなにも明確に、鮮明に蘇ったことは、初めてに近いかもしれない。

── 今回、ファーストソロシングルにこの曲を収録するにあたり、どのような想いがありますか?

TAKAHIRO:ずっと温め続けてきた楽曲で、さらに個人的に想い入れの強い曲でもあるので、EXILEではなかなかお披露目できる機会がありませんでした。でも、今回のファーストソロシングルで、個人的に想い入れ深い曲を収録したほうが、きっと応援してくださっているファンの皆さんの胸にも響くと思いました。

── 「約束の空」が、リスナーにとってどのような存在になってほしいですか?

TAKAHIRO:まず、東日本大震災という突然訪れたあの未曾有の震災で、本当に突然……大切な方を失った方々もたくさんいらっしゃると思います。震災から約2年が経った今、未だ気持ちの整理がつかず、もしかしたら時が止まったままの方もいらっしゃると思うんですけれど、失った大切な方を思い出す余裕がもし少しでも心にあったら、この曲を聴きながら思い出してみていただけたらうれしいです。また、最近すごく感じるんですけれど、家族の大切さを軽んじている人が多くなっている気がしていて。そういう光景を目の当たりにしたときに、ものすごく疑問を感じるんですよね。家族を亡くしてから、そのありがたみに気づくのは遅いと思いますし、知らず知らずのうちに家族や両親からたくさんのことを教えてもらっていることに気づいてほしい。この曲を聴いて、今一度“家族愛”や“家族の大切さ”を感じていただけたら、きっと天国にいる祖父も喜ぶと思います。

── それでは最後に、今後のEXILE TAKAHIROソロの展望と読者の方へメッセージをお願いいたします。

TAKAHIRO:僕の音楽性のルーツは、ブラックミュージックよりもどちらかというと、ギターサウンドやロック。ソロではそういったテイストで、自分の“色”をより色濃く見せていきたいですし、EXILEのヴォーカルとはまったく違う僕を表現することで、よりファンの皆さんに喜んでいただきたい。そして、ソロ活動で得たものをEXILEに持ち帰ることで、EXILEの広がりを今以上のものにできたら本望です。今作の僕のファーストソロシングルでは、「一千一秒」含め、EXILEでは普段お見せしない、僕のルーツに沿った楽曲の数々が収録されています。何回聴いても飽きない作品ばかりで、今までになかった新しい僕を感じていただけると思いますので、是非EXILE TAKAHIRO ソロを楽しんでいただけるとうれしいです。

interview&text_桜井麻美


◆BARKS インタビューチャンネル
◆EXILE オフィシャルサイト
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