【月刊BARKS つんく♂ロングインタビュー vol.1】「モーニング娘。は1年目の『紅白』で解散宣言するシナリオを考えてた」

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── そこなんですよ。なんでこんなに続いてきたのか、その要因ってなんだと思います?

つんく♂:一言でいうと“信頼”だと思います。子供たちといえど、学校の先生でもナメられたらついていかないですから。だから、こっちもナメられないように100%真正面を向いて対応してきましたからね。

── 子供たちに対して。

つんく♂:10歳ぐらいでもう子供じゃないですからね。こんな髪型でこう見られたい、こういう洋服が好き、っていうのがもうあるんですよ。それをこっちがハロー!プロジェクトはこうだよ、つんく♂プロデュースはこうだよ、って導いていくのって難しいことだと思うんです。こうだよって言ったことに対して結果が付いてこないと彼女達もついてこなかったと思います。

── つんく♂さんのなかにはモーニング娘。をやりだした当初から、このグループを長く続けようという考えはあったんでしょうか。

つんく♂:いや。それはないですね。最初は1年目の「抱いてHOLD ON ME!」で『NHK 紅白歌合戦』に出演出来たとき、その生放送で「私たちは解散します。」って言ってファンは仰天、翌年から解散ツアーをやる、という楽しいシナリオを考えてたんですけど(笑)。まぁ、そうもいかなくなって。「LOVEマシーン」が売れてくれたので、あとは、音楽がしっかり作れるようになった。そうなると僕としても作品を作るのが面白くなっていって。芸術をちゃんと残せるようになったから続いていった、というのもあるでしょうね。

── そんな中、これまでつんく♂さん自身がモーニング娘。、あるいはハロー!プロジェクト全体のプロデュースを辞めようと1度でも考えたことはあったりしたんでしょうか。

つんく♂:あります。辞めれば僕の人生、新しい道があるのかなとも考えるし。でもそれは考える程度で。どこかでこのハロー!プロジェクトでひと勝負したいというのはあるんで。今、ハロー!プロジェクトはどんどん面白い空気になってきてるんで、そのなかで新しい実績を残せたらまたおもろいかな、という気はしてますけどね。

── 実際、モーニング娘。もそうですけど、℃-uteも確実にきてますからね。

つんく♂:そうね。女の子のファンも増えて、アイツらが大人になってきたカッコよさが出てきたかな、と思います。あとはメンバーのマインドがもうひとつ大人になれればいいんですけどね。まだ自分たちが作った“ハロー!プロジェクト像”の呪縛にとりつかれてるところがあるので。そこを自分たちで蹴破らなきゃいけない。

── そこを蹴破っていったのがBerryz工房のももち(嗣永桃子)とかになるわけですか?

つんく♂:いや、ももちのほうがハロー!プロジェクトの呪縛の中にいるんですよ。「そこでその笑顔いらんやん」「そんな曲じゃないし」ってところでも、カメラ向けられると勝手に笑顔になってしまうんです。クセみたいな感じで。それは彼女がハロー!プロジェクトの中で生きてしまったからですよね。

── では、つんく♂さんの目にいま「この子はもうちょっとやったら蹴破れそうだ」と映ってる人って、誰かいますか?

つんく♂:℃-uteの岡井(千聖)とか。モーニング娘。の道重(さゆみ)も悪くないけどね。飯窪(春菜)とかはフラットだし。あとは、Berryz工房の夏焼(雅)もなんかコツをつかめばいけそうな気がしますけど。

── つんく♂さんの今の話を聞いていると、グループ単位ではなく、メンバーそれぞれのキャラクター、マインドを把握した上で各々にあった将来を見据えた道までもを細かくプロデュースしてらっしゃる気がしたんですが。

つんく♂:ハロー!プロジェクトに関してはそうですね。崖の上から虎の親が子供を押すように、みんな同じように突くんですよ。そうして、押し戻されて返ってくる戻り方っていうのがあるんですけど。そこでよろめくヤツもいれば押してくるヤツもいて。その戻り方が柔軟なヤツほど、のびしろがいっぱいあるんですよね。頑なヤツほど危険なんです。いい彼氏でも見つけていい結婚ができればそれでもいいんですけど、もし芸能界に残って戦っていきたいと思うのなら、そこが硬いとしんどいんですよ。そういう意味では、石川梨華とかは「私、髪型とか全然わからないんでこだわりないんです。私服って何着たらいいんですか?」って娘でしたから。そういう子のほうがどこでもうまく生きてけるんですよね。こだわっちゃうヤツほどちっちゃい小屋に収まっちゃうんで、非常に難しい。そういう意味でいうと℃-uteは岡井もそうだけど中島(早貴)も柔らかいんで。ふたり柔らかい子がいるとグループが明るいんですよね。

── なるほど。

つんく♂:でも、僕がいつも全員に言うのは、「レコーディングは歌さえ憶えてくれたらこっちが何とかします。ライヴの構成、演出もこっちが用意します。振り付けはダンスの先生が用意してくれます。だけど、このツアーから次のツアーまでの間に君たちが何をするかまでは俺はいちいち言わへん。……と言いたいけどね。その間、たとえば浅田真央ちゃんや石川遼君だったら、彼らは、朝起きてから寝るまでずっとアイススケート、ゴルフのこと考えてるだろう。それがプロのアスリートだと。お前らはどうだと。普段どうしてる? 俺らが与えたリハーサルの時間だけがリハの時間じゃないんだよってことをわかってる人とわかってない人の差は出るよ」、って話はいつもしてるんです。

── ほぉー。

つんく♂:俺らもバンドマンとして成功したいと思ってたときは1日中バンドのことを考えてたわけですよ。でも君たちはリハーサル終わったら明日遊ぶことしか考えてないじゃない?(笑)とか。モーニング娘。とかを見ながら「何とか私たち成功したい。どうやったら売れるだろうか」って秋葉原の劇場で24時間そんなことばかりを考えてたハングリーなAKB48がいたわけですよ。そこには結果がともなってくるんですよね。だから、ウチらも本当はそういう気持ちでやっていかなければいけない。家帰ってもダンスの振りの練習したり、バラエティー見てても「こういう風にいったらあの人はこうツッコんでくれるんだ」ってことを考えたり、マイクをこう持ち替えたらカッコいいんだって研究したり……してるヤツはおるか? って話をするんですけどね(苦笑)。

── では、今後のハロー!プロジェクトについてなんですけど。現在、つんく♂さんはどんなヴィジョンを思い描いてらっしゃるんでしょうか。

つんく♂:今はそんなに大きな先を見るよりも、それぞれの足元を固める時期ですね。さっき話に出た℃-ute(※編集部注 そしてBerryz工房も!)、日本武道館公演が決まって喜ぶのはいいけど、本当にあの子たちに武道館できる体力と能力があるのか、ということだと思うんですね。

── なるほど。

つんく♂:あとは……ひとつあるとしたら、言葉としてあったヲタクといわれてた人が世間的に薄くなってきていて、今はみんながプチヲタクになってしまった。昔の(松田)聖子ちゃん、キョンキョンなんかを応援してたアイドル好きとはまた違う日本のアイドルのあり方がうまれて。「どれがどれかはわからないけど、アイドルいっぱいいるんでしょ?」ってことをオバちゃんまでが今は知ってる。もちろん「ハロー!プロジェクトってこうだよね、モーニング娘。ってこうだよね」って話をしてくれている人もいるけど、そういう人たちが昔ほどマニアックな存在ではなくなってしまった。

── 確かに。アイドルファンは一般化しましたね。

つんく♂:そんな中、みんなが知ってるってほどではないハロー!プロジェクトはどうなっていくのかというと、王道だったときのハロー!プロジェクトに戻す……というよりは、カジュアルなんだけどファッショナブルでクール。“どんなに子供であっても、どこかクールビューティー”っていうのかな。そういうハロー!プロジェクトの形を目指したい。Juice=Juiceなんかは、なんとなくそういうものができてるかな、と思ってます。

(vol.2『シャ乱Qは常に未完成。「シングルベッド」秘話から反動としてのモーニング娘。』に続く)

text by 東條祥恵、ystuji a.k.a.編集部(つ)

【リリース情報】
「シングルベッド」
2013年7月17日リリース
通常盤:
CD 1,050円
1.「シングルベッド」
2.蜃気楼 しんきろう
3.Come on!僕たちの未来
4.「シングルベッド」
5.蜃気楼 しんきろう
6.Come on!僕たちの未来

初回生産限定盤:
CD+DVD 1,680円
DVD付
・shibuya eggman 記者会見ダイジェスト
・シングルベッド
※ shibuya eggman より
・上・京・物・語
・いいわけ
・愛するということ
・ズルい女
※ 結成20周年記念武道館ライブより

◆つんく♂ オフィシャルサイト
◆シャ乱Q オフィシャルサイト
◆BARKSアーカイブス
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