約1年ぶりに、彼らの音を聴いた。田村キョウコの声はとても独特だ。独特という言葉に意味がないと、知っていても書かずにはいられない。どこで聴いても彼女の声だと分かる、そう書けば伝わるだろうか。

◆『PORTRAIT』トレイラー映像

そして、今回、このアルバムを聴いて感じたのは、彼女の声は時にとてもスタイリッシュであり、時にとても下世話であることだ。つまり、それは上っ面でないということ。人生なんて、良いことも悪いこともある。歌は夢を与えるものかもしれないけれど、そんな歌に共感する人は今ではずいぶん減っただろう。

今回収録されている「スマートボールブルース」でも、彼女は<うまくやったり 無駄に終わったり>と歌っている。まさにそう。何事にも両面がある。

苦しいことを苦しいと歌わなくても、彼女の声は微妙にそれを伝えている。生音にこだわった音源だからだろうか。二人のリアルがにじみ出ている。

もしかしたら、彼らはこんなコメントは望んでいないかもしれない。もっとクールに書いた方が良いのかもしれない、ただ、そんな飾りモノのような言葉では、この音は表現できない。いつだって生きることは地道で地べたを這いつくばるようなものだから。そして、そんな時代を、まだ日本は背負っているから。

だから、醜い部分を隠して生きている人ほど、恰好よくない。「何、気取ってるのさ!」と笑ってみたくなる。世間は表面的なものはちゃんと見抜いているし、綺麗事なんて聴き手は求めていない。みんな必死なんだよ。歌に夢を求めつつも、夢だけを求めてはいない。それに応えるような一枚だ。

そして、<過去の私と手を繋いで>と表現したことを、過去は隠すものではないからこそ、賞賛したい。過去を嫌う人は多い。だけど、全部、自分のやってきたことでしょう? 責任とれないなら、未来だってないよ、と言いたい。このタイミングで、彼らが過去と手を繋ぎ繋がったことで見たものを聴いて、聴き手も思うだろう、過去への恐れをなくそうと。それは、とても大事なことだ。

5月から始まったツアーは、10月まで続く。それは長い旅。ひとつのことを継続する気力。キープする威力。各地で彼らは、聴いた人が感じた数だけのメッセージを残していく。そして、これからも残し続ける。

アーティストと楽曲は、同時に存在するものではない。だけど、ライブだけは同じ場所で、その2つがパフォーマンスをする。彼らの生の音を、彼らを観ながら聴き体感できる。スタイリッシュから下世話までの在り様をライブハウスという箱は、きっとうまく演出するだろう。


<サンタラ・ライブ>
2013年7月27日(土)旭川EARLY TIMES
2013年7月28日(日)芦別MUSIC HARVEST2013
2013年7月30日(火)札幌くう
2013年8月2日(金)渋谷duo MUSIC ECHANGE
2013年9月28日(土)福山POLEPOLE
2013年9月29日(日)山口Cafe de DADA
2013年10月3日(木)博多ワインサカバgaku
2013年10月5日(土)京都磔磔
2013年10月6日(日)豊橋HOUSE OF CRAZY

『PORTRAIT』
DQC-1080 全17曲 ¥3,000(TAX IN)
初回特典:CD貼付のステッカーをツアー会場に持参すると未発表トラック6曲を無料ダウンロードできるURL付ポストカードと引換え。
1.好き
2.ロージー
3.うそつきレノン
4.100miles~虹を追いかけて
5.Home
6.Peaceを一本
7.スマートボールブルース
8.バニラ
9.冬の匂い
10.しゃぼんのブルース
11.Money
12.夢の中まで
13.Joy & Pain
14.Big River
15.UPSIDE-DOWN
16.サイモンの季節
17.思い過ごしの効能

[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/
◆チケット詳細&購入ページ
◆サンタラ・オフィシャルサイト