【インタビュー】Charisma.com、それは毒ではなく真実。攻撃的リリックで社会を突き刺す

twitterツイート

デビュー前にして各メディアにその名を轟かせ、パフォーマンスへの評価もすでに揺るぎがなく、音楽シーンにおける2013年の最重要トピックのひとつとして数えられているCharisma.com。“エレクトロヒップホップユニット”というのがひとまずの肩書きではあるが、その言葉のイメージを簡単に裏切る普通っぽさが、逆に攻撃性の高さを感じさせる現役OLの2人組である。デビューミニアルバム『アイ アイ シンドローム』を紐解けば、なるほど、その底知れぬ魅力の一端が見えてくる。

◆「うわ~、ここを突いてくるのか!」とか「このメロめちゃめちゃイイ!!」とか、ひとしきり楽しみました。(ゴンチ)

──ものすごい評判ですね。期待の新人どころじゃないみたい。

いつか(MC):それは本当ですか?

──疑ってるんですか。

いつか:いや、疑いませんけど、疑いそうになるほど実感がありません。あの、あんまりこう、ガツガツやってきたわけではないので。

──そもそも、どういう経緯でデビューするに至ったんですか?

いつか:私は大学に進学してからバンドを始めました。一生懸命歌ってたんですけど、なにしろ音程がとれない、声量もない。どうしよっかな~って思ってたときにメンバーや知人から「ラップならいいかもね」って言われて、そっか! と。あと当時、HaertsdalesやSOUL HEAD、BENNIE K とかをカラオケで歌ってたんですけど、みんなラップの部分を抜かすんですよ。で、ここ歌えたらおいしいんじゃない!? って思って、歌い始めたのがきっかけで、そのうちオリジナルでもラップやりたいな~と。

──ヒップホップは元から好きで?

いつか:全然です。ラップをやりたいと思ってから、もっと上手くなるために勉強しようと思って聴き始めたんです。もともとはJ-POPばかり聴いてて。今日もランチで行ったうどん屋さんで、CHAGE and ASKAが連続でかかってて、たまらなかったですね。

ゴンチ(DJ):いいな、それ、私も聴きたかった。私たち、中学と高校が一緒で、同じダンス部に入っていたんですけど、昔からJ-POPでした。

いつか:でも、ラップやるならDJとかいるよね? って思って。

ゴンチ:で、誘われました。DJって何!? って感じではあったんですけど、ちょうど暇だったし、兄がターンテーブルを持っていて多少は知識があったようなので、教えてもらえばいいか、と。それでCDJを買いました。そこが始まりです。

いつか:今、Charisma.comでやっていることがヒップホップだと思ったことは一度もないんです。バンドものも好きだし、ヒップホップも好きだし、自分が好きだと思えるものを聴いていく中で曲を作ったら今の形になっただけなんです。

──曲づくりはどのように進めているんですか?

いつか:まずトラックメーカーさんにトラックをお願いします。職場で毎日ラジオが流れているんです。これいいな!って思ったら、その場で検索して、場合によってはダウンロードして、トラックを作ってもらうときに「これこないだ聴いてカッコよかったんですよ!」と言って渡す、と。それでトラックいただいて、まずサビをふふふん♪って鼻歌で歌ってみて、それをiPodのボイスメモに録ります。ピアノは弾けるんですけど、使いません。鼻歌オンリーです。その上で、ケータイでメモっておいた言葉とかテーマをあてはめていって、リリックを書き上げます。

──やっぱり、エレクトロとかっていうワードは肩書きから取ったほうがいいかもしれない(笑)。

ゴンチ:ですよね。あまりにアナログ過ぎるから(笑)。

いつか:レコード盤が好きとかって、そういうわけじゃないんですけどね。でもSNSもあんまり好きじゃないし、いまだにガラケー使ってるし。とにかく音楽として最強なのは鼻歌だって信じてるんです。

──でも、ここまでお話を聴いただけでも、今作『アイ アイ シンドローム』にあるミクスチャー感に納得がいきました。ありとあらゆる要素が入ってますもんね。2曲目の「NOW」なんて、いきなりピチカートファイヴのようなメロディフロウが入ってきてビックリ。

いつか:あ、そうですか……。

ゴンチ:そうですか、って(笑)。この瞬間、まったく何も意識してないのがバレちゃいましたね?

──はい、よくわかりました(笑)。

いつか:いや、もう、本当にがむしゃらにアルバム作っただけなんで。よく聞かれるんですよ、元ネタは何だとか、アルバムのコンセプトみたいなこととか。でも今回に関しては、オリジナルのトラックを作ってもらえて、レコーディングさせてもらえるっていう幸せをたんまり味わっただけなんです。だからがむしゃらに曲作って、がむしゃらにレコーディングしました。

ゴンチ:本当にそれだけです。でも私は、当然ですけど出来上がった曲を最初に聴けるじゃないですか。で、「うわ~、ここを突いてくるのか!」とか「このメロめちゃめちゃイイ!!」とか、ひとしきり楽しみました。

──あくまでもリスナーとしての耳を持って。

ゴンチ:それありきです。どのあたりにスクラッチを入れるとか、どこで私がコーラスを入れるとか、業務連絡ももちろんありますけど、だいたいはデモを聴いてまず「どう?」っていうところから私は参加するんです。

いつか:今回はすべての曲に関して素晴らしいトラックを作っていただいたので、リリックをじっくり聴かなければ、すごいカッコいい作品になったんじゃないかなと思います。

◆強いと思われてる人が実は弱い。か弱いふりして上司をうまく転がしている人が強い。私はやっぱり、そこを見誤りたくなくて。(いつか)

──いや、リリックが何より特徴的じゃないですか。

いつか:ありがとうございます。ま、自分で書いてるのでね、客観的には聴けないんですけど、主観的には結構言ったな、言ってしまったな、と。

ゴンチ:聴くたびにグサッとくるところがあるんですよ。うわっ!? って。だから何回も聴くと、どんどんいいアルバムになっていくと思います。最初はもちろんサウンドだけで十分楽しんでもらえるんですけど、聴いていくうちに“こんなこと言っちゃってるよ!?”ってわかってきますから。正直、これって私のこと!? って思うこともあります(笑)。結構ね、普段から怒られるんで。「響いてる!?」って聞かれたこともあるし。

いつか:伝わってないんですよね、たぶん(笑)。一番近くにいるんだけど、ゴンチはすごーく難しいんです。ぬかっぽいから。

──ぬかっぽい?

いつか:糠、です。私がええい!と釘を刺しても、糠だからこたえない。むしろ、ズブズブと釘が引き込まれてしまうっていう。最強ですよ、この人。

ゴンチ デコボコです。性格はまったく正反対。

いつか:このギャップは何だ!? と思いますけど、まぁ、それがいいのかなとも思い。

──ま、でも、いつかさんのシビアな視点がふたりに備わっていたら、それはそれは怖いユニットに…(笑)。

ゴンチ:うん、バランスは取れてる。そういう意味では。

いつか:私はたぶん、人より簡単に怒りのスイッチが入るんです。昔からそうでした。ツンツンしてました。

ゴンチ:中学のときからいつかは毒っ気が強いほうでしたよ。正論を言うから面倒くさがられるタイプ。

──嘘やごまかしが嫌いですよね。

いつか:嫌いです。

──嘘やごまかしを自分が言っていることに気づいていない人が、もっと嫌いですよね。

いつか:そうですね、それはすごいそうです。そうです!そうです!

──いつかさんのリリックと向き合うにつけ、デビュー後もOLとして仕事を続けるという選択が必要なのだと思えるんですよね。一般的大多数の中に身を置いていなければ、見えないことがたくさんあるから。

いつか:そうなんです。それ、諦め入ってない? っていう人が、私のスイッチを入れるんで、やっぱり日常生活大事なんですよね。最初は諦めてかけてる自分に気づいていたのかもしれないけど、だんだん「しょうがないよね」になって、いつしか「生きるってそういうことだから」みたいになっちゃう。そういうのを見てて、オヨヨ!? って。

──逆に、本来スポットを当てるべき人たちにスポットが当たっていないことに対しても、オヨヨ!? と思うわけですね。

いつか:そこまで聴いていただけると本当にありがたいです。最後に収録した「OLHERO」という曲は、まさに普通の職場によくある話で、友達が悩んでたことが発端なんです。ちゃんと真面目に仕事しているのに、損してるんですよ。イヤな仕事はサボるのに、いかにも仕事してます!なパフォーマンスを上司にできる人のほうが評価が高くて、仕事をこなして後輩の面倒も見る人が、単にアピールしないがために評価が低い。私が育ててもらった先輩がそういう人が多かったこともあって、これは書いておかなくては、と。で、その対比として書いたのが「AUTOMADE」なんですよ。強いと思われてる人が実は弱い。か弱いふりして上司をうまく転がしている人が強い。私はやっぱり、そこを見誤りたくなくて。

◆SNSとか自己表現のツールは増えたはずなのに、みんなが思っているはずのことをどんどん言いにくくなっている。(いつか)

──でも、リリックを書きながら、自分自身でも痛みを感じる部分はありますよね?

いつか:すごくあります。同族嫌悪というと言い過ぎですけど、自分の中にも確実にある要素だからこそ、嫌悪する部分ってあるんですよね。自分の嫌いな部分を目の当たりにして、どうにかしたいと思うからこそリリックが書けるんです。なので、言葉にすることは自分への戒めでもあるんです。

──それを映像で表現しているのが『HATE』のミュージックビデオですね。

いつか:影のような黒い人たちが出てくるんですけど、それが人間のダメな部分を表してるんです。だから斬ったりするんですけど、実は自分たちの中にも黒い人間がたくさんいるんですよね。だから、最後はゴンチを撃ち抜いて、私も自害。

ゴンチ:ちょっと衝撃的な感じなんですけど、どんな風に受け止められるんだろう? イヤだと思う人もいるかもしれないですよね。それは全部の曲に関しても言えることかもしれないけど。

──ただ、Charisma.comは、むやみに毒を吐いているわけではないから。真実を言っているだけだから。

いつか:そうなんです、正直に思ったことを言っているだけなんです。客観的に見ても、それが現実とかけ離れているとは思えないし。今、SNSとか自己表現のツールは増えたはずなのに、みんなが思っているはずのことをどんどん言いにくくなっているじゃないですか。そこを私は敢えて言っていきたいと思って。

──とはいえ、“飾りじゃないのよ中指は”とか、随所にユーモアが散りばめられていて、メッセージが決して重くならないんですよね。クスッと感が半端ない。

ゴンチ:私もそこはポイントだと思いました。いつか本人もそのフレーズを思いついたとき「いいとこキタ!」って思ったはず(笑)。

いつか:うん、それはちょっと思った(笑)。 でも、ユーモアみたいなものって、自分たちにはないと思ってたし、意識的にやってることが本当に少ないので、聴いてくれる人にそうやって見出してもらえるとすごく嬉しいんですよね。

──とにかく、多くの女の子に聴いてもらいたいですね。正しくありたいと思っている人には絶対に伝わると思います。

いつか:そうですね。私が書いてることって案外ね、男の人に言わせると「どうでもいいよ」っていうことも多かったりするから、女の子がどう感じるのか、感想を聞いてみたいです。

ゴンチ:ほんと、女の子に聴いて欲しい。でも私たちのライブ、まだ全然女の子のファンがいないんですよね。これからたくさん来てくれたらいいんですけど。

──ちなみに、Charisma.comは、ツアーはできるんでしょうか?

いつか:どうでしょう。できればこのまま、OLとしての仕事を続けていきたいので。

ゴンチ:可能な限りそうしたいです。だからまぁ、やれるのは週末ツアーとか?

いつか:あとは盆暮れ正月、ゴールデンウィーク。そうです、私たちの強みは、みなさんのお休みに合わせてライブを開催できるということです。なぜならそのとき、私たちの仕事も休みだから。

インタビュー&文◎斉藤ユカ


Debut Mini Album 『アイアイ シンドローム』
2013年7月10日発売
LACD-0239 ¥2,100(税込)
1.HATE
2.NOW
3.歪LOVE
4.LIFEFULL
5.AUTOMADE
6.メンヘラブス
7.GEORGE
8.OLHERO

<Charisma.comレコ発「アイ アイ シンドローム>
8月16日(金) 渋谷UNDER DEER LOUNGE

<Charisma.com『アイ アイ シンドローム』発売記念イベント ミニライブ&サイン会>
7月15日(月) 15:00~START HMV大宮アルシェ店
7月27日(土) 16:00~START タワーレコード名古屋パルコ店
8月11日(日) 18:00~START  タワーレコード新宿店7Fイベントスペース

◆Charisma.comオフィシャルサイト
◆オフィシャルBLOG
◆オフィシャルTwitter
◆オフィシャルFacebook
twitterこの記事をツイート

この記事の関連情報

amazon