【ライヴレポート】Brandel、可能性のカタマリのようなツアーファイナル公演

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最新ミニ・アルバム『WHERE THE SUN RISES』をひっさげて5月から全国40箇所を廻るロングツアーを決行したBrandel。7月13日(土)に渋谷RUIDO K2で行われたファイナル公演で感じたのは、Brandelというバンドの持つ可能性とポテンシャルの高さだった。

◆Brandel~拡大画像~

オープニングはTakiのヴォーカルとギターだけで始まり、バンドサウンドへとシフトしていくメロディックでスケール感のある「Let me Go」。続いて、Takiがマイクのみで歌って煽り、Juker(G)とLyuon(B)がステージのギリギリまで出てきてダイナミックなパフォーマンスで挑発するファンクチューン「Addiction」を披露。「楽しもうぜ」と言わんばかりにフロアーの空気をひっぱっていく。至近距離のライヴハウスで演奏しているのに、デカいホールに立っているバンドを見ているような錯覚に陥るのはなぜだろう。

「ファイナルに来ていただいてありがとうございます。最後まで一緒に楽しんでいきましょう。次に演る曲はギターのJukerが持ってきたフレーズから生まれた最高のバラードです」

Takiがそう紹介した後に演奏されたのは、アルペジオから広大な風景が目の前に広がるギターフレーズに移行するイントロからして心を持っていかれる美しいパワーバラード「Raining Tears」だった。Kazの力強いドラミングが曲に芯を与え、次の瞬間にはTakiが「踊れ! 渋谷!!」と叫び、Lyuonのベースのグルーヴに身体を揺らされる「Crazy Time」へと。音と音の間あいがスリリングな生々しい演奏、上へ上と昇りつめていくような快感のあるヴォーカルは新生Brandelの魅力だ。その熱い演奏に大歓声が浴びせられる。

「2ヶ月で40箇所のツアーを廻ってきて、その中で初めてストリートライヴをやったんですよ。評判も良かったし、楽しかったから、今日は特別にアコースティックライヴをお届けしようと思います。今から演る曲は俺がBrandelに加入して初めてセッションした大事な曲です」

Jukerがアコースティックギターを弾き、Kazがカホーンとシンバルという編成で歌われたのは斉藤和義のカバー「歌うたいのバラッド」。4人で初めての長いツアーを経験したからこその意外性もあるセットリスト。Lyuonが「2ヶ月間、毎日、充実していたけれど、ときには辛いこともあったし、やめてしまいたいと思うほど追いこまれたこともあったんですよ。でも、ここに居るのは集まってくれるみなさんが居るから」と話し、Brandelを結成する前に作ったという日本語詞の曲「Birthday」をアコースティックギターを弾きながらTakiと歌ったのも印象的だったし、Jukerが「基本的にBrandelの曲は英語詞なんですけど、それには理由があって、グラミー賞をとることが目標だからです。次の曲は僕らの友人であり、良きライバルのアメリカ人のソングライターが作った曲です」とTakiの透明感のある声が活きるセンシティブな曲「Par@dox」を演奏したときには、風が吹いてくるような感覚を覚えた。世界を見据えているという志の高さが、Brandelのライヴのスケールのデカさに直結している。なぜだろう? と感じた自分の中の疑問が、スッと消えていった瞬間でもあった。

3人が息を合わせるようにKazのドラムの前に集合し、LyuonとJukerが向かいあい、ポジションをチェンジして煽った「Get You」で始まった後半戦で、彼らはどんどん加速していった。自分たちは最高にカッコいいロックを鳴らしているという誇りと、目の前にいるオーディエンスに全開で向かい合う解放感が空間を熱くさせていく。大胆さと繊細さを兼ね備えた楽曲はグルーヴィーで、聴く人の中に眠っている何かを目覚めさせるエナジーに満ちている。

MCでは、ツアー中にレコーディングしたミニアルバム『Awake』がすでに完成していて8月21日にリリースされることを報告。

「これが本当に最高のアルバムになったんですよ。まるで、30分のライヴ体験を凝縮したような。めっちゃ勢いのあるアルバムになったんです」とKazが興奮気味に語った。

朝日が大地を照らしていく情景を浮かびあがらせるミドルナンバー「Sunrise」で会場を包みこみ、本編ラストは場内が完全に一体となった「Get Her Away」。

メンバーが去ったあとは大アンコール。笑顔で出てきた4人は「アンコールありがとう! でも、俺たち、ノリのいい曲、全部、やっちゃったんだよね」と挨拶。もっと聴いていたかったけれど、その余韻がまたいい。きっと彼らはもっともっと凄いバンドになる。そう確信したファイナル公演だった。

取材・文●山本弘子
写真●前田俊太郎


Brandel 7/13(Sat.) ツアーファイナル公演・セットリスト
01. Let Me Go
02. Addiction
03. Make Your Choice
04. Raining Tears
05. Crazy Time
06. Break Out
07. 歌うたいのバラッド(Cover / Acoustic)
08. Birthday (Acoustic)
09. Par@dox (Acoustic)
10. Get You
11. You Say You Wanna
12. Acceleration World
13. Sunrise
14. Get Her Away

◆Brandelオフィシャルサイト
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