【ライヴレポート】熱いメッセージと爆音にSHIBUYA AXが揺れた <NO MORE FUCKIN’ NUKES 2013>

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AXはこの夏の猛暑を上回る熱気で溢れかえっていた。

3連休となった7月14日(日)、SHIBUYA AXで反原発を訴えるロックイベント<NO MORE FUCKIN’NUKES 2013>が行なわれた。

坂本龍一がオーガナイズする音楽イベント<NO NUKES>の意志を受け継ぎ、Hi-STANDARD、NAMBA69の難波章浩が発起人となった当日のライヴには、趣旨に賛同したバンドやDJなど、数々のアーティストが集結! 会場のまわりにはNPOやボランティア団体のテントやブースがズラリと並び、東北のライブハウスを支援するTシャツが売られていたり、パンフレットが配られたりしていて、開演前やライヴの合間にブースを訪れる人でにぎわっている。

Ustream配信もされた本イベントのMCをつとめたのは難波章浩。セットチェンジの時には「南相馬みんな 共和国」の代表をつとめる近藤氏が子供たちのために計画しているプロジェクトについて話したり、毎週、首相官邸前でデモを行なっている「首都圏反原発連合」のメンバー、ミサオ・レッドウルフ女史がメッセージしたり、DELIがラップでメッセージを投げかけたり、環境エネルギー政策研究所所長の飯田氏が、自然エネルギーへの希望についてスピーチ。緑の党の推薦で参院選、比例代表に立候補したミュージシャンでもある三宅洋平と、東京選挙区に立候補した山本太郎も駆けつけて、反原発をリアルな言葉で訴えた。


▲松田“CHABE”岳二 撮影:TEPPEI

▲NAMBA69 撮影:WATARU UMEDA

▲サンボマスター 撮影:TEPPEI

▲恒正彦 撮影:WATARU UMEDA

▲BRAHMAN 撮影:TEPPEI

▲ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン 撮影:WATARU UMEDA

▲SLANG 撮影:TEPPEI

▲KEN YOKOYAMA 撮影:WATARU UMEDA
とは言え、イベント自体は決して堅苦しいものでも肩ひじはったものでもなく、出演アーティスト全員が言いたいことを言い、自身のパンクスピリッツを炸裂させる熱いパフォーマンスを展開! 参加者も各バンドが繰り広げる最高のライヴにテンションマックス状態で盛り上がっていた。

DJ、松田“CHABE”岳二がオープニングアクトをつとめ、開演時間の15時に大歓声の中、ステージに登場したのは、トップバッターのNAMBA69。スリーピースバンドが鳴らす小気味いいビートに1曲目からフロアーはダイブ続出! 曲を歌い終わるたび難波は熱いメッセージを投げかける。

「こんな小さな国に50基もいらねーんだよ! ってか、1基もいらないんだよ! 今からでも遅くない。一緒に叫ぼう!」
「世の中を変えるのは俺たちしかいないんだ。自分の未来は自分で掴んでいこう!」

そのエネルギッシュなライヴは実に痛快だった。

いつもながらの全身全霊の演奏とヴォーカルで、場内を熱くあたたかい気持ちにさせたのはサンボマスターだ。

「ふるさとのこと歌っていいか? もつ煮込み食いながら、難波さんと話して、政治的なことより何より福島のこと歌ってくれって言われたんだ。俺はあんた方に何も難しいこと言えない。ただ、あんた方のふるさとに“アイラブユー”って言いたいんだ」

山口のMCに拍手が起こり、「I love you & I need you ふくしま」を披露。代表曲「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」のメッセージも、どストレートに響いてきた。

そして、パンク界の重鎮ドラマー3人がパワフルなビートでドラムセッションを繰り広げたユニット、恒正彦のライヴは本能を直撃するリズム自体がメッセージのような迫力。ステージに3台のドラムセットがズラリと並び、恒岡章(Hi-STANDARD、CUBISMO GRAFICO FIVE)、村上正人(HELLBENT)、HIKO(GAUZE)が、繰り広げられる刺激的なプレイに何度も太い歓声が上がっていた。

18時をまわり、大歓声の中、登場したBRAHMANはバンドの真摯な姿勢が伝わってくる激しくも揺さぶられるライヴを展開。ダイブとモッシュでカオス状態になっているフロアーに飛びこんだTOSHI-LOWは、みんなに持ち上げられた状態のままで今回のイベントに出ることにした心情や、前日に大船渡で行なわれた<KESEN ROCK FESTIVAL’13>に出演したことに触れ、「あの震災、事故はたくさんのものを奪いました。俺の先輩の家や、家族団らん、自然……」と行き場のない想いを語り、「悪いことが起こったときは必ずいいことがあると思っていたい。それは待ってるものじゃない。俺たちが作りあげるものなんだ」とメッセージ。そのままの状態で客席から「霹靂」を歌い、喝采を浴びた。

沸騰しかかっている場内の熱を落ち着かせ、じっくりと心にしみる歌を届けたのは、ソウル・フラワー・ユニオンのアナザープロジェクト、ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザンだった。中川は「東北、沖縄、世界中で戦っている人たちに捧げたいと思います」と、新曲「踊れ! 踊らされる前に」を披露。阪神大震災時に被災地で音楽を届け、日本のみならず、世界各地でパフォーマンスしてきた彼らの楽曲は世代を超えて集まった人の心を掴んでいた。

ソウル・フラワーがステージを去った後は、ラッパーであり、反原発活動家としても知られるDELIが自らの想いをメッセージし、コール&レスポンス。

続いて登場したのはハードコア・パンク・バンド、SLANGだ。海外でも熱狂的に支持される彼らの演奏は1音、1音に気迫があり、ヘヴィで鋭いキレ味を持つサウンドと、パンク然としたKOのカリスマ性のある存在感にフロアーも曲が進むにつれて興奮状態に。被災地にレトルト食品などの物資を送り続けているというKOは「仮設住宅の最後の1戸がなくなるまで俺は続けていきたい」と話し、男気のあるライヴで圧倒した。

21時20分を過ぎた頃、拍手と怒濤の声援の中、「ずいぶん待ったよ」と笑いながら、トリのKEN YOKOYAMAが登場。オープニング曲「Save Us」からダイブの嵐で、開放感あふれるダイナミックなステージ。

日の丸の旗をマントがわりに肩にかけ、原発について「ホントにクールならいいけど、あぶねえよ。人間の手に負える代物じゃないよ」と、「You And I,Against The World」を披露し、「俺は日本人が好きでさ。自分の国の発電方法ぐらい自分らで考えたいよね」とメッセージ。“みんなも歌えよ”とばかりにマイクスタンドを何度もフロアーに投げ入れた。興奮の頂点へとのぼりつめていく空気に触発されたのか、後半ではBRAHMANのTOSHI-LOWがステージに飛び出し、マイクスタンドを投げ込むというサプライズも(絨毯も投げ入れていた)。ラストナンバーはステージと客席との境界線が完全に消失した「Believer」。大合唱がAXに響きわたり、ステージに置かれていた“東北ライブハウス大作戦”と書かれたのぼりも、いつのまにか客席の手の中にあった。

ステージを去ったとたんに大アンコール。その声は機材が片付けられている間も鳴りやまなかった。

取材・文●山本弘子
(C)NMFN実行委員会

<NO MORE FUCKIN' NUKES 2013>
7月14日(日) SHIBUYA-AX
参加アーティスト :
NAMBA69、KEN YOKOYAMA、BRAHMAN、SLANG、サンボマスター、ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン、恒正彦
DJ : 松田“CHABE”岳二(CUBISMO GRAFICO / kit gallery)

◆NO MORE FUCKIN' NUKES 2013オフィシャルサイト
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