【インタビュー】ふくろうず、ミニアルバム完成「歌詞を読み直してみると……アルバムを出すまでの2年間、いろいろあったんだなって」

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メジャーデビューアルバム以来、約2年ぶりとなるミニアルバムが完成した。2011年のドラマー脱退後は定期的にライブを重ねながら、バンドサウンドを固めてきた。しかし、ミニアルバム『テレフォン No.1』完成に至るまでの道程は決して平坦なものではなかったようだ。
“もうやめるの やめたんだ”──これはエンディングナンバー「見つめてほしい」の一節だ。そして、2013年春には木村カエラ出演CMの作曲&プロデュースを果たし、ふくろうずの存在を大きくアピールした。作曲やアレンジには、彼ら3人ならではのものだと言い切れるオリジナリティもユニークな発想もある。2年間にわたるプロセスと、このインタビューを読めば、彼らが本質的に“作ること”を楽しんでいるということがわかるはずだ。奔放なアンサンブルを透明度の高いメロディが貫く『テレフォン No.1』サウンドは現在のバンドの状態を物語るようにカラフルで、しなやかに強いものだった。

◆「テレフォン No.1」ミュージックビデオ

■ライブのやり方も含めて、試行錯誤した2年間でした──内田
■曖昧なのがあまり好きじゃないのかもしれない──安西

──ミニアルバム『テレフォン No.1』は、前作から約2年ぶりの作品となります。この間には、ドラマーが脱退して3人編成になったりとバンドの形が変わりましたが、今作に至るまでどのように進んできたんですか。

内田:まずはドラムを叩いてくれる人を探しながら、ドラムがいなくても曲が作れるように、自分たちで打ち込みをやってみたりとか。ライブのやり方とかも含めて、すごく試行錯誤した2年間でした。

──打ち込みを導入することによって新たな可能性の広がりもあった思いますが、実際にはどんな影響が?

安西:バンドにとっては、やってよかったなと思ってますね。僕がドラムの部分を作っていくことが多いんですけど、内田がある程度リズムを提示する場合もあったり、内田がサポートドラマーの方に叩いてもらったリズムを、僕がデモの形にしたりとか、ちょっとずつ人から人にわたりながら、その人の個性みたいなものが出てきて。そのやり方で気づけた部分も多くて。あと僕はベースなのでリズム隊として、デモを作るときに“こうしてほしい”という細かいものをいちいちドラマーに伝えなくても、わりとその場でやっちゃえるっていうのもメリットだったり。勉強にもなりましたね。

──今作はキラキラとしたキャッチーさ、カラフルなポップさが際立った作品になりましたが、どんなアルバムにしたいかイメージはあったんですか。

内田:明るいもの、軽くて聴きやすいものにしようと思ってました。どんな気分のときでも、どんな人でも聴いてもらえるものがいいなと思って。

──明るいものというのは、今の自分自身の気分に拠るところでもある?

内田:それも多少あるんですけど、自分の好きな音楽が基本的にはそういうものが多いんです。たとえばビートルズとか。いろんな年齢層、いろんな種類の人から支持されている音楽が好きで。自分もそういう作品を作りたいなっていう憧れが、ずっと前からあって。今回はよりそれを実現することができたかなあ、どうかなあ?って感じです(笑)。

──これまでのイメージでは、切なさや胸がきゅっと痛くなるような曲調やサウンドが多かったと思うんですが。今言ったような明るい曲というのは、そういう曲が好きだけれども、自分からはちょっとそれとは違った曲が出てきてしまうという感覚もある?

内田:そうですね。切なかったり、悲しかったりとか、ものすごいムカついたときとか、ものすごいテンションが高いときとか、そういう極端なときに曲が思いつきやすい性格で。どちらかというと、日常生活で普通に生きているとあまり曲が思い浮かばないタイプかもしれない。

──心が動いた瞬間に、書くっていうことですね。今回は、これまでとは違ったアプローチだったということですか?

内田:そうですね。特に「テレフォン No.1」は曲に設定があるので。その設定に自分が入り込んで、ある意味自分じゃない誰かの視点で書いてみたような感じ。自分じゃない誰かっぽいような歌詞というのが、これまではまずなかったですね。意外にこういうこともできるんだなって思いました。ちょっと照れもあって恥ずかしかったんですけど、結果的には楽しくやれたと思います。テーマがあったからこそアレンジの幅も広がったと思うので。

──カラフルでさまざまな音の遊びがあるポップチューンですが、この曲のデモはどんなふうに作っていたんですか。

内田:デモは……いつも結構適当なんです(笑)。あ、でもこの曲はそのままレコーディングに臨めるくらいのクオリティで作りました。電話の呼び鈴を入れてみたりとかしてるんですけど、Cメロで“プーップーッ”ていう電話が繋がらないときの効果音みたいのも入っているんです。そういうものもデモの段階で全部試しましたね。

安西:この曲は、遊び心的なものを盛ろうと思えばいくらでも盛れる感じの曲で。一回、盛り盛りで作って、そこから必要ない部分を落としていく作業をしたんですけど。

内田:そうだったっけ(笑)?

安西:したした。効果音、盛り盛りだったから。

──音を削いでいっても、サイケやソウルの匂いがするような濃ゆい曲ですが、サウンド面で意識をしたことは?

内田:ふふ(笑)。そういうふうに受け取ってもらえるんでしたら、すごく嬉しいです。

──ギターのフレーズも特徴的でかなり遊びがありますよね。

石井:楽しい感じの曲だなっていうのがあったので、それを素直に弾いただけですかね。

──いや、素直とは言い切れないないと思いますよ(笑)。ギターアプローチ自体はフレキシブルでエフェクティヴなパートもありますから。

内田:でも、これがふくろうずの自然なものになっちゃってて(笑)。わりと長くこのカタチでやってきたので、スタンダードになってしまいました。

──この曲に限らずですが、アレンジにこのバンドならではひとクセを感じるんです。そのゆえんをご自身で分析すると? 

内田:うーん(笑)。濃ゆい味が好きなんです、たぶん。音楽に限らず、食べ物とか、洋服とかも派手なのを買っちゃうし。

安西:曖昧なのがあまり好きじゃないのかもしれない。

内田:性格がむちゃくちゃ極端なんですよね。それが反映しちゃってるのかな。

◆インタビュー(2)へ
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