【Kawaii girl Japan /ライブレポート】exist†trace、怪演のワンマンライブ。「いつもビリビリしていたいの」

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2013年7月6日、渋谷Gladにて開催されたexist†traceのワンマンライブ<SOUND THEATER ~美しき憎しみのトリロジー~>からレポートをお届けする。

◆exist†trace 写真

5月31日にアメリカで開催されたA-kon 2013に出演後、6月9日(日)から6月29日(土)まで12箇所のライブに登場し、そのほとんどでオープニングアクトを務める<オープニングアクト大作戦!!>を敢行したexist†trace。改めて原点を再確認した3週間になったようだ。満を持して臨んだこの日の渋谷Gladには彼女たちの今を支持する熱いファンたちが集結していた。

ライブは7月3日にリリースされた新曲「ダイアモンド」からスタート。Gladのステージにダイアモンド型に立った5人が観客を鼓舞する。日本のファンも、exist†traceのアメリカ遠征に刺激され、exist†traceを好きな気持ちは海外ファンに決して負けていないと示したかったのではないだろうか。「ぶっ倒れるまで暴れようぜ」というジョウの言葉に歓声で応えた。

エネルギーが充実しているグループのアクトは、しばしば油断するとグループの放つオーラにたちまち呑まれそうな雰囲気があるが、この日の彼女たちもまさにそういったオーラを帯びていた。もっともこの日は鏡映しのように観客の熱気もステージまでみなぎっており、お互いにボルテージを高め合っていく様子が見ていても明らかなほどだ。

5曲目「HONEY」ではジョウの煽りに観客が「HEY! HEY!」と声を張り上げ、ジョウがメンバーの演奏に乗って「もっと! もっと!」と限界まで観客のテンションを引き上げさせるやり取りが約4分間も続いた。


ライブタイトルに<美しき憎しみのトリロジー>とあるように、今回のライブは三部作(トリロジー)構成になっているところも見どころ。雰囲気を大きく変える第2幕ではexist†traceのライブに取り入れられている演劇パートのキー曲「リトル・メアリーと美しき憎しみのドナウ」が今回のみの特別仕様で組曲化され、前章ともいえる新曲「出会い」「予言」、後章にこれまた新曲の「長い夢の終わりに」、そして「Lost in Helix」まで5曲が上演された。組曲のプロローグにはステージ脇に従者と名乗る青年が現れ、同じく従者であった父の手記を紐解く形で物語を語りだす。

「リトル・メアリー~」は恋人のいる姫君・メアリーとその母であるお妃の愛憎を表現した曲だが、「出会い」「予言」はその母の少女時代を描く曲だ。いつも母親役で出てくるジョウが無垢な白いワンピースの少女として出現し、「出会い」でMally演じる青年楽団員と恋に落ちる。そして「予言」では猶人演じる預言者から“お前は娘を殺すだろう”という恐るべき予言を聞かされる。

やがて他国の王子と結婚し、前2曲から時を経た「リトル・メアリー~」ではmiko演じる娘のメアリーと乙魅が演じる王子のダンスを引き裂いてしまうお妃。毒入りのワインで娘を手にかけ、組曲の後章「長い夢の終わりに」「Lost in Helix」は愛しい人を思う母娘それぞれの思いにオーバーラップするかのように歌われた。

どっぷりと耽美な第二幕を堪能した後は、Mallyの激しいドラムソロからトリロジー第三章へ。モノトーンベースのシックな衣装にチェンジしてステージへ戻ってきたメンバーが再びアグレッシブなプレイを見せ、ジョウの「翔べ!」という叫びにファンも一斉に跳び上がる。MCでは「コール&レスポンスの手応えが凄いね」とメンバーもファンの勢いに高揚しているのが伺えた。

15曲目「JUST ONE」、16曲目「VANGUARD」と続いて、ラスト直前にジョウがさらに煽る。「残り3曲です。お前らこの3曲モンスター集めたからさ、君たちの気持ちをここまで届けてくれ!何でもいいから一緒に暴れてくれるか!」17曲目からは「Venom」「RAZE」と連続でデスボイスが炸裂し、観客も全力のヘドバンで暴れ回っていた。

最後は「シグナル」でホイッスルを高らかに鳴らしつつ、全員でタオルを振り乱して終演のはずだったのだが、この日の熱狂は易々と一線を越えていった。メンバーが全員ステージアウトすると音声ラインが途切れる前に観客から熱狂的なアンコールが始まり、メンバーはメイクも直さずすぐにステージへ戻ってきてアンコール突入。アンコール曲「君を忘れない」を歌うジョウは心なしか涙ぐんでいるように見えた。続く『「終わりのない世界」』ではメンバーも観客も共に大きく手を振り、場の一体感は最高潮に達した。


MCを執ったmikoは「本当はさっきの曲で終わる予定だったんだけど、メンバーと『あと一曲やりたい曲があるよね』って話をしてね」と前フリをしたあと、自らの、またexist†traceとしての思いのたけを包み隠さず会場のファンに語った。

乙魅の加入前にバンドを結成した時代から10年が経ち、ここまで紆余曲折のあるキャリアを重ねてきたexist†trace。「でも私たち的には、まだ何も達成できた気はしない」「メンバーの中でもなあなあになりたくないし、いつもビリビリしていたいの」と切実に訴えるmikoの言葉からは、彼女たちが前へ進むために、今ストイックなまでに自分たち自身を見つめなおす過程を踏んでいるのだということが伝わってきた。

「今日はすごくいい景色を見られたし、すごくパワーをもらえて、皆と通じ合えた気がした。お互いの外側だけじゃなくて、もっと心の奥深くまで見えちゃったと思うから、お互い恥ずかしいことなんかもうないね」──miko

新曲「ダイアモンド」の歌詞は、今のありのままのexist†traceを書いたものだという。弱いところも恥ずかしいところもある。でも自分たちにとってカッコよくて大事なもの。今回のライブでは弱いところまで全てさらけ出す覚悟で全力を出し切ったexist†traceに、ファンが応えた。

アンコール2曲をおしてのラスト曲は再び「ダイアモンド」。止まぬ喝采の中、盛り上がり、一体感ともに怪演と呼べる出来でワンマンライブは終了した。

exist†traceはこの夏から秋にかけ、各所のライブイベントに出演予定。10月19日(土)には下北沢MOSAiCにてオフィシャルコミュニティー[VANGUARD]限定のライブも行われる。こちらのライブは毎回メンバーの誰かがプロデュースという形をとっているが、次回は乙魅と猶人がハロウィンシーズンを演出してくれるということで、ファンには楽しみなライブになりそうだ。

Text by Suzu_Kawaii girl Japan編集部

SET LIST
1. ダイアモンド
2. Daybreak ~13月の色彩~
3. 本能
4. Antique Doll
5. HONEY
6. くちびる
7. KISS IN THE DARK
8. 灰の雪
9. Scene1 出会い
10. Scene2 予言
11. Scene3 リトル・メアリーと美しき憎しみのドナウ
12. Scene4 長い夢の終わりに
13. Scene5 Lost in Helix
ードラムソロー
14. オルレアンの少女
15. JUST ONE
16. VANGUARD
17. Venom
18. RAZE
19. シグナル
EN01. 君を忘れない
EN02.「終わりのない世界」
EN03. ダイアモンド

<Live Schedule>
8/16(金)鎌倉由比ヶ浜海岸 SEACRET BOX BY OTODAMA
8/24(土)名古屋E.L.L
9/8(日)名古屋栄APOLLO THEATER
9/14(土)渋谷Star lounge
9/16(月・祝)名古屋R.A.D&名古屋Party'z
9/21(土)大阪心斎橋CLUB DROP
9/28(土)新宿BLAZE
10/13(日)目黒鹿鳴館
11/10(日)大阪RUIDO
11/16(土)名古屋R.A.D

<快進のICHIGEKI × exist†trace presents『ヤベェノミクス』>
10/11(金)渋谷Star lounge open17:30/start18:00  adv¥2,500/day¥3,000
10/18(金)大阪心斎橋CLAPPER open18:00/start18:30  adv¥2,500/day¥3,000
10/25(金)名古屋ell.FITS ALL open17:30/start18:00  adv¥2,500/day¥3,000

<オフィシャルコミュニティ[VANGUARD]限定ライブ
 『VANGUARD NIGHT Vol.4 Dress in Halloween ~Dear Ray&Shadow~』>
10/19(土)下北沢MOSAiC open17:00/start17:30  adv¥2,800
※オフィシャルコミュニティーVANGUARD会員の方のみお申込みいただけます。

◆チケット購入&詳細ページ
◆exist†trace オフィシャルサイト
◆Kawaii girl Japan
◆BARKS ヴィジュアル系V-ROCKチャンネル「VARKS」
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