昭和のジャズの躍動感を今に伝える、書籍『ジャズ昭和史 時代と音楽の文化史』

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ジャズ評論家の油井正一の書籍『ジャズ昭和史 時代と音楽の文化史』が発売された。アメリカで生まれたジャズが、どのように日本に輸入され今日に至ったのか。1918年に生まれ、1998年に世を去るまで日本ジャズ評論界の第一人者として半世紀にわたり活動し、1996年には勲四等瑞宝章を受章した油井が経験し、語り、綴った、貴重な日本の文化受容史本である。

◆『ジャズ昭和史 時代と音楽の文化史』画像

1980年代後半スイングジャーナル誌に語り下ろした長期連載『ジャズ昭和史』を骨子に、世に発表されることなく氏のワープロに書き溜められていた未完・未発表の自叙伝『もうひとつの昭和史』が併録されており、まさに貴重な昭和史というべき書籍となっている。編者は、名門ジャズ・レーベル「ブルーノート」の他数々の国内外のジャズ作品を手掛ける音楽プロデューサーの行方均だ。

ジョージ川口や秋吉敏子との対談、ベニー・グッドマンやアート・ブレイキー、アニタ・オデイなどと交流する著者の写真も掲載されており、目次を読むだけでも昭和のジャズの躍動感が伝わってくる読み物であり、同時に貴重な資料でもある。

『ジャズ昭和史 時代と音楽の文化史』
2013年8月15日発売
油井正一 著・行方均 編
定価3,990円(本体3,800円+税)/ 四六版 / 上製 / 672頁
ISBN978-4-925064-82-8
目次
油井正一語りおろし『ジャズ昭和史』
第一回 日本にホンモノのジャズがやって来た時
第二回 慶應予科の一学生、ジャズにめざめる
第三回 洋画とジャズと戦雲の中の青春
第四回 ラジオと進駐軍にジャズを求めたころ
第五回 「ホット・クラブ」創立秘話・前編 (ゲスト:石原康行)
第六回 「ホット・クラブ」創立秘話・後編 (ゲスト:石原康行)
第七回 畏友河野隆次とレコード業界裏話
第八回 わが国初の「ジャズ講座」と舞台裏 (ゲスト:中村宏)
第九回 空前のジャズ・ブームの真実・前編 (ゲスト:ジョージ川口)
第十回 手探りのファンを導いた欧米のジャズ書
第十一回 空前のジャズ・ブームの真実・後編 (ゲスト:ジョージ川口)
第十二回 アメリカに架ける橋 (ゲスト:秋吉敏子)
第十三回 『ジャズ昭和史』前史・前編――日本ジャズ界の夜明け
第十四回 昭和ジャズ音盤変遷史
第十五回 JATP来日騒動記
第十六回 『ジャズ昭和史』前史・後編――ジャズメン、関西へ
第十七回 『ジャズ昭和史』の二十世紀文化的背景
第十八回 最初の名門ジャズ・バンド、ゲイ・セプテット(ゲスト:レイモンド・コンデ)
第十九回 ロックウェル・レコード物語
第二十回 「モダン・ジャズ名盤蒐集会」の仕事
第二十一回 「名盤蒐集会」とジャズ・メッセンジャーズ
第二十二回 ジャズ喫茶黄金時代がやって来た (ゲスト:中平穂積)
最終回 ジョン・コルトレーン以降

油井正一自叙伝『もうひとつの昭和史』
プロローグ~昭和十年、春
第一章 ジャズとの出会い
第二章 生家のこと
第三章 神戸の少年時代
第四章 歌と映画と歌舞伎と寄席と
第五章 戦下の青春
第六章 戦後の転変
第七章 ジャズ評論家として

油井正一アーカイヴにて、油井正一先生を思う(行方均)
油井正一年譜 (資料提供:油井正太郎)
編者あとがき 行方均

◆『ジャズ昭和史 時代と音楽の文化史』オフィシャルサイト
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