【対談】Linked Horizon×cinema staff、『進撃の巨人』を語る「“エレン死んだけど大丈夫か!?”と諫山さんの手の上で翻弄されてました(笑)」

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■再び「紅蓮の弓矢」に繋がるという物語性を描きたかった──Revo
■ここまでメロディが立った曲はあまりなかったかもしれない──三島

──では、Linked Horizonのマキシシングル『自由への進撃』の全体的なコンセプトを教えていただけますか?

Revo:前期オープニング曲「紅蓮の弓矢」の制作はこちらとしても手探りで。ただ、自分としては『進撃の巨人』への熱い想いもあって、それをカタチにしようと。戦争ものだし、軍隊が出てくる緊張感は意識して、スネアの「ダン、ダダダッダン」という行進曲調のものを入れたり、クワイア(聖歌隊)を入れたり。そういうカタチでサウンドイメージを捉えていたんです。しかし、それ以前に主人公ですよね。人類対巨人というテーマはあるけれども、まずその意志も含め、主人公をしっかり明確にしておきたいと思った。そこで、「イェーガー」という一節を入れたら、「“イェーガー”が良いよね」と、行く先々で言われるので。結果的に成功したなと(笑)。

cinema staff:はははははは!(笑)。

Revo:「イェーガー」という響きが好きで本当に何気なく入れたんですよね。ただこの言葉は主人公の名前の他にも意味がある。ドイツ語で狩人、猟師という意味を持つ言葉でもあるんです。

──アニメ制作側からの要望はありましたか? たとえば“こういうキーワードを入れてほしい”みたいな。

Revo:キーワードではないんですけど、「強い言葉が欲しい」と言われて。考えた結果、「紅蓮の弓矢」という言葉が出てきたんです。サウンド的には、「紅蓮の弓矢」は1曲目だし、凄くキャッチ―なものを目指しました。“アニソンとは何か?”も含めて、みんなで熱く燃える曲として、凄くわかりやすく提示した。そういう意味では、「自由の翼」はもう少しマニアックなものでも良いかなと。

──3曲目に収録された「もしこの壁の中が一軒の家だとしたら」では女性ボーカリストとして柳麻美さんが参加しています。

Revo:「紅蓮の弓矢」と「自由の翼」がオープニング曲なので、疾走感やサウンドの派手さはもうお腹いっぱいかなと。だから敢えてずらしました。それに曲構成も1分半では切れないようなロングスパンで展開していく曲にしようと。それは最初から考えていましたね。でも、こじんまりとせず、壮大に広がって行くような部分がある。それが収縮して再び「紅蓮の弓矢」に繋がるという物語性を描きたかった。ただの曲では終わりたくないというか、最後まで『進撃の巨人』と噛んでいるものにしたかったという。

──完全に音楽が『進撃の巨人』とリンクしている印象です。cinema staffのみなさんは「自由への進撃」を聴いてどのような感想を持ちました?

三島:僕らはバンドしかやってきていないので、あんまり音を重ねるということを経験してないんです。Revoさんの中で鳴ってる音……80人以上が出す音を構築するということと、それを作品としてカタチにするということが本当に凄い。完璧に出来ているということが最初に聴いた感想ですね。加えて、原作への愛情、リスペクトがもう本当溢れてて。

──ではcinema staffが担当した後期エンディングテーマ「great escape」ですが、この曲はプロデューサーとして亀田誠治さんが参加されていますが?

三島:アルバム『望郷』をレコーディングしているときに、なにげなくディレクターと“第三者の方に見てもらうのもいいんじゃない?”みたいなことを話していた伏線があったんです。その直後に『進撃の巨人』のエンディングテーマを担当することが決まって、“このタイミングでプロデューサーつけてみるのも面白い”という話になったんですよ。そこで名前が挙がったのが亀田さんだったという。

飯田:亀田さん自身はベーシストじゃないですか。うちのバンドはベーシストの三島が曲を作っているし、同じベーシストで話も早いんじゃないかなという経緯もありました。

三島:時間的な制約があったので、亀田さんに曲作りのイチからスタジオ入りしていただいたわけではないんですけど。まず最初は、候補曲のなかから絞り込んでもらって、どれを土台に、どう作っていくかのアドバイスをいただいた感じですね。あとはアレンジの面でちょっとずつ助言が。

久野:アレンジ面というより一番大きく変わったのはレコーディングの仕方ですね。

三島:cinema staffのレコーディングは、これまで基本的に僕がディレクションするカタチだったんです。だから全部託してみるというのはちょっとだけ不安もあったんですよ。

飯田:でも、実際やってみたら面白かったよね。

三島:そうだね。レコーディング前には亀田さんが一緒にスタジオに入って、こちらから「ここはどうすれば良いですかね?」って聞いたんですけど、「君ら細かいね!?」とか言われたり(笑)。アレンジに関しては割とざっくりと大枠の話で、あとは任せてもらえたというか。曲の根幹の世界観っていうのは、基本的には全部僕らが考えたもので、ある程度出来たところに外堀を固めてもらった感じです。

飯田:やっぱり数々の素晴らしいアーティストをプロデュースしている方なので、そこでまず信頼感がある。自分たちの音にしても、迷った時に道筋を示してくれるというのが、安心できましたね。人柄もあって、レコーディングの環境も凄く良かったんですよ。本当に優しい方です。

──その結果出来上がった「great escape」の聴きどころは?

三島:サビの攻撃的な破壊力というか、手探りでも走って行く感じ。それと今日は骨折して対談を欠席してしまった辻のためにも言っておきますが(笑)、イントロフレーズのクリシェ(あるひとつのコードをキープしつつ、半音階や全音階の装飾的・慣用的なメロディーラインをつくる)ですね。“クリシェマニア”の僕としては気に入ってます(笑)。

──Revoさんは「great escape」を聴いてどんな印象を?

Revo:まず、そのクリシェがあって、ギターのフレーズが突き刺さってくる。それがいいなと感じましたね。で、cinema staffの曲のすべてを知ってるわけではないんだけど、他の曲と比較するとドラマチックだよね?

三島:そうですね。ここまでメロディが立った曲は、あまりなかったかもしれないです。

Revo:イントロのドラムがまたいい。このドラムが疾走感を煽りつつ、哀愁がありつつ。ベタなメロドラマにはなってない。

久野:ありがとうございます。そこらへんは僕ららしいことが出来たかなと思いますね。

Revo:面白いなと思ったのは同じメロディーでもリピートでリズムパターンが変わるところ。凄くいいよね。バンドっていう感じがする。実は、僕もそういうドラムが好きなんだよ。例えばディープ・パープルの「BURN」とか、ほとんどまともにリズム叩いてないAメロ……みたいなやつ(笑)。そういうバンドの勢いみたいなものがカッコいいと思うし。ブレイクのギターのカッティングもいいよね。

三島:あれは僕が考えたものです(笑)!

Revo&cinema staff:ははははは(笑)。

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