【インタビュー】THE MACKSHOW、“ロックンロール”という「五・七・五」で言い切る美学

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── ロックンロールへのこだわりがTHE MACKSHOWの一番の重要なテーマだと思うんですが。

コージー : こだわりという意味では、日本語のロックンロールっていうジャンルの中だけでやろう、という風に最初に思ったんですよ。まあ、それが失敗だったんですけど(笑)。

一同 : (笑)。

コージー : どうしても、リーゼントして革ジャン着なきゃいけないみたいに持って行ってしまったんですけど。だからこそわかりやすかったと思うんですけど、どこからどう見ても。

── それはコンセプトとして“革ジャン、リーゼントのロックンロール・バンド”と決めた、ということですよね。

コージー : そうです。

── じゃあみなさん、音楽はそれだけが好きで、というわけではないんですね?

コージー : うん、もちろんね(笑)。だけど、それが自分達を奮い立たせる材料にもなったし、凄く楽しめる一番大きな要因だったんですよ。というのも、僕とトミーは小さい頃から、リーゼントしてロックンロールみたいな音楽が大好きで、そういう音楽をやってたんだけど、本当にウケなかったんで(笑)。

トミーマック(以下・トミー B) : はははは。

コージー : 東京に出てきてからもそれをやってたんですけど、「えぇっ!? 今キャロル!?」みたいな感じだったんですよね(笑)。1975年にキャロルが解散した後も、革ジャン・リーゼントのブームがあったんですけど。その後はやっぱり、パンクやニュー・ウェーヴ、テクノなんかも出てきたんで。

── 広島出身ということもあって、矢沢永吉さんへの憧れが大きかったんでしょうか?

コージー : もちろん、そうですし、それしか知らなかったから(笑)。

トミー : どこ行ってもポスター貼ってありますしね。

コージー : まあ、またそういう所しか行ってないんでしょうね。

一同 : ははははは!

コージー : いやでも、(矢沢永吉の)他にレコード売ってないんじゃないかと思うような所で育ったから、他に選択肢が無いっていうか(笑)。あとで考えたら、「あ、ピストルズもクラッシュもあったんじゃん」って(笑)。最初はせいぜい、ラモーンズくらいだったから。キャロルとは違うけど同じ革ジャンだし、一応聴いてみようか、みたいな(笑)。

── でも、ビートルズにしても、スリー・コードのロックンロールをやっているのってごく初期の頃で、『Rubber Soul』『Revolver』以降ってどんどん変わっていくわけじゃないですか?

コージー : うん、うん。

── そういう意味ではTHE MACKSHOWとして、音楽の幅を広げて行こうという考えはせずに、ロックンロールという縛りをあえて作ってやっているんでしょうか?

コージー : もちろん、『Revolver』は一番好きなアルバムだし、そういうのも良いなって思うんですけど、僕らには向いてないなって(笑)。『サージェントペパーズ~』にしろ。「何やればいいの?」って。

バイク : まあ、髭とか、長髪とか、眼鏡とか?

トミー : たぶん、僕らにとってロックってそれくらいのもんなんですよ。(後期ビートルズをやるなら)「髭か?まず」っていう(笑)。

コージー : そうそう、まずは形から(笑)。いろんな音楽がある中で、1つのコンセプトとして、ロックンロールというのを取り上げようというのが大きかったから、シンプルなロックンロールから出るっていうのは少し違うかな、と思います。ただ、以前はロックンロールという幅の中ではもうやりきっただろうって思って、日比谷野音でライヴをやって(2008年4月)、もうやめよう、と。

── ロックンロールはもうやりつくした、ということで。

コージー : そうですね。

── ある程度、自分達よりもお客さんが求めてることに対してやっているという意識もあったんでしょうか?

コージー : そこまではないですね。ただ、今辞めたら、「求められてるのに悪いな」っていう気持ちも確かにあって。やってて気持ちいいし、せっかくみんな応援してくれてるんだから、最後にもう一枚出して、大きい所でやって終わりたいなと思ってから、1年半くらいツアーを隅々まで回って、CDも作って、最後野音でステージ上から解散することを言おうと思ったんですけど、僕らはそこまで大きな規模でやっていたわけじゃないから、お客さんが、野音まで持ってきてくれたというのを凄く強く感じたんですよ。それまでは、自分が、捨てられたジャンルだったロックンロールを拾い上げて旗振ってやってきたっていう気持ちがあったんです。

── ある種の使命感というか。

コージー : そう。自分達の好きな音楽が虐げられているという。ろくなバンドがいないから虐げられるんですけど。80年代以降全く良いバンドが出てきてないし。まあ元々そんなに興味を引くジャンルではないかもしれないけど。

── でも、ありそうで全くないですよね。

コージー : ぽっかり空いてるんですよね。そこに僕らスっと入って行ったんですけど。まあ、入っちゃいけなかったのかな、という経験も色々あったんだけど(笑)。

一同 : ははははは!

コージー : まあ、CDの再発とか、小さなムーブメントもあって(笑)。嬉しいなって思ったんですけどね。でもその後に続いているフォロワーがいるかというと、全然いなくて(笑)。やっぱりいないのか、と。そこで僕らが旗を降ろすのが釈然としなくなったというか。これはまた、止まっちゃうことになるなと思ったんで、辞めはしないけど、ちょっと休みます、って言って。でもその間にも署名が来て。

── あ、ファンの方たちの?

コージー : そう。2万通くらい。「辞めないでください」っていう署名が。いや、2万くるなら、もうちょっとCD買えよって(笑)。

バイク : もうちょっとライヴ来いよ! って(笑)。

コージー : まあそこで、僕らのCDを結構買ってくれたというのも、世の中のCDが売れなくなった時期と重なってたから、あんまり音楽に興味がなくなってた人たちが買ってくれたのかな、と。それは嬉しかったし、辞めるっていうのはあんまり良くないかな、と。だから1年休んで、もう一回やろうか、と。そこから先は今のメディア・ファクトリーから出してるんですけど、任せる所は任せて、もっと自分達が音楽の中身を楽しめるような、ロックンロールはこういう楽しみがあるんだ、という所を見せて行こうという風に考えてやってます。
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