8月30日深夜、神奈川は川崎CLUB CITTA'にて、yukihiro(L'Arc-en-Ciel)のソロプロジェクト=acid android主催によるDJ&ライヴイベント<acid android in an alcove vol.6>が開催された。開場時間前からチッタ前は長蛇の列となり、23時に開場されるとオープニングを託されたDJ SATORUがトランシーな爆音でオーディエンスを歓迎。この夜はyukihiroを含め4人のDJ、そして4組のライヴ・アクト(ZZZ's、MO’SOME TONEBENDER、agraph  VJ  Masato TSUTSUI、そしてacid android)が登壇予定で、夜が明けるまで見逃せないラインナップとなった。

◆acid android 画像

23時30分になる頃、DJとしてyukihiroがこの夜初めてオーディエンスの前に登場。フロア前の人口密度が一気に上昇するなか、最初にスピンされたのはRADIOHEADの「My Iron Lung」。シンプルな黒パーカー姿のyukihiroは、ビートにあわせて身体を揺らしながらレコードやターンテーブルを操り、オーディエンスは彼の一挙手一投足に注視しつつ、心地よさそうに重低音とメロディに身を任せている。UKのレジェンドから新鋭までを網羅しつつ、徐々にインダストリアルへと繋いでいく実にyukihiroらしい構成で深夜のフロアを盛り立てた。
 
yukihiroのDJ後、間もなくして幕が上がると最初のライヴ・アクト=ZZZ'sがステージに現れる。YOUKAKU(G&Vo)、YUKARY(B&Vo)、LYN(Dr)から成る神戸発のガールズ・バンドは、冒頭から鬼気迫るパフォーマンスを展開。ヘヴィなドラミングとうねるベース、金属音のようなギターが火花を散らして拮抗する「dystopia」を筆頭に、およそ3ピースとは信じがたい音圧とアイスピックを思わせる鋭利かつ凶暴的なアンサンブルで観る者を圧倒。場内の熱は徐々に、しかし目に見えて高まっていった。昨年はアメリカの著名音楽イベント<SXSW 2012>に出演を果たし、その後拠点をアメリカに移し活動。11月からはヨーロッパツアーも決行するなどボーダーレスな活動を繰り広げる実力派たる、実に鮮烈なステージだった。
 
続けてDJアクトにMUCCのmiyaが「Masaaki Yaguchi a.k.a miya」として登場。ダンサブルなトラックを巧みな手捌きでスピンさせながら、マイクを手にこう語った。

「僕が初めてDJをしたのは、このイベントのvol.4でした。こんな音楽の楽しみ方があることを教えてくれたyukihiroさんには本当に感謝してます。今日は朝まで飲んで、踊って、楽しんでいきましょう!」

すると場内から大喝采が起こり、軽快なステップやヘッドバンギングなど、アグレッシヴなDJプレイで自在にフロアを煽動。Rage Against The Machineなどロックのスタンダードを巧みにダンスビートとミックスさせながら、明滅するフラッシュライトと共にパーティの熱を右肩上がりに高めたmiyaだった。
 
 miyaからバトンを継いだクラブミュージックの雄=The LOWBROWSも、トランシーかつセンス溢れるトラックを連続投下。緩急巧みなセット構成とアジテーションで徐々に、しかし乗算的に狂騒を高め、終盤のヒートアップはフロア一面が文字通り発熱しているように思えたほど。国内外で高く評価されているDJプレイをこれでもかと見せつけた後、深夜26時すぎには2組目のライヴ・アクト=MO’SOME TONEBENDERがオンステージ。幕が上がるなり「Wake Up! Wake Up!」と百々(G&Vo)がシャウトし 、冒頭の「ロッキンルーラ」から目の覚めるような爆音を響かせる。

続けて披露された新曲では、ベースを置いた武井(B)が“祭”と書かれた大きな団扇を掲げてステージを練り歩き、フロアからも「オーオーオオーオ!」と盛大なシンガロングが湧き上がって一種異様なお祭りモードに。その後も「youth」「24 hour fighting people」と畳み掛け、アクセルもブレーキもぶっ壊れた暴走ロックンロールがチッタを席巻。ラストの「BIG-S」では、武井は電光掲示板付きのヘルメットを装着。「acid android in an alcoveへようこそ」「モーサム演奏なう」といったメッセージが流れ、百々はギターを破壊する勢いで激しくプレイ。遂にはフロント3人がステージにへたり込み、起き上がった武井が爆音のなかムーンウォークを披露とやりたい放題。まさに衝撃映像集のようなステージで狂騒の果てへと駆け上がった。

MO’SOME TONEBENDERのライヴ後には、再びyukihiroがDJとして登場。The Flaming LipsやThe Smashing Pumpkinsなど、このタームではUSロックをメインの文脈としてセットを構成。躍動感に満ちたセレクションがフロアを揺らし、1stセットに比べるとyukihiro自身も幾分リラックスした様子でDJプレイを楽しんでいるように見受けられた。40分のセット後に登場したagraphは、まるでマジシャンのような華麗にして繊細な手つきでサンプラーを操ってオーディエンスを魅了。VJ Masato TSUTSUIがスクリーンに映し出す先鋭的かつ幻想的な映像と相まって、芸術的なまでに美しく、儚くも恍惚的なサウンドスケープを立ち上げた。
 
しばしの転換後の28時10分、いよいよacid androidがステージに立つ。今回のバンド・フォーメーションは、今年4月のLIQUIDROOMワンマン公演と同じく、ギターにLillies and RemainsのKENT、ドラムにPeople In The Boxの山口大吾を迎えた3ピース編成(+マニピュレーター)だ。KENT、山口に続いて、細身のシャツに柄パン、そして腰から足先までの長いストールを纏ったyukihiroが姿を現すと地鳴りのような歓声が湧き上がる。3人は冒頭から攻撃的モードで、いきなりこの夜が初披露となる新曲を投下。獰猛な8ビートとギターリフ、そして拡声器越しのyukihiroのヴォーカルが瞬く間にCLUB CITTA’を狂騒空間へと導き出し、続く「imagining noises」では熱烈なレスポンスが勃発。さらに「egotistic ideal」、「pause in end」と矢継ぎ早に畳み掛けて幾度も最高沸点を更新していったのだった。

この編成となってまだ1年にも満たないが、3人のコンビネーションは微塵の狂いもなく盤石で、自在な筆致でクライマックスを描いていく様はacid androidの進化と真価を雄弁に告げていた。終盤には4月のLIQUIDROOMワンマンで初披露された耽美的な新曲もプレイされ、最終曲「violator」を歌い終えて、オーディエンスへひと言だけ告げて舞台を後にしたyukihiro。ステージでは寡黙な彼が言葉を発したことで、終演後もしばらくは歓喜のざわめきが客席を覆っていた。
 
多彩にして豪華なDJと迫真のライヴアクトを堪能したオーディエンスが会場を出ると、エントランス付近に大きなポスターが飾られていて、そこには凛々しいyukihiroのポートレイトと共にこんな告知が──。

acid android live 2013.12.13 fri studio coast。

そう、12月13日に新木場STUDIO COASTワンマンが行われることが明かされたのだ。12月24日にはgeek sleep sheepもワンマン公演@LIQUIDROOM ebisuも予定されているし、今年は最後までyukihiroから目が離せそうにない。

取材・文◎奥村明裕 撮影◎石井亜希

<acid android live 2013>
2013年12月13日(⾦) 新木場STUDIO COAST
open 18:00 / start 19:00
all standing \5,000 (tax in) *drink別
一般発売日:013年10月26日(土)
[問]キョードー東京0570-550-799 
●オフィシャルHP 先⾏
8月31日(土) 17:00~9月8日(日) 23:00
http://l-tike.com/a-android/
※PC・モバイル共通
※枚数制限: 4 枚

◆acid android in an alcove vol.6 オフィシャルサイト
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