【イベントレポート】劇団ゲキハロ最終公演「我らジャンヌ~少女聖戦歌劇~」がスタート

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ゲキハロ第13回公演「我らジャンヌ~少女聖戦歌劇~」が、9月6日に初日を迎えた。公演前には公開リハーサルおよび記者会見が会場となる池袋サンシャイン劇場(東京公演)にて行なわれ、出演するBerryz工房とスマイレージのメンバーが登壇。なお、2006年から始まった劇団ゲキハロは、本作をもってシリーズ終了となる。

◆ゲキハロ第13回公演「我らジャンヌ~少女聖戦歌劇~」公開リハーサル&記者会見 画像

今回の作品では、「TRUTH」「REVERSE」のパターンを用意。嗣永桃子を除くBerryz工房とスマイレージの各メンバーには、劇中に登場する親友やライバルなど、対の立場となるふたつの役が割り振られ、パターンに応じてキャストを全員丸ごとひっくり返すという大胆なシステムが取り入れられた(たとえばBerryz工房・菅谷梨沙子は「TRUTH」公演ではジジ役を、「REVERSE」公演ではジャンヌ役を演じ、ペアとなるスマイレージ・和田彩花は「TRUTH」公演ではジャンヌ役を、「REVERSE」公演ではジジ役を演じる)。さらに、両パターンをシャッフルする「MARBLE」公演もあり、1度舞台を観た人も、2度、3度と楽しめるものとなっている。

「20曲以上の楽曲がある本格的なミュージカルをお楽しみいただけたら幸いです。」── 末満健一(脚本・演出)

当日は、報道陣を前に、見どころとなるいくつかのシーンを実際に演じる形での5分程度の公開リハーサルが実施され、その後、Berryz工房、スマイレージが登壇しての記者会見となった。なお、スマイレージの勝田里奈と田村芽実は、学業を優先させるためにこの会見を欠席。初日公演ではそれぞれタチアナ(徳永千奈美とペア)とコンスタンス(夏焼雅とペア)を演じた。

会見ではまず、丹羽多聞アンドリウ プロデューサーからの指名で、この物語のストーリーテラー的な役割を演じる嗣永桃子から上記システムの説明がなされる。いつもながら饒舌に説明をしていくももち。ところが、メンバーの中で唯一のシングルキャストであるということから話は脱線することになる。

「Berryz工房7人に対し、スマイレージ6人で、ひとり、余り物……余り物っていうか、特別扱いされる人が出てくるんですけど、それは今回、私、嗣永桃子。ももちこと嗣永桃子がやらせていただいております。特別扱いということで、みんなが結構「REVERSE」「TRUTH」「MARBLE」と3パターン覚える中、私は……ももち中心に回っていると言ってもいいですよね。楽というか、ひとつの役に集中できる……」

ももちのトークにしびれを切らした丹羽プロデューサーからストップがかけられる。するとももちは、「残念ながら私、今回、なぜか主役ではないんですが、主役のおふたりを紹介します。」と、Berryz工房の菅谷梨沙子とスマイレージの和田彩花を紹介する。

「(初回公演で演じる)ジジはですね、内気でひとりでは何もできない子で。熊井ちゃんが……熊井友理奈ちゃんに頼ってばっかりの女の子だったんですけど、あることがきっかけに、まぁ、ネタバレしちゃうので言わないんですけど、あることがきっかけで、結果的には……なんて言うんだろ。(ももち:大人の女性に? / 丹羽プロデューサー:成長?)大人の女性に、成長します(笑)。」と、菅谷梨沙子は緊張して若干、アワアワ状態。そんな菅谷とペアになる和田彩花は「私はジジ役とジャンヌ役をやらせていただいているんですけど、初日はジャンヌをやらせていただいていて、ジャンヌは、ジャンヌ・ダルクの亡霊ということで、みんなには見えないんですけど、ジジの前には姿を現してジジを導いて。国全体にも関わるので、ちょっと緊張しているんですけど、上手く導いていけるように頑張りたいと思います。」と、はにかんだ。

「(オルガは)ジジの従兄弟なんですけど、気に強い女の子をやらせていただいています。感情が難しいシーンとかあるので精一杯頑張ります。」と、“アイドル界のスカイツリー(ももち・談)”の熊井友理奈。彼女とペアにあるのは、“熊井ちゃんを私生活でも応援している(ももち・談)”ことでおなじみ、そして最近はシンデレラの生まれ変わりから“まろ”としてもおなじみ、スマイレージの福田花音。福田は「ルネはジャンヌ・ダルクの妹なんですけど、妹としてお姉ちゃんを復活させるよう一生懸命協力して頑張っていく中で、妹らしく可愛らしい一面が見れるのではないかなと思います。」と、コメントした。

前列に並んだメンバーからのコメントが終わって、後列と入れ替わる。丹羽プロデューサーから「ももちは(司会なので)そのままでいいですよ。」と言われたももちは、「え、いいんですかぁ? 総選挙もやってないのにすみませ~ん。」と、細かく小ネタを差し込んで報道陣を苦笑させていく。

「ルーパートは悪役ではあるんですけど、フリートウッドを守るために必死に命をかけて戦います。殺陣が初めてで、今、観ていただいてもわかると思うんですけど、結構激しくて大変だったんですけど、最後まで怪我のないように演じていきたいと思います。」と話すのは、Berryz工房キャプテン・清水佐紀。ペアになるスマイレージ・竹内朱莉は「リリーは教会のシスターの役なんですけど、すごい生意気な女の子なので、“悪ガキっぷり”が出せるように頑張ります。」と、スマイレージの“本領発揮”を匂わせた。

そして夏焼雅。公開ゲネプロでは、剣を片手に颯爽と登場し、セミロングの髪をなびかせながら迫り来る敵を次々になぎ倒す。その姿は、まさしく美しさと強さを兼ね備えたジャンヌ・ダルク。多くの報道陣もその姿に思わず目を奪われてしまっていたに違いない……のだが、実は彼女はこの作品でジャンヌ・ダルク役ではない。いや、確かに、かのジャンヌ・ダルクと雅ちゃんは、身長がほぼ一緒。それは事実なので、この作品を観て、雅ちゃんにジャンヌ・ダルクの姿をつい重ねてしまったという人たちの気持ちも十分に理解できるのだか。

「はい、Berryz工房の夏焼雅です。今回は、マリオンとコンスタンス役をやらせていただいています。本日の公演では、マリオンの役をやらせていただくんですけど、マリオンはすごく謎の女で、なんか、みなさんがきっと、「なんなんだあの娘?」っていう、ちょっと不思議な役をやらせていただきます。今日、みなさんに観ていただいて、びっくりしてもらえるような演技ができればいいなと思っています。よろしくお願いします。」

ミステリアスな女・マリオン。ミステリアスな女性を思い浮かべる時、同時に“いい女”“魅力的”というキーワードも思い浮かべるかもしれない。ヴィジュアル面は今さら言うまでもなく、大人びた一面を持ちつつ、後輩と一緒にはしゃいでしまう無邪気さを兼ね備えている魅力的な雅ちゃんは、そういう意味でもマリオンがはまり役だろう。なお、余談だが、会見で記者からの質問を受ける際に、舞台上の出演者は軽く会釈をするのだが、雅ちゃんはひとり、ほかのメンバーよりも気持ちゆったりとした会釈を見せていた。立ち居振る舞いからも役柄に入りきろうという普段の努力の賜物であると同時に、その姿はなんとも優雅。言い換えるなら、実に雅やかであった。

キャプテン・清水佐紀とともに双剣でダイナミックな立ち回りを披露した徳永千奈美は、「ハロルドは女の子なんですけど、すごくカッコいい生き方をしていて。いつもは歌って踊っている私なんですけど、今回の舞台では、いつもと違う私に注目していただけたら嬉しいです。」と、アピールする。

アネモネとバイオレットを演じるスマイレージ・中西香菜は「(初日に演じる)アネモネは、酒場を経営していて、自分では大人っぽいとか冷静な女の子と思っているんですけど、ほかの人から見たら、しっかりしてないというか、ちょっとズレてる部分がある、そんな女の子です。今回、初めての舞台なので、みんなに迷惑をかけないように頑張っていきたいと思います。」と、コメント。初々しい中西とペアになるBerryz工房・須藤茉麻は、女優経験も豊富。「バイオレットは元気で、シリアスなシーンでも空気が読めず、空回りしてしまうことが多いんですが、観に来てくださった皆さまに愛される役になればいいなと思っています。」

「同じ役を演じることになる相手にライバル心は?」という記者からの質問に、菅谷とペアになる和田彩花は「先輩なのでライバル心はないんですけど、手を合わせるシーンがあって、この前、つい可愛くてずっと見てたら台詞忘れちゃって。」と、なんともあやちょらしい発言で周りを驚かせる。一方、「(キャスト)みんながライバル視してくる。」と、なぜかライバル心を剥き出しにするのが、ももち(先に述べたように、彼女は“シングルキャスト”である)。そしてももちは続けて、

「BS-TBSさん(とアップフロントプロモーション)が主催ということで、舞台では『我らジャンヌ』がよかったよね、と。『半沢直樹』さんと張れるくらい頑張りたいなと思ってまして。そうですね。今回は、「TRUTH」と「REVERSE」の2作観れば“倍返し”。そして「MARBLE」も観れば“3倍返し”になるので、その辺もみなさんに注目していただけたらな、と思います。」

と、キャッチーなキーワードを自身のコメントに強引にねじ込んでいく。あまりにも大胆なやり方に周りのメンバーは苦笑。ただ、Buono!など昔から比較的ももちと一緒にいる機会が多い雅ちゃんだけは、そんなももちのコメントがツボに入ったのか顔を隠して爆笑している。

その後も続くももちへの質問攻勢。「ももちが苦労した点は?」や「中世にツインテールはあったのか?」「仲間はずれ感はなかったのか?」といった内容に対し、「ももち、あの、声は素敵で美声だねってよく言われるんですけど、滑舌のほうが若干悪かったりもするので、その辺の発声方法とかは大変だったです。」「ツインテール? あ、ももち結びですか? これはですね、ももちの知っているフランスの史実には残されてはいると思うんですけど、実際、舞台ではどうなっているのか。観てのお楽しみ。」「なかったとは言い切れない部分はありまして。(稽古中)「二人一組になって練習して」とか、おとももち感が強かったんですけど、(シングルキャストだから)すごい孤立しているので、お客様全員と私が対になっておとももちという気持ちで頑張ってます。(丹羽プロデューサー:どうツッコんでいいのかよくわからないんですけど……) この空気大好きです。」と、鉄の心臓で次々に打ち返していくももち。その後ろで声を殺しての笑いが止まらない雅ちゃんであった。

また、苦労した点を訊かれて、ミュージカルは普段のライブとは異なり、リズムなどを身体でとることができないので歌に苦戦したという菅谷梨沙子と、これにプラスして、役が変わると歌詞も音程も変わって覚えることが多くて「ちょっと嗣永さんは(シングルキャストで)いいな、って思います」という和田彩花。また、「今こそジャンヌの再来を」を好きな歌と挙げつつ、「そこで私の大好きな熊井友理奈さんを突き飛ばさないといけないシーンがあって、そこはいつも心の中では泣きそうになりながらやっているので、本番では思いっきり。私生活で熊井さんを突き飛ばすことは死ぬまでないと思いますので、思いっきりやりたいなと思います。」と、福田花音。

そんな見どころ満載なミュージカル・ゲキハロ第13回公演「我らジャンヌ~少女聖戦歌劇~」は、東京公演が9月16日まで。9月22日と23日は場所をシアターBRAVA!に移して大阪公演が行なわれる。

そして、2006年から始まった劇団ゲキハロは、プロジェクト当初の目標だった観客動員数10万人を2013年初めに達成し、今回のゲキハロ第13回公演「我らジャンヌ~少女聖戦歌劇~」をもってシリーズ終了。ハロー!プロジェクトの演劇公演は、来春、新しい形での展開が予定されている。

text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)
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◆ゲキハロ第13回公演「我らジャンヌ~少女聖戦歌劇~」(劇団プロジェクト)
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