【インタビュー】河村隆一、「僕の人生は音楽だしロックだし、僕の生まれ育った場所はLUNA SEAだからね」
河村隆一のニュー・アルバム、タイトルはずばり『Life』。アルバムごとにヴォーカリストとして飽く無きトライを重ねてきた彼が、本作ではソロ・ワーク史上初めて自分の音楽人生を形成してきたルーツミュージックである“ROCK”と対峙。いま、河村隆一が我々に提示する大人のロックの在り方とは……。
◆河村隆一~拡大画像~
■自分の中のロック・クラシックへのオマージュというのか
■自分が大好きだったロックをちゃんとやりたいなと思って
──ずばり、ニュー・アルバムのコンセプトは?
河村隆一(以下、河村):今まで僕はLUNA SEAでやらないことばかりを追いかけて、冒険心を持ってソロのアルバムのコンセプトを決めてきていたのですが、今回はLUNA SEAではたぶんこういうものはやらないけれどもLUNA SEAにすごく近いところにある、そういった匂いのするアルバムを作ってみたいなと思ったんです。大体のアーティストが本来バンドからソロになるとき、まずこういうものを作ると思うんです。
──自分のバンドとはちょっとは違うけれども、同じようなロックの匂いがする作品を。
河村:ええ。それを僕はアルバム10作目にして作ってみた感じですね。
──ということは、本作はLUNA SEAをやってるRYUICHIに一番近いアルバムともいえる。
河村:これまでソロでは、(LUNA SEAと)劇的に違うものを作ってきたから“全然違う人?”って思われていたと思うんですが、今回は『Life』というタイトルですから、そうなりましたね。
──だって、タイトルが人生ですもんね。
河村:僕の人生は音楽だしロックだし、僕の生まれ育った場所はLUNA SEAだからね。
──なぜこのタイミングでこのようなものを作ろうと思ったんでしょうか?
河村:ソロってね、冒険しようと思えば何でもできる。ここでもう一度自分が好きだった自分の中のロック・クラシックへのオマージュというのかな。U2やDAVID BOWIE、DOORSとかTHE BEATLESとか。自分が大好きだったロックなテイストを持った楽曲をちゃんとやりたいなと思って。さらに言うと、僕はバンド(LUNA SEA)を結成してから来年で25年が経つんです。その25年間の活動の中でも、ジャンルってリバイバルしながら何度も巡ってるんですよ。また80年代のロックがきたぞとか、ファッションと同じように、あの当時のバンドの進化版がまた出てきたりしてムーブメントは連鎖していく。だったら僕は動かないで作ってみようと思ったんです。それがこの『Life』という河村隆一が提案するロックの在り方。この作品は10年前でもこのアレンジで作れたと思うし、たぶん10年後でもこのアレンジでいけると思うんです。
──つまり、ロックでもベーシックな作品作りを心がけたと。なんでそうしようと?
河村:AEROSMITHもTHE ROLLING STONESも音色とかそんなに変えてないじゃない? 変えてないことによって古く感じるときもあれば、ものすごく新しく感じるときもあったりする。それって、血の通ったものだなと思うようになったからですね。だから、バンドのメンバーの顔、編成も見えて、生で演奏してるなっていうのが感じられて、自分の好きなギターのアプローチが全曲にまたがっていて、決して極端に変わった音色は出てこない。曲間のSEもできるだけ排除して、コード感だけで曲をつないでいって。自然な曲順の流れを重視してアルバムを作りました。特に僕はギターというものが音楽の年代を分ける指針になってると思っていて。ギター1つで何年代っぽいことをやってるなとか、ロックのジャンルって分かるんですよ。だから、今回は僕が好きなギタリスト。SUGIZO、INORANを始め、足立祐二(DEAD END)さんなどを招いてギターを弾いてもらい、僕も今回は結構ギターを弾いて。そういうギターでロックのなかでも70~80年代、90年代初頭ぐらいまでの感じを全曲に散りばめたんです。
──なるほど。そしてさらにLUNA SEAのメンバーであるSUGIZOさんとINORANさんが2人揃ってコンポーザーとしても本作に参加されているのもトピックだと思うんです。曲をオファーするにあたって隆一さんのほうからは何か提案したことはあったんですか?
河村:神戸のイベントに3人で出たとき、その楽屋で“ソロの楽曲を作って欲しいんだけど”って言ったら“いいよ”って。“どんな曲?”って聴かれたから“SUGIZOやINORANが考える河村隆一がこんなロックを歌ったらカッコいいかなっていうのを作って”といったぐらい。それで、2人から上がってきたものは、歌メロ以外のトラックはすべてアレンジまでできてたから、そこに僕が歌メロをのせて。ギターは2人とも弾いてくれました。
──彼らがLUNA SEAに持ってくる曲と今回隆一さんに持ってきた曲、そこにはどんな違いを感じましたか?
河村:たぶんね、LUNA SEAをやるときはSUGIZOもINORANもJも僕もそうだけど、自分対4人のメンバーの手癖だったり好きな音色を考えて作ってるんじゃないかなって気がする。SUGIZOが持ってくるデモテープを聴くと“なんか真矢君が叩いてる感じを出そうとしてる”って分かるからね。長く一緒にやってるから。でも、今回の場合は、僕とSUGIZO、僕とINORAN以外のメンバーは、後から適材なミュージシャンをはめていく作業だったので。だから、これは本人たちと話した訳じゃないけど、河村隆一のソロってことで発想が広がってたんじゃないかな。SUGIZOの曲なんかは(ドラムを)沼澤さんが叩いてくれたりすることによって、すごくロックでダンサブルな楽曲になっていたし。90年代のDURAN DURANってアイドルとか言われてたけど、僕にとってはすごくダンサブルでロックでカッコよかったんですよ。そういうものがこの曲にはフレーバーとして出てるかな。
──隆一さん、DURAN DURAN好きだったんですか?
河村:カッコ良かったもん。で、その頃DAVID BOWIEとかも「LET’S DANCE」出して変わってくるじゃない?
──アーバンダンスな感じにね。
河村:そうそう。DAVID BOWIEもグラムから始まっていろんなところにいく訳じゃない?
──隆一さんもまさにそういう道のりを。
河村:そうなんだよね。でも、BOWIEの新作を聴いたときに、やっぱり一番落ち着くところに戻ったんだって感じがすごくしたの。“ああ、ここに戻るんだ”って。DEPECHE MODEも聴いたけどやっぱりここなんだって思ったし。そういうものを1枚作りたいなと思った。
──それ、すごくこのアルバムを作るモチベーションになってますよね?
河村:うん、そうだね。それで、こういう僕が通ってきた道にあるロックテイストのアルバムができあがったんだと思うんです。
──ではアルバム収録曲に関して聞かせて下さい。まず1曲目の「Holy Song」。こちらはホーンをフィーチャーしたアーバンな匂いを持った楽曲に仕上がってましたが。
河村:ROXY MUSICとかDAVID BOWIEを聴き直したとき、ホーンやサックス、トランペットが形を変え色を変え入ってくるロックってカッコいいなと思って、ホーンを最後に入れたんです。この曲はギターを全部僕が弾いてるんですけど。なぜそうしたかというと、これね、メジャーなのかマイナーなのか。スケールのなかで当たってるのか当たってないのかっていうところをあの時代、ニューロマンティックとかデカダンをやってた人たちは使ってるような気がして。ギタリストじゃない僕がギターを弾けば、そういう譜面上整理されてないところも出せるんじゃないかと思って。結果、カッコいいロックになったと思います。今回、アルバムの1曲目はこういう感じでいきたかった。“今回はロックでいきますよ”というアルバムの入り口の扉としてはこういうナンバーがいいかなと思って作りました。
──その後には「Life」というアルバムのタイトル曲があって。これは隆一さんの王道ソングの一つですよね?
河村:そうですね。アコースティックギターを弾きながら作った曲なんですけど。こういう8ビートを基調とした曲って、自分の歌い癖で曲のBPMよりちょっと前でサビを歌ってしまうんですよ。歌をドラムとぴたっと合わせると、僕のこういう8ビートの歌にはならないんですよね。
──そんな秘密があったんですね。さらに、隆一さんが歌う8ビートって、この曲もそうなんですけど、サビの歌声にキラキラしたものが混ざってるように聴こえるんです。そこにはどんな隠された秘密が?
河村:あのね、こういう曲は“楽しい曲なんだよ”って思いながら歌うことが大事なんだなって、この曲を歌いながら改めて思いましたね。例えば「女優~枯れ葉に落ちる優しい雨のように~」を歌うときは、そのキラキラをできるだけ抑えようとして歌うんですよ。そういう意識一つで歌は変わるんです。
◆インタビュー続きへ
◆河村隆一~拡大画像~
■自分の中のロック・クラシックへのオマージュというのか
■自分が大好きだったロックをちゃんとやりたいなと思って
──ずばり、ニュー・アルバムのコンセプトは?
河村隆一(以下、河村):今まで僕はLUNA SEAでやらないことばかりを追いかけて、冒険心を持ってソロのアルバムのコンセプトを決めてきていたのですが、今回はLUNA SEAではたぶんこういうものはやらないけれどもLUNA SEAにすごく近いところにある、そういった匂いのするアルバムを作ってみたいなと思ったんです。大体のアーティストが本来バンドからソロになるとき、まずこういうものを作ると思うんです。
──自分のバンドとはちょっとは違うけれども、同じようなロックの匂いがする作品を。
河村:ええ。それを僕はアルバム10作目にして作ってみた感じですね。
──ということは、本作はLUNA SEAをやってるRYUICHIに一番近いアルバムともいえる。
河村:これまでソロでは、(LUNA SEAと)劇的に違うものを作ってきたから“全然違う人?”って思われていたと思うんですが、今回は『Life』というタイトルですから、そうなりましたね。
──だって、タイトルが人生ですもんね。
河村:僕の人生は音楽だしロックだし、僕の生まれ育った場所はLUNA SEAだからね。
──なぜこのタイミングでこのようなものを作ろうと思ったんでしょうか?
河村:ソロってね、冒険しようと思えば何でもできる。ここでもう一度自分が好きだった自分の中のロック・クラシックへのオマージュというのかな。U2やDAVID BOWIE、DOORSとかTHE BEATLESとか。自分が大好きだったロックなテイストを持った楽曲をちゃんとやりたいなと思って。さらに言うと、僕はバンド(LUNA SEA)を結成してから来年で25年が経つんです。その25年間の活動の中でも、ジャンルってリバイバルしながら何度も巡ってるんですよ。また80年代のロックがきたぞとか、ファッションと同じように、あの当時のバンドの進化版がまた出てきたりしてムーブメントは連鎖していく。だったら僕は動かないで作ってみようと思ったんです。それがこの『Life』という河村隆一が提案するロックの在り方。この作品は10年前でもこのアレンジで作れたと思うし、たぶん10年後でもこのアレンジでいけると思うんです。
──つまり、ロックでもベーシックな作品作りを心がけたと。なんでそうしようと?
河村:AEROSMITHもTHE ROLLING STONESも音色とかそんなに変えてないじゃない? 変えてないことによって古く感じるときもあれば、ものすごく新しく感じるときもあったりする。それって、血の通ったものだなと思うようになったからですね。だから、バンドのメンバーの顔、編成も見えて、生で演奏してるなっていうのが感じられて、自分の好きなギターのアプローチが全曲にまたがっていて、決して極端に変わった音色は出てこない。曲間のSEもできるだけ排除して、コード感だけで曲をつないでいって。自然な曲順の流れを重視してアルバムを作りました。特に僕はギターというものが音楽の年代を分ける指針になってると思っていて。ギター1つで何年代っぽいことをやってるなとか、ロックのジャンルって分かるんですよ。だから、今回は僕が好きなギタリスト。SUGIZO、INORANを始め、足立祐二(DEAD END)さんなどを招いてギターを弾いてもらい、僕も今回は結構ギターを弾いて。そういうギターでロックのなかでも70~80年代、90年代初頭ぐらいまでの感じを全曲に散りばめたんです。
──なるほど。そしてさらにLUNA SEAのメンバーであるSUGIZOさんとINORANさんが2人揃ってコンポーザーとしても本作に参加されているのもトピックだと思うんです。曲をオファーするにあたって隆一さんのほうからは何か提案したことはあったんですか?
──彼らがLUNA SEAに持ってくる曲と今回隆一さんに持ってきた曲、そこにはどんな違いを感じましたか?
河村:たぶんね、LUNA SEAをやるときはSUGIZOもINORANもJも僕もそうだけど、自分対4人のメンバーの手癖だったり好きな音色を考えて作ってるんじゃないかなって気がする。SUGIZOが持ってくるデモテープを聴くと“なんか真矢君が叩いてる感じを出そうとしてる”って分かるからね。長く一緒にやってるから。でも、今回の場合は、僕とSUGIZO、僕とINORAN以外のメンバーは、後から適材なミュージシャンをはめていく作業だったので。だから、これは本人たちと話した訳じゃないけど、河村隆一のソロってことで発想が広がってたんじゃないかな。SUGIZOの曲なんかは(ドラムを)沼澤さんが叩いてくれたりすることによって、すごくロックでダンサブルな楽曲になっていたし。90年代のDURAN DURANってアイドルとか言われてたけど、僕にとってはすごくダンサブルでロックでカッコよかったんですよ。そういうものがこの曲にはフレーバーとして出てるかな。
──隆一さん、DURAN DURAN好きだったんですか?
河村:カッコ良かったもん。で、その頃DAVID BOWIEとかも「LET’S DANCE」出して変わってくるじゃない?
──アーバンダンスな感じにね。
河村:そうそう。DAVID BOWIEもグラムから始まっていろんなところにいく訳じゃない?
──隆一さんもまさにそういう道のりを。
河村:そうなんだよね。でも、BOWIEの新作を聴いたときに、やっぱり一番落ち着くところに戻ったんだって感じがすごくしたの。“ああ、ここに戻るんだ”って。DEPECHE MODEも聴いたけどやっぱりここなんだって思ったし。そういうものを1枚作りたいなと思った。
──それ、すごくこのアルバムを作るモチベーションになってますよね?
河村:うん、そうだね。それで、こういう僕が通ってきた道にあるロックテイストのアルバムができあがったんだと思うんです。
──ではアルバム収録曲に関して聞かせて下さい。まず1曲目の「Holy Song」。こちらはホーンをフィーチャーしたアーバンな匂いを持った楽曲に仕上がってましたが。
河村:ROXY MUSICとかDAVID BOWIEを聴き直したとき、ホーンやサックス、トランペットが形を変え色を変え入ってくるロックってカッコいいなと思って、ホーンを最後に入れたんです。この曲はギターを全部僕が弾いてるんですけど。なぜそうしたかというと、これね、メジャーなのかマイナーなのか。スケールのなかで当たってるのか当たってないのかっていうところをあの時代、ニューロマンティックとかデカダンをやってた人たちは使ってるような気がして。ギタリストじゃない僕がギターを弾けば、そういう譜面上整理されてないところも出せるんじゃないかと思って。結果、カッコいいロックになったと思います。今回、アルバムの1曲目はこういう感じでいきたかった。“今回はロックでいきますよ”というアルバムの入り口の扉としてはこういうナンバーがいいかなと思って作りました。
──その後には「Life」というアルバムのタイトル曲があって。これは隆一さんの王道ソングの一つですよね?
河村:そうですね。アコースティックギターを弾きながら作った曲なんですけど。こういう8ビートを基調とした曲って、自分の歌い癖で曲のBPMよりちょっと前でサビを歌ってしまうんですよ。歌をドラムとぴたっと合わせると、僕のこういう8ビートの歌にはならないんですよね。
──そんな秘密があったんですね。さらに、隆一さんが歌う8ビートって、この曲もそうなんですけど、サビの歌声にキラキラしたものが混ざってるように聴こえるんです。そこにはどんな隠された秘密が?
河村:あのね、こういう曲は“楽しい曲なんだよ”って思いながら歌うことが大事なんだなって、この曲を歌いながら改めて思いましたね。例えば「女優~枯れ葉に落ちる優しい雨のように~」を歌うときは、そのキラキラをできるだけ抑えようとして歌うんですよ。そういう意識一つで歌は変わるんです。
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