【インタビュー】THE BACK HORN、この時代を生き抜くために──。ニューシングル「バトルイマ」とシングルB面を集めた2枚組CDをリリース

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これまでに2度の日本武道館ワンマンを大成功に終わらせ、今年で結成15周年を迎えたTHE BACK HORN。9月18日(水)にリリースするニューシングル「バトルイマ」は真摯な音を鳴らし続けてきたバンドが、カオスな時代に放つ強力なサヴァイバルソング。“生と死”に向き合い、曲を生み出し続けたバンドだからこその熱いメッセージが胸を打つ。同時にシングルのB面を集めた2枚組CD『B-SIDE THE BACK HORN』もリリース!! ひたむきな姿勢で走り続けた15年。タフになった4人の“イマ”を聞いた。

■共有したいという想いが今まで以上にこめられている。

──シングル「バトルイマ」は生きることに向かい合ってきたTHE BACK HORNらしい熱い曲でありながら、メロディや歌詞、サウンドのアプローチに新しさも感じたんです。山田さん作詞、作曲ですが、どんなふうに選ばれた曲ですか?

山田将司(以下、山田):曲作りシーズンにメンバー全員が「これこそTHE BACK HORNだ」っていう曲を各自1曲ずつ持ってこようって話していて、デモを元にみんなで形にして演奏した曲を並べて選ばれた曲ですね。

──山田さんは、どうTHE BACK HORNを解釈して「バトルイマ」を作ったんですか?

山田:俺が思ったのは、当たり前だと思って生きていたことがそうじゃなかったりする時代の中で、戦っていかなきゃいけないなって。まだ知らないことばかりだけど、個人レベルで気づいていくことで回避できる闇がいっぱいあるなと思うし、氾濫している情報にのみこまれて苦しむことも避けることができるんじゃないかって。

──“迫りくる闇の奴隷にはなるなよ”って歌っていますけれど、今と戦うという意味で付けたタイトル?

山田:この時代を生き抜いていくためのサバイバルですね。自分で見きわめて、魂に牙をむいて戦っていかなきゃならないっていう。自分自身にも言っている歌詞だし、「あきらめないで行こうぜ!」っていう熱い想いを音楽を通して伝えたかったんです。

菅波栄純(以下、菅波):ギターはヘヴィーな感じのチューニングなんだけど、コードに広がりがあるのがいいなって。重戦車のようなリズムが基本で、軽やかに前にズンズン進んでいく場面もあって、サビの“今!”って繰り返されるところで世界が力強く広がっていく。サウンドのうねりといい、ストレートな歌詞といい、カッコいい曲ができたなと思いました。

岡峰光舟(以下、岡峰):山田が作ってきた曲の原型を聴いたときから、イントロの“ウォーウォー”っていうところやサビの“今!”ってコーラスが印象的でしたね。そこが強い曲になった原動力でもあるのかなと思ったぐらい。最初からこの曲はバンドだけでは完結しないなっていう感覚がありました。お客さんをひっくるめてライヴ空間全部が包まれていきそうな曲ですね。

松田晋二(以下、松田):この曲の想いはきっと伝わるだろうし、ライヴできっと一緒に歌ってもらえるだろうなって。共有したいっていう気持ちが今まで以上に込められているから、これまでいろんな曲をリリースしてきたけど、演奏するたびに分かち合える曲になっていきそうな気はしますね。この曲に向かって、みんなが真ん中に集まっていくようなイメージです。

■生きて存在していること自体を讃えたかった

──カップリングの「雨に打たれて風に吹かれて」はイントロの重厚感からしてTHE BACK HORNらしい。

山田:これは前回のアルバム『リヴスコール』を作っているときからあったんですけど、そのときは収録されなくて、足場を失っていた曲です。

菅波:(笑)足場って。不安だね(笑)。

松田:当時、メンバーみんなで作ったんですけど、パワーを放っていた曲だったので、これをもう1回磨いていったら、さらにスゴイ曲になりそうだなって。2年ぐらい前に生まれた曲だっていうのも何かしら理由があると思うし。

菅波:リフがカッコいいよね。光舟が考えたんですけど。

岡峰:原型はもっと浮遊している感じだったんだけど、オクターブ下げたらパンチが出てきました。

菅波:ヘヴィーになったね。

松田:歌詞は仮で書いていたものを元に完成させていったんだけど、あらためて自分の詞を見たら、2年前に言おうとしていたことと今言いたいことは繋がってるなって。当時、強くあるってどういうことなんだろう? 生きてる実感ってどういうことなんだろう? って考えていた時期があったんだけど、結局、心臓が動いているとか、神秘的なところがいちばん力強いんじゃないかって。「こういう姿勢で生きていくんだ」っていう譲れない信念も強さだけれど、もっと根源的なところ……今、この場所にいるんだっていう存在している力強さを讃えたかった。

──2年前というと、震災から間もない時期ですよね。

松田:そうですね。あのときの想いを曲調も相まってまた違う世界観で描けたのが良かったですね。

──「バトルイマ」も「雨に打たれて風に吹かれて」も共通したメッセージが流れていると感じたんですよね。

菅波:存在そのものを讃えたいっていう気持ちは両方の曲にありますね。誇らしく。

山田:心臓だけはずっと鳴り続けてるんだから、負けてないって。生きてるんだから、大丈夫だから、自信持って行こうぜっていう。「雨に打たれて風に吹かれて」は世の中にあらがうこともできなくて部屋にこもりっぱなしの弱いヤツが、部屋から夕日を見たことによって少しずつ生きていることを実感して、最後には自分の心臓の音しか聞こえないほど高揚していくっていう。その生きてる実感を表現したいと思って歌っています。

──そして、今回のシングルはライヴDVD付きのスペシャル仕様。インディーズ時代のファーストアルバム『何処へ行く』を完全再現したライヴ映像が収録されてるんですよね。そもそも、こういうライヴをやろうと思ったのはなぜですか?

松田:ライヴ自体は、今年の1月に行なわれたスピードスターレコーズの20周年イベントに出演したときの映像なんですよ。デビューから一緒にやってきたレコード会社なので、特別なライヴにしたいっていう想いがあって、「じゃあ、出会うキッカケになったインディーズ時代のアルバムを全曲、そのまま演奏するのはどうだろう?」って話になった。スタッフもお客さんも喜んでくれて、実際、貴重なライヴになったので、見に来られなかった人も含めて映像で見てもらえたらなって。で、ライヴDVDと新曲が合体というシングルでどうでしょう?と(笑)。

──結成15周年だし?

菅波:それは結果的にですけどね。

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