日本の音楽業界まるはだか(?)『米国音楽』編集長のデビュー小説

ポスト
『米国音楽』の創刊者/編集長であり、フィッシュマンズの評伝『フィッシュマンズ 彼と魚のブルーズ』の著者である川崎大助が、処女作となる長篇小説『東京フールズゴールド』を9月26日に刊行した。

◆『東京フールズゴールド』画像

この小説『東京フールズゴールド』は、人生崖っぷちの元ロックスター(36歳)が、失った愛と誇りを取り戻すため、業界最大手レコード会社を相手にしかける一大詐欺をテーマに繰り広げられる、新時代の青春エンターテインメントだ。業界ゴロ、芸能やくざ、いかさま不動産業者、ネット界の超人DJ、レコード探偵、美少女、旧ソ連軍医、外国人犯罪者…現在の東京、現実と酷似した音楽業界の内幕を出発点に、全編にわたり、狂おしい熱情がたぎる様が描かれた熱い作品となっている。装幀を手掛けたのは大御所の鈴木成一で、タイトルにふさわしく「金の箱」のような仕様が特徴的だ。

宇多丸(RHYMESTER)、カジヒデキといった現役ミュージシャンを筆頭に、『ぼくはプレスリーが大好き』の著者でもあるベテラン作家の片岡義男、ロンドンと東京を拠点に活動するアーティストのSHOKO、じゃがたらやフレンチ・ラップにも詳しい文芸評論家の陣野俊史といった面々が、熱い推薦コメントを寄せている。

「この作品はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係……ホントにないのかなぁ?!この国の音楽ギョーカイを知り尽くした著者ならではの、読み出すと止まらない地獄のライド!」──宇多丸(RHYMESTER)

「90'sのマンチェや渋谷系などのロックンロール物語と、奇想天外なヴァイオレンス・アクションの融合は映画級の面白さ! こんなにスリリングで大笑い出来る音楽小説を、僕は読んだ事がない!」──カジヒデキ

「「俺」という一人称が40万字の長編を果敢に駆け抜ける。デビューと同時にカリスマ、ということもあり得ます。」──片岡義男(作家・写真家)

「「いい曲というのは、記憶と関係がある。」この小説は、まるで音楽に夢中だった青春の頃の“裏側”を覗いているかのような記憶が目に浮かび、その錯覚にドキドキしました!」──SHOKO

「主人公は最低で最高のギタリスト。苛烈な音楽業界を泳ぐ、魂の物語!」──陣野俊史(文芸評論家)

「リアルな音楽業界」は、米英のヒット映画や小説において題材になることも多い。ここ日本で、それを初めて描き切ったと評される本作は、音楽ファンならずとも「読み出したら止まらない」という、痛快なデビュー作となったようだ。

なおインディー・マガジン『米国音楽』は、小沢健二、小山田圭吾を擁するフリッパーズ・ギターの楽曲を付録ソノシートに収録したファンジン『英国音楽』を前身として創刊された雑誌で、DIY精神あふれる誌面作りと付録のコンピCDを特徴とし、日本、米英はもとより、北欧をはじめ全世界のインディーズバンドの記事および楽曲を堪能できる雑誌として、1990年代の「渋谷系」ブームの一翼を担った雑誌だった。

川崎大助『東京フールズゴールド』
2013年9月26日発売
1,995円
河出書房新社 978-4-309-02220-8

◆『東京フールズゴールド』オフィシャルサイト
この記事をポスト

この記事の関連情報