【インタビュー】SCANDAL、5thアルバム『STANDARD』完成「日常の目に見える景色を歌おうということが答えでした」

ツイート

■アンサンブルが“これで合うのかな?”と思っても
■それがポイントになってて、想像がつかない領域に行くなと──MAMI

──先行シングル「OVER DRIVE」は中田ヤスタカさんとのコラボも話題ですが、曲を作ってもらうきっかけは何だったのですか?

HARUNA:アルバムを作る過程で、すごく新しいこととか、もっと面白いことができないかって考えていたんです。で、「中田さんと一緒に作ったらどうなるだろう」って好奇心から始まりました。もともと私たちはPerfumeさんやきゃりー(ぱみゅぱみゅ)ちゃんとかを手掛けている中田さんの曲が大好きだったんですよ。特に歌詞とメロディがすごく響くんです。

──ということはSCANDALからラブコールを?

HARUNA:以前、きゃりーちゃんのイベントに出させてもらったことがあって、その時に中田さんに「一緒にやりたいです」と直談判しました(笑)。そうしたら、「まずはご飯に行きましょう」ってことになり。世間話をするようなラフで楽しい時間だったよね。

MAMI:うん。そのお食事会が、この夏の少し前くらいのことで。

HARUNA:そうそう。そのとき、「ハードでカッコいい曲がいいなと思ってます」って希望を伝えたりもして。で、後日、出来上がったデモを聴いたら、まったく予想を覆すような曲だったのでビックリでした(笑)。意表を突かれたと思いつつ、食事では私たちの結成の経緯からお話したので、そこから感じたものを曲にしてくれたんだなって。

──中田さんが生バンドのプロデュースを手掛けるのは初めてですよね。レコーディングはこれまでのSCANDALとは異なるものがありました?

HARUNA:いろいろと新しかったですね。通常はバンドでベーシックを録って、そこにギターソロとかの音を重ねていくんですけど、今回は中田さんが弾いた鍵盤に合わせて、まず歌を録るところから始めたんですよ。

──え。通常のレコーディングでは、歌はオケができた後に入れますよね?

HARUNA:ところが、オケがまったくできてない状態で(笑)。メロディに伴奏が付いてるデモを聴きながら歌ったんです。楽器は、その後に録ったんですよ。

──メロディも歌詞もできていたわけですから、中田さんの頭の中には完成形が見えていたんでしょうね。

HARUNA:そうだと思います。でも、楽器演奏も歌も、どこが使われるか全然分からない状態で録っていったんですよ(笑)。出来上がるまで、とにかく未知なことばかりでした。中田さんのサウンドを取り入れつつ、自分たちのバンドらしさも最大限に引き出してもらえて、すごく新しい曲になりました。

RINA:私はメインで歌うことが少ないから、最初から最後まで通して、1人レコーディングで歌うのが初めての経験で。実際に歌うことで、この曲のすごさを改めて感じました。もっとハードな曲をイメージしてたのもあって、最初は少し違和感もあったんですけど、普段は歌わないRINAですら歌えるすごくキャッチーさが魅力だと思うし、一般の人にもカラオケとかで親しんでもらえそうだなって、すごく好きな一曲になりました。

──歌の後にドラムを録るというレコーディングはどうでした?

RINA:もう未知のことばかりでした(笑)。最初のデモに打ち込みのリズムは入っていたんですけど、ドラムフレーズみたいなものはまったくなかったんですよ。レコーディングではすべてフリーで、8小節や16小節に区切って叩いたんです。

──その場でアドリブっていうことですか?

RINA:全部そう(笑)。「ずっとメロを流すから、そこにフィルをフルで入れてみて」って言われたりしながら、どこが使われるかわからない状態でずっと叩いてましたね(笑)。私は普段、譜面に書き起こしたりして事前にきっちりイメージを固めてからレコーディングに臨むタイプなんです。だから、「その場で考えて」って言われて、何をどう叩けばいいんだろうってめっちゃドキドキしてました(笑)。デビューから5枚のアルバムを作ってきて、その時々で自分たちがやりたいことをちゃんとやってきた。その蓄積があったから叩けたのかなって思います。
──ギターのレコーディングもアドリブに近いものが?

MAMI:デモに入っていたフレーズを覚えてレコーディングに臨んだんですけど、その場でめちゃくちゃ変わりましたね(笑)。ボクのギターは「ベースと一緒にまるまる弾いてみて」って言われてTOMOMIと一緒に録ったんです。大体はそのときにレコーディングしたものが採用されたんですけど、所々で自分だったら「ここは上に行くな」と思うところで、中田さんは「あえて下に行ってみよう」って言ったりするんですね。ボクのギターとHARUのギターのアンサンブルが“これで合うのかな?”と思っても、録ったものを後で聴き返すとそれがポイントになっていたりして。想像がつかない領域に行くなぁって。

HARUNA:そうだね。中田さんもバンドのプロデュースは初めてだったので、アレンジャーとしてnishiーkenさんにも入っていただいて一緒にアレンジを作りながら、中田さんが途中でアイデアを入れていくという感じだったんですよ。「ここは音がぶつかってるんだけど、それだからカッコいい」って、普段ならNGになることがOKになったりしましたね。ベースはデモにしっかり入っていたんだよね。中田さんは普段からベースラインを打ち込みで作っているみたいで。

TOMOMI:そう、だからみんなのようには大変じゃなかったです(笑)。レコーディングはその場で変わったりすることも所々あったけど、最初から最後まで通して弾いて。私は普段のレコーディングに一番近い状態で録れたんじゃないかな。

──SCANDALにとっていい経験となったようですね。

RINA:刺激的な体験でしたが、お互いにリスペクトがあったから、結果いい形になりましたね。私たちは中田さんの作るメロディを活かしたいと思ったし、中田さんもSCANDALというバンドの音を活かしたいという気持ちを持ってくださったからこそできた一曲だと思います。

◆インタビュー(3)へ
◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をツイート

この記事の関連情報