試写会に足を運び、メタリカの映画『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』を観た。結論から言えば、私が認識している“映画”というものではなかった。もちろんいい意味で、だ。

◆映画『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』予告編

2004年、メタリカはドキュメンタリー映画『メタリカ 真実の瞬間』を公開し、米国にて122万ドルもの興行収入を記録しているが、彼らは同じような作品を作るつもりはないと明言していた。確かに『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』はドキュメントではない。だからといってロックバンドが出演する単なるエンターテイメント映画でもない。映画の大半は演奏シーンが占めているが、だからといってライブ映画でもない。

この作品を論じるにも、私の知るかぎりにおいて『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』は過去に例がない完全なる新ジャンルだ。私の理解では、「3D映画というプラットホームを使った、ロックバンドが放つひとつの作品」だった。これまでアーティストの表現手段には大きく2つ…楽曲(アルバム、シングルなどの作品)とパフォーマンス(ライブ)があるわけだけど、この作品は、そのどちらでもない、ミュージシャンの新たな表現方法のひとつを明示した素晴らしく画期的な作品だ。

「サウンド」と「パフォーマンス」と「映像」と「ストーリー」という表現手段を武器に、役者の演技を絡ませながら、メタリカの精神性、作品の持つ世界観、そして何よりメタリカというバンドが世に打ち出すメッセージを多面的に表現した、かつてないメタリカの新作というべき作品が『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』と捉えると全てがすんなりと飲み込める。

通常のアルバム制作よりも、予算や時間、労力もかかるであろうが、サウンドのみならず映像を表現手段に取り込んでメタリカの存在を明らかにする『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』には、今アーティストが見定めるべき新しい光が輝いているように見える。楽曲に対しては1曲ずつミュージッククリップという映像作品が存在するが、『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』は、楽曲ではなく現時点のメタリカという存在自体のミュージッククリップと捉えるといいのかもしれない。

映画宣伝のキャッチコピーには「世界最強のロックバンドが仕掛ける、未体験の革命的3Dライブアクション・エンタテイメント」とある。ありがちな誇大広告のように流れてしまいがちなキーワードが踊っているが、未体験であり革命的であることに偽りはない。

この映画がとてつもなくカッコイイのは、メタリカ自身がえげつないほどにカッコイイからだ。映像の迫力が上滑りすることもなく、ギミックが空回りすることもないのは、ひとえにメタリカの存在の硬質さにある。メタル嫌いにはつらいかもしれないが、ロック好きを自認するのであれば、あるいはあなた自身が表現者なのであれば、『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』は観ておいた方がいい。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

映画『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』
[メタリカの激レアLIVE]と[ド迫力のアクション映画]が完全融合。極限興奮×2!未体験の革命的3Dライブ・アクション・エンタテインメント!
1983年のデビュー以来、ロック界に革命を起こし続け、王者として君臨する世界最強のバンド、メタリカ。絶えず革新的な表現に挑戦し続ける彼らが2013年に仕掛けるのは、映画!しかも、この映画のためだけに開催された、ベスト・セットリスト、ベスト・パフォーマンスといっても過言ではない激レアのLIVEと、3Dの迫力をフル活用したアクション映画がかつてない融合をみせる、まさにメタリカだからこそ成し得た、ロックファン、映画ファン必見の、唯一無二の映画だ。
※ストーリー
極限の興奮状態にあるメタリカのライブ会場。観客の怒号がとどろく中、ツアーのローディーであるトリップは、メンバーにとって、とても貴重なカバンをライブ終了までに取ってくるよう依頼される。ついに始まるド迫力のライブ!タイムリミットはライブ終了までの90分!トリップは地図を片手に街へ飛び出すが、そこには恐るべき世界が待ち構えていた…
出演:デイン・デハーン『アメイジング・スパイダーマン2』『クロニクル』/メタリカ(ジェイムズ・ヘットフィールド、ラーズ・ウルリッヒ、カーク・ハメット、ロバート・トゥルージロ)
監督:ニムロッド・アーントル『プレデターズ』『アーマード 武装地帯』 
配給:ポニーキャニオン
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サウンドトラック『メタリカ/スルー・ザ・ネヴァー』
UICN-1046,7
metallica-never.jp/
2013年11月22日(金) 全国ロードショー in 3D