スティング、「音楽に新鮮な驚きを注入する」

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オリジナル・アルバムとしては10年振りとなるスティングの新作『ザ・ラスト・シップ』国内盤が10月2日に発売された。スティング自身の故郷を舞台にしたミュージカル『ザ・ラスト・シップ』の為に書き下ろした最新作だ。

◆スティング画像

このミュージカルは、ウォールセンドのスワン・ハンターズ造船所の影で育った彼の思い出に基づき、帰郷と自己発見を中心的テーマに据えて描かれた作品だ。彼の個人的な思い出は、人間関係の複雑さ、時の経過、そして家族や地域社会の重要性という普遍的な真理を照らすもので、我々が生きる現代で影響を与えられるような複雑な寓話を形成しているという。

スティングが制作にほぼ3年を費やしたこの舞台作品は、2014年にブロードウェイで公開となる予定だ。長い時間を経てニューカッスルとそのコミュニティ、更には開発までを形づくるだけではなく、影を落としてきた1980年代の造船産業の終焉の物語となっている。

アルバム『ザ・ラスト・シップ』は、ロブ・マテス(スティング、エリック・クラプトン、エルトン・ジョン、ルー・リード、カーリー・サイモン)がプロデュースし、ドナル・ホジソンがエンジニアリングとミックスを担当している。スティング自身が新作について語った映像が公開されているが、下記がその翻訳文となる。

   ◆   ◆   ◆

このアルバムに収められた歌、音楽を、僕は、戯曲のためのものとして書いた。物語は故郷を舞台にしたもの。イングラング北東部の、造船業が盛んだった町だが、時代の変化のなかで、造船所で働く人たちは解雇されていく。父と息子の衝突、和解。そんな物語が進行していき、町の司祭が、なんとか彼らを救おうと決意する。自分たちで、自分たちのために船を造ってみないか、と、持ちかける。世界に向けて船出するために。馬鹿げた話だけど、それは、象徴的な行為なんだ。なにか象徴的なものというのは、ときに、とても強い力を持っている。

この曲はパブで楽しんでいる感じで書いた。ビールを飲みながら、楽器を弾いたり、歌ったり。その雰囲気をスタジオで再現したんだ。このアルバムで表現したかったのは、働くことの大切さを思い出してほしいということだった。それぞれの個人にとってだけではなく、地域社会にとっても大切なことだ。

僕は、これまでずっと、自分をさらけ出すタイプのソングライターだった。でも、自分とは違う人の立場で、違う人の声で、あるいは、誰かの靴を履いて書いてみたら、と思った瞬間に、この作品が歩きはじめた。自分自身を少し脇に寄せてみたのさ。だから、とても楽しんで、この仕事に取り組んでいるよ。音楽の方向性をひとつに決めてしまうタイプじゃない。僕にとって、それはとても大切なことなんだ。それに、いつも、音楽から驚きを与えられている。だから、僕自身も、音楽に新鮮な驚きを注入する。ハーモニーの動き。アレンジメント。楽器の選び方。転調。ともかく、驚きこそ、僕の音楽にとってもっとも大切な要素なんだ。予定調和的なものはつまらない。この作品は、なにかに導かれて取り組んだもの、ということもできる。僕が語らなければいけない物語、僕が語りたいと願っている物語。人々がふたたび立ち上がる物語を通じて、自分を表現しているわけさ。起きているときは、いつもこの作品のことを考えて、咀嚼している。寝ているときは、この作品のことを夢にみている。完成するまでは、このままさ。

スティング

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『ザ・ラスト・シップ』
2013年10月2日発売
日本限定SHM-CD仕様 UICS-1274 \2,600(税込)
https://itunes.apple.com/jp/album/the-last-ship-deluxe-version/id688389634

◆スティング・オフィシャルサイト
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