【インタビュー】THE NAMPA BOYS、新作『バトルズ』で攻める! “MAKEINU”たちの情熱に満ちた反逆

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さてさて、お待たせしすぎの1年と3ヶ月。メジャーシーンで右往左往して、自己肯定と自己否定の間でこんがらがって、でもやっぱり音楽への愛情は尽きることなく、だから納得がいくまでとことん自分たちと向き合って制作をした。その結果の2ndミニアルバム『バトルズ』は、無骨ながらもまっすぐな情熱に充ち満ちて、きっとずっとこの先もTHE NAMPA BOYSの基本の“き”であるに違いない。この絶対的なパワー感と暑苦しいほどのセンチメンタリズムに、老いも若きも、聴けばとことんジリジリすること請け合いだ。

◆長野から出てきたイモ小僧4人が、それを良しとしてやっているのはすげぇダセぇなと。
そういうスタイルって、THE NAMPA BOYSが求めているものとは違う


──7月8日に下北沢SHELTERで行った“NAMPAの日”(<THE NAMPA BOYS 企画「NAMPAの日~終演後は自己責任で~」>)、盛り上がりましたね。

小林聡里(Vo&G/以下:小林):単純に嬉しかったです。やっぱり今まではオープニングアクトとか、メインアクトの対バンとか、お客さん全員がTHE NAMPA BOYSに顔を向けてくれるっていうのがなかったので、うれしかったですね。

田中悠貴(B/以下:田中):でも、あそこまで盛り上がるとは全く思ってなかったです。

小林:実はけっこう不安じゃなかった?

田中:けっこうドキドキしてたね。

小林:でも、結果としてみんなこっちを向いてくれてたんで、すごい自信になりましたよね。俺、調子に乗らないようにしようと思いながらやっていたんですけど、わりとノリノリになっちゃって(笑)。『froM』のリリースから1年も経っているのにあんなにお客さんが来てくれたってことは、やっぱりライヴを重ねて、お客さんを巻き込めてきたっていう証明だと思いました。

──作品を聴く限りで思う、THE NAMPA BOYSのいいところが全部出ていました。

小林:ほんとですか! それはでも、どんな?

──照れ隠しのアホさが安定しているところとか、隠しきれない生真面目さとか(笑)。

小林:あはははは、そうですね、全部出しました(笑)。

──その“NAMPAの日”でも演奏して、会場で先行リリースした『夜明けの太陽』が収録された『バトルズ』、なんと1年3ヶ月ぶりのミニアルバムとなりました。

小林:当初は2013年4月に出そうという話だったんです。でも、そのとき集めた曲はストック放出って感じで、これを作品として残したところでその先が見えるのか、と。納得いかないなと思って、1回ナシにしたんです。俺の言葉で言うと、ぬるいってことだったんですけど、前作『froM』の焼き増しというか、なんとなくそれっぽい言葉をあてはめて、みんな求めているのはこういうことなんでしょ? みたいな感じすらあったんです。それがカッコいいと当時は思ってたんですけど、今それをやってバンドとしてカッコいいかと考えたときに、長野から出てきたイモ小僧4人が、それを良しとしてやっているのはすげぇダセぇなと思って。そういうスタイルって、THE NAMPA BOYSが求めているものとは違うなと思って、手探りしながらようやくできた1曲が、今回アルバムの頭に入っている『MAKEINU SONG』だったんです。自分たちを負け犬と称することって今までなかったけど、そこまでさらけ出せば新しい道が拓けるのかなと思って。

──カッコつけなくてよくなった、というわけでもないですよね?

小林:カッコつけ方が変わったんだと思うんです。何を良しとするかってことですよね。もっと高尚なものになりたかったというか、哲学的なことを考えてるんだぜオレ、っていうのを音楽で言うことがカッコイイとか、音楽的な了見が備わってるんだぜオレタチ、っていうのがカッコいいと思ってたんですよ。

──それが薄っぺらいことに気づいたんだ。

小林:もう、驚くほどペラッペラでしたね(笑)。

◆負け犬じゃないと言い張る負け犬はカッコイイと思うんです。
ま、結局負け犬なんですけどね(笑)。隣の芝が青く見える時点で負けてるじゃないですか


──でも、ある程度作品として形づくったものを、すべてなかったことにしてやり直すなんて、相当な覚悟がいるでしょう?

小林:でも俺個人で言えば、そういうことに慣れてるというか、1回全部をダメにしちゃうクセがあるんですよ。アレンジ変えたりすれば、もしかしたら生き返るような曲だとしても、もういいや! ってなる。

──ちゃぶ台をひっくり返すがごとく。

小林:そうそうそう、まさに(笑)。それで結果的に1年3ヶ月かかりました。

澤柳昌孝(G/以下:澤柳):まぁ、でも、ちゃぶ台ひっくり返したとはいえ、その残骸がそのへんに散らばってるんですよ。今回はその上にできた6曲だっていう感じはしてますよ。

田中:だからさほど珍しいことじゃないんです。いつもね、ふと見ると、あれ、ひっくり返しちゃったの!? っていう感じだし。

澤柳:で、3ヶ月後にまた拾いに戻ってくることもあります(笑)。

小林:あの味噌汁の具はよかったな、もう1回拾おう、みたいな。

──世間ではそれを試行錯誤と言いますね(笑)。

小林:もうちょっとうまくやれればいいんですけどねぇ。

──小林くんは、己のジリジリしたところを楽曲に投影しているわけでしょう? 表現することによって、自身は救われているの?

小林:たぶん救われてるんだと思います。だって、曲を作るって一時的にその感情を肯定するものだと思うし。ただやっぱりね、性格上、隣の芝が青く見える人間なんで、肯定は長くは続かないですけどね。

──でも、その卑屈さを失ったら、THE NAMPA BOYSではなくなる。

小林:うん、だから、それがわかった上での『MAKEINU SONG』なんですよ。

──ま、厳密には“MAKEINUじゃないSONG”だけど。

小林:そうなんです。負け犬じゃないと言い張る負け犬はカッコイイと思うんです。ま、結局負け犬なんですけどね(笑)。隣の芝が青く見える時点で負けてるじゃないですか。

──でも“全然羨ましくなんかないだもんねっ!! ”みたいな。

小林:そうそう、まさにそんな感じ。

──かわいいじゃん(笑)。

小林:うはははは!? いや、そんなかわいくないですよ(笑)。でも、なんだろ、卑屈にならざるを得ない状況を楽しめるようになったんですよ。卑屈を卑屈で終わらせないっていうか。『MAKEINU SONG』で言えば、負けを認めた後に、オレたちはちゃんと反逆できるんだぞっていう。やっぱり、そう思えるまでにデビュー後1年かかったっていうことですよね。だって、『froM』出したらすぐ人気者になれると思ってたんですもん。

──ああ、メジャーデビューの喜びもつかの間だった、と。

小林:つかの間もつかの間でしたね。 後藤:デビュー前日に大阪でライヴやったんですけど、お客さんが全部で30人弱しかいなくて、自分たちのファンで言えば8人とか?

田中:いや、もっと少なかった。

小林:その後、世の中甘くないって思わされた数々の瞬間に、どんどん自信がなくなっていったんです。でも、自信を取り戻すには、いい曲作って、いいライヴやって、お客さんをちゃんと喜ばせることしかない。そうしないと、何より自分たちが楽しくないんですよね。それってごく常識的なことだと思うし、そのために闘い続けないと。

◆インタビュー続きへ
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