【インタビュー】K.A.Z from VAMPS、『SEX BLOOD ROCK N’ROLL』と世界を語る「バンドとして育っていくには、音楽を広める作業をしていかないとね」

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世界デビューアルバムにして、ベストアルバム『SEX BLOOD ROCK N’ROLL』を引っ提げて、VAMPSがヨーロッパツアーを敢行、年末にはUS公演を控えている。いよいよ世界へ、本格的な歩みを進めた彼らの大いなる第一歩がこの『SEX BLOOD ROCK N’ROLL』だ。世界発信を目論んで制作されたアルバムは、全曲英語詞による再レコーディングが施され、演奏を一部新レコーディング、それらを最高の音質で届けるためにミックスも行われた。その制作の最終章に差し掛かった9月、< VAMPS LIVE 2013 >@ZEPP FUKUOKA公演の楽屋で行われたK.A.Zインタビューの模様をここにお届けしたい。現在進行形のVAMPSサウンドのベクトルが、K.A.Z本人の口から語られる。

◆VAMPS 画像

■ 欧米人には真似できないような独特の世界観を持った曲なら
■“これ、どこの国のバンド?”って興味を持ってもらえるかも

──『SEX BLOOD ROCK N' ROLL』はK.A.Zさんにとってはベスト盤と海外に向けての1stアルバム、どっちのほうがより気持ち的に近いですか。

K.A.Z:それはホント両方だと思う。ただ、今まで海外に向けて正式にCDの発売がされてなかったっていうところでいえば、やっぱり1stアルバムかな。もともとVAMPSは海外を視野に入れて活動したいというところで始まっているものでもあるから、逆に“ようやく”っていう感じもあるし。

──ようやく、っていうのはわかる気がします。

K.A.Z:簡単にできそうなのにできなかった歯痒さっていうのがずっとあったから。流通っていう部分では音楽の分野に関しては日本は遅れてるなって思っている。日本にもいろいろ音楽はあるのになんでもっと外に向けたアプローチを流通サイド的にしないんだろう?って。スポーツや映画ではやってるのに、音楽はすごく遅れてる気がする。そこをしっかりやっていかないと、音楽自体もそうだけどビジネスとしても発展がないじゃない? 日本国内だけである程度のビジネスにはなるかもしれないけど、レコード会社にしても外にも目を向けているほうがより強いし、バンド・サイドから見ても頼もしいと思うんだよね。

──ある意味、今作はそうした状況に一石を投じる一枚と言えるかもしれないですね。

K.A.Z:そうだね。実は簡単なことだと思うんだけど、海外の人にも聴いてもらうっていう発想が日本のシーンにはあんまりなかったんだと思う。

──ベスト・アルバムを出すということに対しては何か思うところはありました?

K.A.Z:オリジナル・アルバム2枚しか出してないけど大丈夫かな? っていう(笑)。
 
──でも、その2枚の楽曲を5年間、ずっとライヴでやり続けてきているわけで、言うなれば26曲すべてがVAMPSの代表曲とも考えられるじゃないですか。だから選曲は結構、難しかったのでは?と。

K.A.Z:でも意外とそうでもなかったかも。ここに入ってるのはライヴの中でもメインになる曲だったりするしね。選曲は難しいっちゃ難しいけど。

──HYDEさんが挙げた曲にK.A.Zさんが意見を出して、すり合わせていったと伺いました。

K.A.Z:最初にHYDEのほうで大体のセレクトをしたものを見せてもらって、自分がなんとなく考えていたものと照らし合わせていった感じ。海外に流れたときのことを考えると、例えば「MY FIRST LAST」とか、アジアのミュージシャンがやったらすごく説得力のあるとは思ってて。

──そこはK.A.Zさんがすごく推していらしたとHYDEさんもおっしゃってました。

K.A.Z:今回、歌も全部録り直して、発音からしっかりやってるけど、向こうにはロック・バンドって山ほどいるじゃない? ましてや向こうではまだ大半の人にVAMPSっていう名前が知られていないのが現状で。でも「MY FIRST LAST」みたいな、ヨーロッパとかアメリカの人には真似できないような独特の世界観を持った曲だったら“これ、どこの国のバンド?”って興味を持ってもらえるかもしれない。

──日本人であることがオリジナリティになる、と。

K.A.Z:別に“日本人が来ました”って言う必要はないけど、イギリス人やアメリカ人が作ったロックを自分たちなりに消化したもの、日本的アジア的解釈という曲調も味わってもらえたらなって。

──海外で流れることを考えるときっと効果的でしょうね。

K.A.Z:それは「Life On Mars?」なんかもそう。海外で流れたときに“あれ? これ、デヴィッド・ボウイの曲だけどアレンジが全然違って面白いね”とか、向こうの人が何かしら引っかかるものを落としておいたほうがいいなって。耳を傾けてもらうきっかけというか、耳に留まらせるっていう意味でも「MY FIRST LAST」「Life On Mars?」はいいフックになると思ったから。

──最初、ちょっと意外だったんですよ。ベストってどうしてもポップでキャッチーなイメージがあるので、こういう、より捻りのある個性的な楽曲が入るのが面白いなって。でも、そこまで見据えてらしたんですね。

K.A.Z:なぜカバーをやったかといえば、もちろん曲がカッコいいからっていうのもあるんだけど、“カバーをやる”っていうことには、そういった意味合いもあると思う。でなければ全部オリジナルでいいと思うし。でも自分たちについての情報が何もないところに行って、いきなり名刺を出しても相手はわからないと思う。だったら、ちょっとしたきっかけ、話題になるひと言が付け加えられるような曲が入ってるのはいいなって。

──しかもカバーって誰のどの曲をやるかでセンスが問われるじゃないですか。そこで「Life On Mars?」っていうのは実に絶妙なセレクトだと思います。

K.A.Z:ね? 今の若い子は知らないかもしれないけど、でもいちばん音楽を聴いてる世代には響くと思うし。

──他に絶対入れたいと思っていた曲はありますか。

K.A.Z:絶対っていうわけではないけど「THE PAST」はよかったな。何気に自然に踊れる曲だし。けっして明るいタイプの曲ではないのにノったり踊ったりできるって面白い曲だよね。

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