【ライヴレポート】the HIATUS、<Horse Riding Tour 2013>で「the HIATUSの歴史でいちばん歌ってくれたライヴだった」

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8月7日の仙台Rensa2DAYSを皮切りに、9月4日の大分DRUM Be-0まで、全4都市6公演を廻った<Horse Riding Tour 2013>が終了した。その前後や合間に数々の夏フェス出演を挟んで行われたこのツアーは、フェスをひっくるめて北から南まで全国を行脚。猛暑の中をひた走るthe HIATUSのバンドとしての充実振りを全身で感じ取ることができるものだった。そのハイライトのひとつ。バンドサウンドが見事なまでのうねりを上げたZepp Tokyo公演2日目の模様を改めてここにご紹介したい。

◆the HIATUS 拡大画像

「Silver Birch」で弾いていたアコギを下に置き、ハンドマイクでずっとジャンプしながら、全身で歌う細美武士(Vo/G)の姿が強烈に印象に残った。こんなに無邪気で、楽しげな表情を浮かべた彼を観たのは初めてかもしれない。まるで少年のようだった。

2012年、総勢17名の特別編成で行った初のホール・ツアー(12月6日@NHKホール)の感動は、いまだに生々しく記憶の底に張り付いている。あのときも細美はステージに両膝、両手を付き、歓喜の雄叫びを上げていた。NHKホール公演は、デビューからこれまでを総括する最高のライヴとなった。そのライヴを最後に結成時からバンドを支え続けた堀江博久(Key)が離れ、東京事変に在籍していた伊澤一葉(Key)が正式加入した。そして、新体制による初の音源「Horse Riding EP」レコ発ツアー東京2日目、ZEPP TOKYO公演に足を運んだ。

満杯の会場に細美、masasucks(G)、ウエノコウジ(Dr)、伊澤、柏倉隆史(Dr)の5人がステージに姿を見せると、序盤からシャープかつパワフルな演奏を響かせる。「Monkeys」プレイ時には伊澤が椅子から立ち上がって踊りながら弾く様が目に飛び込んで、早くもバンドに馴染んでいるように映った。「行こうぜー!」と細美も煽り、観客に体当たりしてくる伸び伸びとしたパフォーマンスを展開する。

the HIATUSは作品を出すたびに色合いや曲調の振れ幅を広げ、常に聴き手をいい意味で裏切り続ける衝撃を与えてきた。シンプルなメロディからカオティックなアンサンブルへ、針穴に糸を通す繊細なタッチから宇宙に突き抜けんばかりの壮大な景色まで瞬時に描き上げる職人集団だ。収縮と膨張を激しく繰り返す楽曲の躍動感は、年を追うごとに迫力が増している。この日も心地いい興奮に包まれっぱなしだった。ホール・ツアーという大きな節目を通過して、一回りも二回りも成長を遂げたバンドの凄みがひしひしと伝わってきた。絶好調である。

そして、特筆すべきはやはり新作からの3曲で、これまでとは趣を異にする空気感をライヴに注入していた。初期の頃には考えられないことだが、細美はライヴでエレキよりもアコギを持つ回数の方が増えてきた。「Horse Riding」は歌とアコギで幕を開ける清れつなナンバーで、始まった瞬間に会場全体を明るく照らす輝きを放ってくる。さらに美しいキーボードの音色と相まって、大自然の中を自由に疾駆する馬の艶やかな毛並まで脳裏に浮かぶような、イマジネーションをくすぐる豊かなサウンドも素晴らしかった。

「Don’t Follow The Crowd」もとてもライヴ映えする楽曲で、ベースとドラムの主張が激しく、神聖だがセクシーな香りをまとった魅力で引き付けた。ダンス・ミュージック的な反復フレーズを用いた「Waiting For The Sun」は深海へと誘う静かな聴き心地だが、後半に細美は観客と「ウォー!ウォー!」と掛け合う場面もあり、音源とは一味異なる熱を運んでくれた。まとめて新曲3曲の感想を述べたが、メンバー5人の個性やクセがまた違う形で花開いた曲ばかり、またしても未知のthe HIATUSに出会えた喜びを噛み締めずにはいられなかった。

ショウ全体としては、なりふり構わず自らの感情を曝け出す攻めの姿勢と、ホームパーティーのような温かい雰囲気さえ感じさせる内容だった。最後に「今日は、the HIATUSの歴史でいちばん歌ってくれたライヴだった!」と告白していたが、その景色を誰よりも観たかったのは、細美自身と言えなくもない。魚心あれば水心で、バンドと観客がこれ以上なく心を通わせた理想的なライヴだった。

取材・文◎荒金良介
撮影◎橋本 塁(SOUND SHOOTER)

■<Horse Riding Tour 2013>
2013年8月14日(水)@Zepp Tokyo set list
1.The Flare
2.Monkeys
3.The Ivy
4.Storm Racers
5.Deerhounds
6.Bittersweet / Hatching Mayflies
7.Superblock
8.Horse Riding
9.Shimmer
10.The Tower and The Snake
11.Don't Follow The Crowd
12.Insomnia
13.ベテルギウスの灯
14.紺碧の夜に
15.Lone Train Running
16.Souls
17.Silver Birch
18.Waiting For The Sun

19.Twisted Maple Trees
20.On Your Way Home
21.Ghost In The Rain

■3rd EP「 Horse Riding EP」
Released 31th July 2013
UPCH-80333 ¥1,300(TAX IN)
01. Horse Riding
02. Don't Follow The Crowd
03. Waiting For The Sun

■<GRAND MINT FESTIVAL 2013>
2013年10月20日(日)韓国ソウルOLYMPIC PARK
1日券88,000ウォン 2日券140,000ウォン

■<SKULLMANIA Vol.7>
2013年11月29日(金)新木場STUDIO COAST
OPEN 16:30 / START 17:30
前売¥4,200 当日¥4,700(共に税込 / ドリンク代別¥500)

■<POWER STOCK 2013 in ZEPP SAPPORO>
2013年12月15日(日)Zepp Sapporo
OPEN 11:00 / START 12:00
前売り¥6,000(ドリンク代別)

■<RADIO CRAZY>
2013年12月28日(土)・29日(日)インテックス大阪
※出演日は後日発表になります。
OPEN 10:00 / START 11:00 終演22:00
1day ticket¥8,020 2days ticket¥15,500(共に税込・オールスタンディング・6歳未満入場無料)

■<new T.W.I.M BOMB NIGHT vol.13 2013 Final =DESTROY YOUR FUCKIN' WORLD=>
2013年12月30日(月)Zepp Nagoya
OPEN 17:00 / START 18:00
前売り¥3,300 当日¥3,800(ドリンク代別¥500)

■<COUNTDOWN JAPAN 13/14>
2013年12月31日(火)幕張メッセ国際展示場1~8ホール、イベントホール
(※12月28日(土)は国際展示場1~8ホールのみ)
OPEN 14:00 / START 15:00 終演29:00

◆the HIATUS オフィシャル・サイト
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