【インタビュー】AKIHIDE(BREAKERZ)、ソロ第二弾『 Lapis Lazuli 』完成「今回ほどアコースティックギターという楽器と深く向き合ったことはない」

ポスト

■ハートがないと音楽は響かないし、伝わらない
■『Lapis Lazuli』はより上を向いている作品とも言えます

──「Lapis Lazuli」では12弦のアコースティック・ギターも使っていませんか?

AKIHIDE:マンドリンです。マンドリンでトレモロ・ピッキングをするとアイリッシュな雰囲気が出せるので、今回のレコーディングで使おうということは早い段階から決めていたんですね。12弦ギターは「Sayonara」のサビの雰囲気を変えたかったので、そこで使った気がします。レコーディングに使用したギターは僕が高校に入学した時に買ってもらったモーリス製のもの。それほど高いギターではないんですけど、アコースティック・ギターとの出会いになった12弦だし、音色が好きでずっと弾いていたので、今回のレコーディングでも使いました。

──「Namida」ではガットギターも弾かれていますね。

AKIHIDE:単音のメロディーをゆったり弾く時にはガットギターのほうが音色的にフィットするんですよね。「Namida」は優しい曲でもありますし、スティール弦のアコギはアタックが強いから、ガットギターでうまくダイナミクスをつけることを意識して弾きました。すごく繊細な楽器だし、指で弾いたので難しかったですね。

──どんなガットギターをレコーディングで使ったんですか?

AKIHIDE:これがまた安いギターで、御茶ノ水の楽器屋で1万円くらいで買ったんですよ(笑)。でも、家で曲を作る時にずっと使っているから愛着があって、僕が書いた曲のほとんどは、そのギターで作られているんじゃないか……くらいな。そういうギターだから、今回のレコーディングでは絶対に使いたかったんです。

──楽器は値段ではないことを改めて感じます。

AKIHIDE:そう思いますね。想いが楽器を鳴らすというか。愛情を注ぐことでギターも応えてくれる気がします。

──全く同感です。スティール弦のアコースティック・ギターは?

AKIHIDE:テイラーのアコギを6~7本お借りして試した中で、814というモデルを使うことが多かったですね。音のレンジが広いし、すごく弾きやすくて奏者に優しいギターなんですよ。すごく気に入ったので最終的に購入しました。あとは、スタジオにあったYAMAHA製のものの音が結構良かったので使わせてもらって。結局、その2本がメインでしたね。

──多彩な楽曲とフレキシブルなプレイ、人間味を活かした幅広い音色など、『Lapis Lazuli』は本当に聴きどころの多いアルバムになりました。

AKIHIDE:インストゥルメンタルにあまり馴染みがない方にも楽しんで聴いてもらえるんじゃないかなと思っています。冒頭にも言ったように、聴いていただいた方の生活に溶け込むようなアルバムを作りたかったんですね。アコースティック・ギターという優しい音色だからこそ、そういうパワーを持っていると思っていて。ただ、一筋縄でいかせないところをこのアルバムにはいっぱい入れているつもりなので。楽しみつつ、癒されつつ、みなさんの心にずっと残るような作品になるといいなと思っています。

──必ずそうなると思います。アルバム制作に伴って『Lapis Lazuli』の世界観をモチーフにしたギターのオブジェも作られたそうですね。

AKIHIDE:前作の『Amber』は、アートワークにもこだわることができたので、今回も何かやりたいなと。『Lapis Lazuli』はギター・アルバムなので、ギターのコラージュアートを作りました。アルバムは「Birthday」という曲から始まるんですけど、これは1日の始まりを表したもので、アルバム自体が人の1日を表現したものなんですね。日々、人は生まれ変わると。そういうところから、“ナミダくん”というキャラクターの1日を、ギターのボディ表面に描いたんです。

──サウンドホールの部分にはハートがありますね。

AKIHIDE:ハートがないと音楽は響かないし、伝わらない。実物を見ると、もっと細かい設定やかわいいキャラクターを描いているので、実際に見てもらえる機会を設けたいですね。音楽とアートワーク、オブジェといったものを含め、トータルでいろいろなことを感じ取っていただいて、『Lapis Lazuli』がみなさんのいいBGMになることを願っています。

──1stソロアルバム『Amber』はAKIHIDEさんにとって、「音楽人生の集大成的な作品」という発言がありましたが、それに対して、『Lapis Lazuli』はどういう作品になりましたか?

AKIHIDE:『Amber』を経て、そこから先の未来に向けた作品というか。今回の制作に入るにあたって、自分がギタリストとして、ミュージシャンとして表現できることは何だろうと考えたんですね。“ラピスラズリ”というのは瑠璃色をした石の名前で、“浄化”という意味を持ったパワー・ストーンなんですけど、同時に“試練を与える”という意味もあるんです。インストゥルメンタルは歌メロと歌詞がないというところで、音楽として違うジャンルになるじゃないですか。僕を応援してくださっている方の中で、インストゥルメンタルを普段あまり聴かれない人はたくさんいらっしゃると思うんですよ。そういった方にもどれだけ満足してもらえるようなインストゥルメンタルを作れるかという意味では大きな挑戦でしたし、『Lapis Lazuli』を作ることによって、また新しいものをリスナーに提示できるだろうなというのがあって。そういうところで、『Amber』と『Lapis Lazuli』は対になる作品だけど、意味合いは違っているんです。それに、“アンバー”は地面で生まれる石で、“ラピスラズリ”は空の色を表している石なので、より上を向いている作品とも言えますね。

──その辺りも踏まえて聴くとより楽しめますね。アルバム・リリースに伴って、11月に東名阪で行なわれるライブツアーも楽しみです。

AKIHIDE:アルバムが完成してよかったんですけど、ここにきてライブが大変だなということに気づいて(笑)。どうしようかなと、いろいろアレンジしているところです。アルバムとはまた違って、ライブ・バージョンとしてより進化した『Lapis Lazuli』の世界をお届けできると思います。

──このツアーはジャズクラブで開催されるというところも興味深いですね。

AKIHIDE:ジャズクラブへライブを観に行くと、ステージと客席の距離感や雰囲気とかがすごく大人っぽくて、ゴージャスな気分に浸れるというのがあるんですよね。そういうことも含めて、ライブに来てくださった方の人生のいい思い出になるような夜にしたいと思っています。面白いものになる予感があるので、ぜひ会場に足を運んでいただきたいです。

取材・文◎村上孝之





■New Album『Lapis Lazuli』
2013.10.30 on sale
【初回限定盤】\3,700(税抜3,524)
・3面デジパック仕様
・スペシャルフォトブックレット封入 ※ジャケット写真のアザーカットやロケ撮影、 レコーディング風景など完全撮り下ろしの写真で構成された48Pのフォトブックレット。
【通常盤】\3,059(税抜2,913)
・ボーナストラック「遠き山に日は落ちて」収録
1.Birthday
2.Lapis Lazuli
3.Sayonara
4.Moon Dancer
5.Okinawa
6.Namida
7.Home
8.Rain
9.Lost
10.Battle
11.Tomorrow

■<AKIHIDE Premium Night Show “Lapis Lazuli”>
AKIHIDE 初のジャズクラブでのライブ開催決定 !!
11/15 (金) 大阪 :Music Club JANUS
11/16 (土) 愛知 :NAGOYA Blue Note
11/22 (金) 東京 :STB139
11/23 (土) 東京 :STB139
12/5(木)東京 :ZEPP TOKYO ※追加公演

◆AKIHIDE オフィシャルサイト
◆BREAKERZ オフィシャルサイト

◆インタビュー(2)へ戻る
◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報