【訊いてみた・前編】小林幸子、“ラスボス”と呼ばれることは「気持ちがいいですよ!」

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小林幸子といえば、今、ニコニコ動画で最も注目されているアーティストのひとりである。

数年前からニコ動ユーザーの間で、小林は(過去『NHK 紅白歌合戦』などで披露された、我々の想像を超える壮大な衣装のイメージなどから)“ラスボス”と呼ばれ、親しまれてきた。そして、この声に応えるように、小林は2012年、ニコニコ生放送に初登場。さらに同年末のニコニコ動画の年越しイベントにも動画コメントの形で参加。いずれもユーザーたちから熱狂的に受け入れられてきた。

また最近では、2013年9月に“歌ってみた”動画『【初投稿】ぼくとわたしとニコニコ動画を夏感満載で歌ってみた【幸子】』を初投稿して、いきなりの100万回再生を突破と、ニコニコ動画における小林幸子人気はヒートアップし続けるばかりである。

ではそんな状況について、小林幸子自身はどう捉えているのだろうか。BARKSの独占インタビューで語ってもらった。

  ◆  ◆  ◆

「私が訊きたいくらいです(笑)。」

事務所の一室にて取材に応じてくれた小林幸子。早速、なぜ小林幸子がニコ動でウケるのか。いつ頃から盛り上がっていったのかという質問をぶつけたところ、笑いながらまずそう答えてくれた。

実際、彼女自身も、また事務所スタッフも、いつ頃からニコニコ動画で小林幸子がピックアップされるようになったのか正確なところまで把握できていないそうだ。もちろん小林サイドから何かしらの働きかけを行なったこともなく、気がついたら大変なことになっていたという。いかにもSNSを中心とした今のWebらしいところだ。

ただ、彼女の活動を振り返ると、その下地となるべき要素はあったようである。たとえば、1998年公開の映画『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』主題歌として起用された「風といっしょに」が、アニメのファンから「神曲」と呼ばれるなど話題に。また『クレヨンしんちゃん』の劇場版でも主題歌を担当と、他の演歌・歌謡曲の歌手と比べると、小林幸子はアニメファンやニコニコ動画の主体となるユーザー層である10代、20代、30代との親和性が高かった、と言えるかもしれない。

そして、2012年10月。ニコニコ動画での盛り上がりを受けて、小林幸子はニコニコ生放送に初出演する。ニコ動でいうところの、“ラスボス、初降臨”である。

「私は演歌の世界でずっとやってきたじゃないですか。だから(ニコニコ動画から出演オファーがきて)スタッフは面白がってたんですけど、「小林幸子がはたしてOKするか……?」っていうのをすごい躊躇したようです。で、私におそるおそる訊いてきたんです。そしたら「やるよ!」って、私、すごい簡単にOKしちゃって(笑)。「えーっ!!」てなったみたいです。」

番組は、大盛り上がりの中で無事に終了。視聴者を対象とした番組最後のアンケートでは、98%以上の「とてもよかった」という評価を受け、ニコニコ動画で小林幸子が受け入れられていることがあらためて明確なものとなった。またこの番組中に、小林自らニコ動ユーザーに「ラスボス」と呼ばれることを快諾。その瞬間、“ラスボス弾幕”で画面は埋め尽くされた。

本人公認ということで、一気に“ラスボス”の愛称は拡散され、いまや、ニコ動ユーザーではない層にまでも“小林幸子=ラスボス”という認識が広まっている。そうなると逆に気になるのが、ラスボスと呼ばれて小林自身は実際のところどう思っているのか、だ。

「気持ちがいいですよ!(爆笑) この間、名古屋の<ニコニコ町会議>に参加した時に、ステージで司会の人が「ラスボスって呼んでいいですか?」って申し訳なさそうに訊くから「OKですよ!」って言ったら、会場からいきなりバーっと「ラスボス」コールが(編集部 注:名古屋で開催された<ニコニコ町会議>には、約2万人の観客が集まった)。もう波打っちゃってるんですよ、お客さんが。私、こういうのって止め方知らないから、どうしたらいいかわからなくて「どうもありがとうー。」って言ったら止まったんですよね。あ、こういうふうに止めればいいんだって(笑)。ひとつひとつ発見みたいな感じです。楽しかったです。」

(『【訊いてみた・後編】佐藤P、小林幸子で「<SXSW>とか出ようと考えている」』に続く)


text by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

◆BARKSインタビュー
◆小林幸子 オフィシャルサイト
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