【ライブレポート】ジェイク・バグ、大きく飛躍した“新世代のギター・ヒーロー”

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現在、UKツアー中のジェイク・バグが、10月23日から3夜連続でロンドンのBrixton Academy(約5,000人収容)にてパフォーマンス、間もなくリリースするニュー・アルバム『Shangri La』からの新曲を披露した。

この1年で彼のライヴを観るのは3度目だが、今回のパフォーマンスはこれまでとかなり違い、サウンドの点でもオーディエンスの反応からいっても、19歳の“新世代のギター・ヒーロー”が大きく飛躍したことを実感させるギグだった。

この夜はオープニングの「There's a beast and we all feed it」に始まり、リード・シングル「What doesn't kill you」など2ndアルバムからニュー・トラック8曲がプレイされた。リック・ルービン・プロデュースと聞いて想像できる通り、新曲はフォーク・ロック色が強かった前作と大分異なり、曲の作りもサウンドもビッグでヘヴィに。デビュー当時、ボブ・ディランやロニー・ドネガンが引き合いに出されることの多かった彼だが、新作はジャック・ホワイトやキングス・オブ・レオンのようなブルージーなロックの要素もありつつ、オアシス、ザ・ヴァ―ヴ、アークティック・モンキーズといったUKのギター・バンドも彷彿させた。

そして、オーディエンスの層や反応もずい分変化した。2012年秋にリリースしたデビュー・アルバムはロングセラー、UKだけで45万枚が売れたのだから不思議ではないが、オーディエンスの年齢層が小学生から50代までと幅広くなった上、彼の曲が思った以上に深く浸透しているのがうかがえた。「Two fingers」「Country song」「Lightning bolt」では“アンセム”ばりの大合唱。とくに、物悲しく優しいメロディーが美しい「Broken」での一体感は感慨深かった。アルバムの中でも秀逸の作品だが、シングルの売り上げがよかったわけではない。そんな曲でひときわ大きな歌声が響き渡るとは、アルバムがよく聴き込まれている証だろう。

ジェイクを含むギター、ベース、ドラムのミニマルな3ピースは同じなのだが、1stアルバムの曲をプレイしたときと新曲を披露したときでは雰囲気がガラっと変わる。しかし、「どちらがいいか?」と聞かれたら「どちらも!」と答えたい。たとえ方向性が変わったとしても、ジェイク・バグはぶれていない。

10月24日@Brixton Academyのセットリストは以下の通り。

「There's a beast and we all feed it」新曲
「Trouble town」
「Seen it all」
「Simple as this」
「Storm passes away」新曲
「Two fingers」
「Messed up kids」新曲
「Ballad of Mr jones」
「Country Song」
「Pine trees」新曲
「Song about love」新曲
「Slide」
「Green man」
「Kingpin」新曲
「Taste it」
「Slumville sunrise」新曲
「What doesn't kill you」 新曲
アンコール
「Broken」
「My my hey hey」ニール・ヤングのカヴァー
「Lightning bolt」

ジェイク・バグの2ndアルバム『Shangri La』は日本盤が11月20日にリリースされる。


Ako Suzuki, London
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