【ライブレポート】冷牟田竜之主催イベント<Taboo -Before the 15th anniversary“Smell of the blood.”>にチバユウスケなど豪華メンツが集結

ツイート

11月1日(金)、THE MAN、DAD MOM GODの冷牟田竜之が主催するライブイベント<Taboo ~Before the 15th anniversary "Smell of the blood>が開催された。1998年にスタートした<Taboo>は途中休止はあるものの、2014年で15周年を迎える。今回はそのプレパーティーとして豪華出演者が名を連ね、会場となった渋谷AXの周辺には熱心な音楽ファンたちが詰めかけた。

◆<Taboo ~Before the 15th anniversary "Smell of the blood> 拡大画像

会場に入ると、開演前にも関わらず早くもステージでは演奏が始まっていた。オープニング・アクトとして登場したのはHABANA。福岡を中心に、クラブやフェスで精力的に活動する個性派バンドだ。開場直後の突然の登場に戸惑う観客をよそに、メンバー全員がくまなくTATOOを施した上半身を晒しながら、場内を熱くさせている。ボーカル、ギター、ベース、ドラム、シタール、パーカッションの6人編成で、メンバー全員がベトナム風の笠帽子をかぶり車座に向き合ったまま演奏される音楽は、シタールの民族的な旋律とリズム隊が叩きつけるビートが混ざり合い、混沌としたグルーヴを作り出していた。イベントの熱量の高さをいきなり感じさせるオープニング・アクトとなった。

改めて幕が開き、主催者である冷牟田竜之がステージに登場。「さっきのバンドはHABANAといって、福岡で知り合って、あまりのカッコ良さに今日呼んじゃいました!」という第一声に大きな拍手が沸き起こる。「最後まで楽しんでいってください!」とTHE COLLECTORSを紹介。イベント本編の口火が切られた。

ゆっくりとステージに登場したTHE COLLECTORSは「NICK NICK NICK」からライヴをスタート。「こんばんは! THE COLLECTORSです。18時からのロックンロール、いいよね (笑)」とボーカルの加藤ひさしが客席に語りかける。若干ギターのトラブルが発生したものの、加藤が軽妙なMCで観客を笑わせながら間をつなぎ、演奏が再開された。「プロポーズソング」、「恋はヒートウェーブ」からMCへ。「「恋するフォーチュンクッキー」を踊りたくて、センターはチバにお願いしたいんだけど、言えないんだよ!」と告白すると大きな拍手と笑い声が。さすが会場の暖め方を心得ている。続く「GROOVE GLOBE」ではストレートなビートとポップなメロディを古市コータローの掻き鳴らすセミアコが先導して一気に観客を熱くした。ラストはTHE COLLECTORSの代表曲「世界を止めて」だ。タンバリンを手に加藤が観客を煽ると、コータローのブリティッシュ・ロックへの愛情がこもった渾身のソロが炸裂する。短い時間ながら、THE COLLECTORSを初めて見る観客にも魅力が伝わるステージとなった。

幕間には冷牟田竜之がフロアのDJブースに登場し、ジョニー・ウィンターによるストーンズのカバーナンバーやドアーズ、JET等をスピンして会場の熱を冷ますことがない。続いて登場したOL Killerは、4つ打ちのイケイケなビートでダンサンブルなステージを披露。場内のボルテージを一気に上げる。その後もイマイアキノブがDJで浅川マキをプレイするなど、アヴァンギャルドなムードを作った。

そしていよいよ冷牟田が2012年に結成したスカ・バンドTHE MANの登場だ。この日はゲストに三上博史を迎えての特別編成が告知されており、開演前のファンの声に耳を傾けてみると、俳優・三上博史の生のパフォーマンスに期待が寄せられていた。シンプルなステージセットに姿を現した冷牟田が、スタンド・マイクでアジテーション。ホーン・セクションがステージを左右に歩き回りながらソロを取り、観客を煽り立てる。ギターの裏打ちカッティングが、キレ味鋭く心地良い。「step on gas」から始まったライヴはメンバーがフロアに降りて演奏するなど、一時たりとも目を離せない動きのあるステージだ。

3曲を終えたところで、「James Bond」のテーマで三上博史が呼び込まれた。実にゆっくりゆっくりとステージ中央に。時折笑い声を出しながら、台詞を吐くように歌う三上のステージは主演の芝居を観ているようで、唐突に会場全体の空気が一変したのがわかる。

「20年前から知ってるんだけど、いつか一緒にやろうと話してて、やっと実現しました」という冷牟田の言葉に暖かい拍手が。さらには、三上の実兄が昔スカパラでアルトサックスを吹いていたというエピソードに客席からどよめきが起こる。続いて披露されたのは「ロシアより愛をこめて」であり、“007”がこのライブのひとつのテーマになっていた。太く、よく通る三上のボーカルがバンドの演奏と噛み合った「涙の行方」を最後に、さすがの存在感を残して三上がステージを後にした。

THE MANのステージはメロウな「serenade」から再び激しくアジテーションする「It go straight to you」へ。手拍子を促す冷牟田。「Let me burn」、「GABBA GABBA HEY」と曲を続け、激しく点滅する照明を浴びながらステージを降りた。


イベントのトリを飾るのはTHE GOLDEN WET FINGERSだ。SEが流れる中、チバユウスケ、中村達也、イマイアキノブの3人がステージに歩を進めると大きな歓声が。「ハロー!」とはチバの第一声、この声に客席が一層沸く。「はどめがきかない」でスタートしたライブは、達也とイマイの刻む重く鋭いビートにチバが延々とリフをかぶせる。達也が叫びを上げると、徐々に激しくバンドを前に押し出すようなドラミングを繰り出した。続く「Civilators」ではイマイとチバが尖ったフレーズをぶつけ合う。このバンドは完全に"歌モノ"という世界から解き放たれているようだ。時折マイクに向かうチバの声さえ歪ませたギターのように響く。3曲目の「世界中」ではモノトーンの照明の中、轟音でグルーヴする3人の演奏がたまらなく絵になる。「BACK SHOT SEXY BLUE」は達也のドラミングの凄まじい。まるで休符のないパワーコードを全力のダウンビートで叩きまくるかのごとく。

観客からかけられる声援に応えることも、MCらしいMCもないままライブは続く。「LEO」はイマイがボーカルをとるナンバーだ。繰り返されるチバのギターリフはジミヘンを思わせるサイケなフレーズが印象的。引き続きイマイによるボーカルで演奏された豪快なナンバー「WILD ONE」を披露した後は、チバのボーカルに戻り「CHICKS」。間奏にチバのブルースハープをフューチャーした「COLD NIGHT FISH」でTHE GOLDEN WET FINGERSのステージが終了した。

すかさず巻き起こるアンコールに再び3人がステージへ。ハンチング&オーバーオール姿の達也は「テッテッテッテテッテ」と、スーパーマリオのメロディを口ずさんでおどけている(笑)。一瞬和んだ会場の空気をブチ破るような怒涛の音塊は、「しまっとけ」だ。「しまっとけ!」とがなるボーカルと落雷のような凄まじい演奏、狂ったようなグルーヴが観叩きつけられ、ライブが終了した。


鳴り止まない拍手に応えるように、ステージへ主催者の冷牟田が登場した。2014年に15周年を迎えるにあたり、ファンやスタッフへ感謝を述べる。

「とにかく人生を楽しもうと思います」

2014年はさらに盛大なイベントを開催することを約束すると同時に、この言葉にはこれまでの音楽人生の全てが表されていたように思えた。実に男臭く、エッジの効いたラインナップでありながら、どこか温かい雰囲気がイベント全体に流れていたのは、冷牟田竜之の人柄と人望の厚さによるところが大きい、そう感じられた夜だった。

取材・文◎岡本貴之

<Taboo -Before the 15th anniversary“Smell of the blood.”>
2013年11月1日(金) @SHIBUYA-AX
【HABANA】(オープニングアクト)
1.サンシャイン
2.雪原の猿
3.アブラカダブラ
4.ランペイジ
5.釈迦の真言
【THE COLLECTORS】
1.NICK NICK NICK
2.MILLION CROSSROADS ROCK
3.プロポーズソング
4.恋はヒートウェーブ
5.TOUGH
6.GROOVE GLOBE
7.世界を止めて
【OL Killer】
【THE MAN feat. 三上博史】
1.step on gas
2.Rudibs on the low
3.the man still standing
4.Preach
5.ロシアより愛をこめて
6.涙の行方
7.serenade
8.It go straight to you
9.Let me burn
10.GABBA GABBA HEY
【THE GOLDEN WET FINGERS】(チバユウスケ×イマイアキノブ×中村達也)
1.はどめがきかない
2.Civilators
3.世界中
4.BACK SHOT SEXY BLUE
5.LEO
6.WILD ONE
7.CHICKS
8.COLD NIGHT FISH
En1.しまっとけ

◆冷牟田竜之 オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報